第11回地域包括ケア推進病棟研究大会
【パネルディスカッション】
2024年診療報酬改定を受けて地域包括医療・ケア病棟の進むべき道は

猪口雄二
どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、「2024年診療報酬改定を受けて地域包括医療・ケア病棟の進むべき道は」というパネルディスカッションを開始したいと思います。
なお、3番目のパネリスト、甲賀先生がちょっとけがをされて、今日はウェブのほうで出演をされるということになっておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、診療報酬改定、2024年からできました地域包括医療病棟、特にここに焦点が当たるかなと思っておりますけれども、4人のパネリストの先生に十分にお話をしていただいてから、ディスカッションを行いたいと思います。
それでは、まず1人目のパネリストを紹介させていただきます。
林修一郎先生、厚生労働省保険局の医療課長でいらっしゃいます。
簡単に御紹介いたしますと、平成10年東京大学医学部を卒業され、厚生省に入省されております。健康局、その他医薬品等を経て、平成26年、厚生労働省保険局の医療課長補佐として、このときの診療報酬改定を取り仕切った方でございます。その後、奈良県医療政策部に出向されたり、また、戻られてからは、令和5年から医政局の医事課長、そして現在、令和6年から厚生労働省保険局の医療課長をお務めでございます。
それでは、林先生、よろしくお願いいたします。
林修一郎
(略)
猪口雄二
林課長、どうもありがとうございました。
地域包括医療病棟、主に総論的に様々な観点から御紹介いただきました。
続きまして、2番目のパネラーです。仲井培雄先生、地域包括ケア推進病棟協会の会長であり、また医療法人芳珠記念病院の理事長でございます。
本日は、「改定後の調査結果を踏まえた「地域包括ケアを推進する病棟」の現状と未来」ということでお話をしていただきます。
簡単に御紹介いたしますと、1985年に自治医科大学を卒業後、金沢医科大学の第二外科に入局され、その後、2004年から医療法人社団和楽仁芳珠記念病院の理事長、そして芳珠グループの代表をされております。2014年から地域包括ケア病棟協会、現地域包括ケア推進病棟協会の会長をされております。
それでは、仲井先生、よろしくお願いいたします。
改定後の調査結果を踏まえた「地域包括ケアを推進する病棟」の現状と未来


仲井培雄
猪口先生、御紹介ありがとうございました。
それでは、早速お話を始めたいと思います。
当協会では、この地域包括ケアを推進する病棟、あるいは地域包括ケア推進病棟ということで、地ケアと地メディを合わせてそういうふうに呼んでおります。冒頭、こういうことを言うのは初めてです。しかし、現状を考えて、ちょっとここだけは押さえてからお話をしたいと思います。
骨太方針でも公定価格の引上げをするということで書き留めていただきました。こういう調査を今年、去年、昨年度行っておりまして、その結果ですけれども、急性期ケアミックス型、全施設でいうと6割を超える病院が24年度は赤字。23年度よりも増えています。それから、急性期ケアミックス型の増え方のほうが大きいです。PA連携型とか地域密着型はあまり変わらないですけれども、それでも黒字施設も赤字施設も共に医業利益は全て減少しております。もう1つは、人件費以外の医業費用が増えた、それから人件費も増えた。これはベースアップ評価料を算定しておりますということで、こんな状況であるということをまず押さえてから、お話を進めたいと思います。
地域包括ケア時代の高齢者救急ですけれども、いつもお話ししていますけれども、高齢で多疾病併存ですね。ADL、栄養状態、認知機能が低下して、ポリファーマシーになりやすい。なので、入院前から継続して、入院中にも包括的な生活支援とか意思決定支援を必要とする。リハビリテーションは、生活復帰を目指す廃用症候群・認知症モデルが主となりまして、QOLとQODの価値観は異なるので、ACPとかカンファレンスが必要になっていくということでございます。
これはマルチモビディティの説明ですけれども、複数の慢性疾患が一個人に併存している、中心となる疾患を特定できない。いろんな疾患を挙げられていますけれども、例えばこういうCOPD、糖尿病、高血圧、悪性疾患、脳血管障害と、そのトップ5を持っている人が、5人の専門医が5つのガイドラインどおりに3つずつ薬を出せば、あっという間に15種類の薬を飲むことになります。さらに、それぞれのガイドラインというのは、その疾患が単一、あるいは複数の少しの疾患を持っている場合にしか想定されておりませんので、まとめて5つの疾患を持っている人がこのガイドラインを使っていいかどうかというエビデンスはないわけです。したがって、いろんな不都合なことはいっぱい起こっていくんですけれども、ガイドラインによるエビデンスの裏づけが不十分ですので、アウトカムは患者のQOLの向上にするしかないということになります。なので、カンファレンスとかACPが必要になってくる。
その中で、我々の地域包括ケア病棟ですけれども、ポストアキュート、いわゆるサブアキュート、在宅復帰支援機能、この3つの病棟機能でもって地域包括ケアシステムを支えるんだということで、2014年度から行われているわけです。
救急のところで、高齢の救急はどんどん増えていて、軽症・中等症が多いと。特に85歳以上の中では、この症状・兆候・診断名不明確というのが増加している。これこそマルチモビディティだと私は思います。
トリアージのジレンマもあります。入院するときにですね、どうしても院内の高次の病棟に入院してから移すのは避けたい。それから、高次の病院に上り搬送するのも避けたい。だから、オーバートリアージになりやすいということですね。
これを防ぐためには、もちろん個々の臨床能力を上げたり連携したりっていうのも大事ですけれども、やっぱりかかりつけの高齢虚弱のマルチモビディティ患者ですね、こういう人を増やしていくというのが非常に大事。それから、アンダートリアージを恐れない、多くの高齢者救急を受け入れられる病棟を設けるということも大事。病棟の種別は問わないんじゃないかなと私も思います。3次救急からの下り搬送を活用して、重症疑いのトリアージは自院で行わないという方法もある。この3つが結構大事なことかなと思います。
その中で、結局どういうことになったかというと、急性期一般のほうは看護師が多くて、リハ療法士や栄養士が不足している。要介護高齢者は急性期一般に入院すると介護度が悪化するというエビデンスまである。一方、地ケアのほうは、13対1の看護で、救急搬送直入が6%未満しかないということで、いいとこ取りの地域包括医療病棟ができたと理解しております。
今回、いろいろな病棟機能調査を行いました。
これは、2024年度の地域包括ケア病棟、地域包括医療病棟、地ケアと地メディですけれども、それぞれこういう回収率になっております。地メディはどうしても少ないので、数は少なくなっております。あとは、患者票と地方厚生局データの解析資料があります。
これは、地方厚生局データです。6月14日時点の結果ですけれども、地ケア病棟は2,662病院、10万3,000床ですね。地ケア病院は110ありまして4.1%、地メディのほうは175病院で9,200病床、地メディ病院は10病院で5.7%となっています。まだゼロの県が幾つかあります。なかなか増えないというのはこのグラフでも表れていまして、地ケアの場合は、ここでとんっと上がったんですけれども、これがないですね。なかなかブースターがないという状況であります。
それから、地メディの元病棟は何かというところです。もともと急性期一般1とかが多かったんですが、急性期一般4が今回初めてトップを取りました。この49.1というのは2から6の足したものでして、すみません。ここの棒の高さだけで見ていただければいいですけれども、初めて4がトップになったので、これからここが増えるのかなという予感がしております。
それから、これはちょっとおもしろいことをやってみたんですけれども、地ケアと地メディ、それぞれの届出病院の組み合わせということで、地ケアと地メディと両方持っているものを見るとですね、地メディの相手側のところはみんな数%です。どれも数%で、地メディが何割かというのを見たい。そうすると結構おもしろくて、地ケアと地メディでは、地メディの50%、5割が地ケアを持っている。それから、地ケアと地メディと急性期一般だと、地メディの4割がほかの2つを持っている。地メディの3割近くが回リハを持っている。全部見ると、地メディの2割近くは全部持っているということになります。それぞれは数%ということで、こうやって見ると感覚的に分かっていただけるかなと思います。
あと、アンケート調査で使用している病院機能分類ですが、急性期ケアミックス型、ポストアキュート連携型、地域密着型とあります。これを説明しているとちょっと長くなるんですが、急性期ケアミックス型は、急性期一般があって、最も急性期をやっていると思っている病院。ポストアキュート連携型は、とにかくポストアキュートをいっぱい受けている病院、どちらでもないというのが地域密着型です。
これをまとめながら話しますが、2024年度、私の解釈はこういう解釈でした。特に高齢者のマルチモビディティ患者の足固めとして、入院料通則の見直しや、リハビリテーション・栄養・口腔の一体的取組、医介福連携、そして地メディができたということであります。
地ケアの中で皆さんにとって一番大変だったろうと思うのは、この逓減制ですね。それから、短手1・3の分母分子から除外されたこととか、強化型老健への退院者の5割を分子に算定するとか、そういうことがありました。
これは、改定前後で病院機能の割合がどのぐらい変わったかというのを見たんですけれども、あまり変わっていないんです。むしろ、2022年度と比べると10ポイントほど急性期ケアミックス型が減って、地域密着型が増えているということが、こちらのほうがインパクトがでかい情報だと思います。そのぐらい、皆さん急性期、地域密着するような形で推移してきているということですね。
それから、これが逓減制ですけれども、こうなりましたと。それについて皆さん、どういう反応しましたかということです。何もしていないというのが2割弱でしたので、逆に言えば、8割強が何かをしている。その何かをしたというのは、ここに書いてある項目で、細かいことをいっぱいされているというのが答えだと思います。ただ、40日以内の入院期間をコントロールするようにしているというのが6割以上ありました。
それから、この在宅患者支援病床初期加算というのは、それまでは老健から来ていると500点、それ以外だと400点だったのが、救急搬送、下り搬送だと580点、その他が480点に下がりました。こちらもそうですね。
実情を見ますと、どうなったかといいますと、まず、この点数を算定している患者が多い病院機能はポストアキュート連携型ですね。過半数を占めています。それから、在宅患者の搬送ルートですけれども、下り搬送はほとんどないです。どこも救急も17%と少な目で、その他が一番多いということになります。つまり、点数の下がったところが多くて、点数が上がったところが少なかったという、ちょっと残念な結果になっております。
在宅患者支援病床初期加算の入院前施設も、老健がそんなに多くないと。これでもこれまでのデータとあまり変わらないと思います。ということになっております。
それから、見直しへの対応についてですけれども、何もしないというのが5割強に認めまして、搬送受入れの強化が3割、老健からの緊急の受入れとか下り搬送の受入れを強化したというのが1.5割ありました。それぞれに対応されているということであります。
老健からの受入れを強化した理由については、一番多いのは協定ですね。それから、稼働率維持・向上のためということになっております。
これで地域包括医療病棟ができましたけれども、先ほどおっしゃられたので、ここは飛ばします。
この地域包括医療病棟への転換への意向ですね。まず、届出した、それからもうすぐ取るといったところは、200床未満より200床以上のほうが多いです。検討しているといったところは、200床未満が多い。DPCで見ると、届出予定のほうがDPCよりも非DPCのほうに多いと、転棟のほうがDPCに多いということでございました。
それから、病院機能分類でいうと、届出予定しているのは、急性期ケアミックス型は4割、地域密着型は6割です。一方、検討しているというところは、急性期ケアミックス型が6割、ポストアキュート連携型は1割、地域密着型は4割と、少しずつ届出のパターンが違っているということが分かります。
あとは、疑義解釈資料の送付で、その7というのは、先ほどから言われている施設基準の難しさですね。これを緩和するために、7項目について、来年の5月末まで緩和措置が出ました。どのくらい緩和措置というか、施設基準の1から15までをどのくらい予定、検討しているところは満たしているのかということを調べますと、今のこの緩和の措置になった7項目だけがやっぱりずば抜けてほかよりも悪いということが分かって、そうすると条件設定が非常に妥当ですばらしいということがわかります。
それから、現在届け出ているところも、重症度、医療・看護必要度ですね、それからADLの維持等については結構危機感を持って対応されているようです。
それから、前に検討したときに出した救急とか全身麻酔の手術件数のデータですけれども、地域包括医療病棟の届出の病院がすごく少なかったんですが、とりあえず届け出たところがどういうふうに変わったかというのを見ますと、どの病院も救急搬送が増えるか全身麻酔が増えるか、どちらかです。両方とも減ったり、両方とも不変だったということはない状況で、どちらかがよくなっています。
それから、患者調査ですけれども、マルチモビディティとの関係を調査したのはあまりないと思うので、やってみたんですけれども、地域包括ケア病棟よりも地域包括医療病棟のほうが、マルモ以外のオレンジ色のところ、マルモ以外のマルチモビディティの患者以外の割合が多いかなというところです。
それから、要介護度の分布も見てみましたが、やはりこちらもマルチモビディティの患者の割合が少な目であります。
あと、このマルチモビディティ、どういう疾患が多いかというところで、地域包括医療病棟のほうが脳血管障害の患者さんが3割を超えているところがあったということで、そこがちょっと、もしかしたら少し急性期寄りの病棟だということの証になっているかもしれません。
地域ごとの医療機能と新病院機能分類ですけれども、新たな地域医療構想の医療機関、地域ごとの医療機関機能、これですね、急性期拠点機能とか高齢者救急・地域急性期機能、在宅、PA連携、専門等機能、それから地域包括推進病棟を届け出る病院の新病院機能分類というのをクロスでつくった表です。何のことかということですけれども、この医療機関機能の報告は、1つの病院で2つ以上、複数届け出ることができるようになるはずです。
一方、我々が規定した新しいこの病院機能は、1つの病院で1つの病院機能、最も近似する病院機能を手上げすること、――手上げというか報告することにしてありますので、その関係でこんなような表ができるのかなと思っています。
なぜこんな新病院機能分類をつくったかといいますと、地域包括ケア病棟だけが今まで病院機能分類のポイントだったんですが、今回、地域包括医療病棟も入りましたので、その2つの病棟のうちどちらか1つがあれば、この病院機能分類を使えるようにということでつくり直しました。
地域急性期というのは、救急とか全身麻酔の手術が一定以上あって、急性期機能を有していると自ら判断して、病院全体で急性期を最も重視している病院です。その中の地域ケアミックス型というのは、急性期一般病棟を届け出ている、地域包括型は、急性期一般はなくて、地域包括医療病棟を届け出ている。在宅支援型は、いわゆる在宅を支援するような病院ということであります。ポストアキュート連携・専門型はこのとおりでして、こんな感じの病棟構成になろうかなということでちょっと書いてあります。
こちらは、新たな地域医療構想のところですけれども、このように1つの医療機関が複数の医療機関へ機能を報告することができるということです。
これはちょっと長いので全部説明できないですが、地域包括医療病棟へ転換したいけれども転換できない、もしくは転換しにくい理由について、山のように聞いてみたんですね。そうしたところ、頻度の高いのは、誤嚥性肺炎とか予定手術が多くてADLをクリアできないとか、在宅医療と医療連携機能を持つ地ケア病棟機能を中心に据えると、地メディ病棟と院内連携が難しいとか。それから、地メディ病棟の自院ポストアキュートが算定される回リハだといいけれども、その回リハ自身の算定基準を満たせない可能性が高いとか。あと、急性期一般病床と地ケア病棟を有するケアミックスだけれども、自院ポストアキュート患者を地メディ病棟では5%しか受け入れられないとか。地ケア病棟では重症度の高くない予定患者が多くて、地メディの重症度やADLを満たせないとかいったところが非常に多い答えでありました。
回答を要約しますと、急性期機能とか急性期一般などへのこだわりとか、当地の人口ビジョン、将来の自院の病院機能といった価値観やしがらみなどの理由は少なくて、地メディ病棟や地ケア病棟を活かしつつ、いろんな病床種別とどう組み合わせると高齢者救急と地域医療へ貢献できるのか。それから、医療従事者の意欲が向上するのか、自院の病院経営改善に効率よく寄与できるかということを真摯に考えていらっしゃると思いました。
その中で課題を3つほど挙げてみますと、今までのずっと出てきたことを踏まえて挙げてみますと、地メディ病棟はいろんな要件が厳しいので、軽中等症の内科系疾患や難易度の高くない予定手術は一定以上受け入れることは難しいと。それから、疑義解釈の救済措置は来年5月まで。
2番目の課題としては、一部の地ケア病棟を有する中小病院では、地メディの届出は、1段飛び越えた2段上の印象だということも言われています。
課題3としては、大都市や過疎化の進む地方都市では、生産年齢人口も高齢者救急も両方とも診たいということになって、急性期一般プラス地ケアの需要というのはまだあると。だけれども、そこに地メディと回リハを入れると、受入れも非常に複雑化して大変です。急性期は3通り、回復期は2通り。その一方で、急性期一般と地ケアとか、療養病床と地ケアとか、あるいは地メディと回リハだけという組み合わせは、オペレーションは非常に単純化されますので、今後、包括医療への過渡期対策そのものを複線化する、そういう機運がちょっとまだ不足しているのかなというふうに感じております。
なので、この表を見ながら、自分たちは新たな地域医療構想の中で医療機関機能としてどういう機能を持って、そして地域包括ケア病棟、地域包括医療病棟を届け出る病院の機能としてはどういうものを選ぶのかということを考えると、結構包括期医療への過渡期対策そのものを、医療機関機能を活用して複線化・見える化できるんじゃないかなと考えておりまして、もしよろしければ、この表を見ながら自分自身の病院の将来を考えてみていただければと思います。そして、その中に、もしかしたら地域包括医療病棟やケア病棟を活用するいろんなアイデアが生まれてくるのではないかなとも考えております。
以上でございます。
入会、それからアカデミー、地域包括医療病棟の届出研修、そして、この後話していただく甲賀先生の病院の施設見学会とか、いろいろありますので、またどうぞよろしくお願いいたします。
御清聴ありがとうございました。
猪口雄二
仲井会長、どうもありがとうございました。
いろいろな調査を基に、新たな病院機能分類等のお話まで広げていただきました。
続きまして、甲賀啓介先生を御紹介させていただきます。
社会医療法人駿甲会コミュニティーホスピタル甲賀病院の院長でいらっしゃいます。
簡単に御略歴を申し上げます。2000年4月大阪大学医学部附属第一病院内科の研修医になられ、その後、2019年4月からコミュニティーホスピタル甲賀病院の院長を務めておられます。
本日は、急性期の一般入院料1から地域包括医療病棟へ転換を図ったということで、そのお話を紹介していただきたいと思います。
それでは、甲賀先生、よろしくお願いいたします。


甲賀啓介
猪口先生、御紹介ありがとうございました。
静岡から参りました、甲賀と申します。
今日は、大事な会議にけがで伺えませんで、申し訳ございません。
先ほど来、林課長と仲井先生から、地域包括医療病棟のフレームについて網羅的な説明があったかと思いますが、私はこの病棟を運営する立場で、病院の現場目線から、その経験を通して課題を抽出しまして、皆さんと議論できればなと考えております。
まさに題に示すように、ラディカルに病棟機能を替えていきましたので、皆さんの御意見を賜れればと思います。
まず、簡単に静岡県というところの紹介になるわけですが、人口は大体360万人ということで、都道府県別では全国で10位で、そこそこ人口はいます。ただ、これを分母に持っていきまして、人口10万当たりの病院、医師・看護師数みたいな医療密度を見てみますと、下から6番目というところで、結構すかすかな県であるというところについて御理解いただきたいと思います。
当法人ですが、その静岡県内に病院を3つ持っておりまして、19の関連施設等を持ち、急性期から生活支援に至るまで垂直機能分化を遂げた医療・介護複合体で、比較的規模は大きいのかなというところです。
以上が当院の紹介となります。
これが外部環境ということで、これは昨年皆さん一番よく見たスライドではないのかなと思うわけですが、経年的な入院料別の病床稼働率を示したもので、急性期であっても、地域一般であっても、コロナ禍において大きくその稼働を落として、コロナが終わった後もまだ戻ってきていないというのがグラフ上です。
それを受けての下段で、病院の医業利益率は右肩下がりになってまいりまして、非常に苦しい運営を強いられているというのが現状かと思います。
先ほど仲井先生からも御紹介ありましたとおり、2024年においては7割の病院が医業利益が赤字であるということ。それから、損益の幅ですが、23年に比べてさらに落ち込んでいるという、我々は非常に冷たいお水に浸かった状態であるということが御理解いただけるかと思います。
そういう中でということになるんですが、これは繰り返しになりますが、延べ患者数の推移をマクロで見てみますと、コロナで落ちて、その後戻ってきていないということを先ほどお話ししましたが、そんな中にあって、我々は集患というところを努力しまして、入院でも外来でも患者さんを増やしてきたところです。
救急搬送数というところについても、平成29年なんかは、近隣の病院の救急搬送の推移を見ているものですけれども、もともとは月に20、30台しか受けていなかったところを、救急機能を拡充することによって、当院では大幅に救急搬送数が増えているというところについても御理解いただけるかと思います。現状は、1年で大体2,500件救急車を受け入れております。
このような努力でもって、病院の収益というところについては堅調に推移して伸びてきていると。令和5年には病院のM&Aによって大幅に売上げを伸ばしてきたところです。
その伸び率が結構高いよねということで雑誌に取り上げられて、職員を勇気づけたなんてフェーズもあるんですが、売上げが伸びる一方で、実際は赤字というのが2023年でございました。年間で7億ほどの赤字を計上してしまいまして、その要因を分析してみますと、一番大きかったところは、やっぱり人件費の増額が5億あったということ、多くの人員立てつけに、紹介料に2億5,000万ほど使っているというところがありまして、これが大きな要因だったのかなというところです。ということで、営利を旨とする医療機関ではございますが、利益なければ永続性は担保できないよということで、何とか利益を確保していかなければいけないということで、皆さん苦心されているかと思います。
収入を増やすのか、費用を削るのかというところではあるんですが、因数分解をするとこのような形になります。なんですが、生産年齢人口の減少、人口が減る社会においては、どんどんと売上げを伸ばしていくというところはなかなか難しいのかなということで、経営者の多くの皆さんが、この赤で示した入院診療の単価であったり、診療材料費であったり、委託費を削るというところに苦心されているのではないでしょうか。
我々も全く同様でありまして、入院診療単価というところを増やすべくというわけではないですが、2年ほど前、2023年の4月に急性期4でやったところを、一気に7対1に駆け上がってというところがありました。高いものには理由があるよということで、ここに人員を多く立てつけたり、医療機器を購入したりというところで、持ち出し分も増えたんだよねというところでございました。せっかくここで7対1に上がって、これからまいた種を回収していくのかなと思っていた矢先にですね、昨年の非常に厳しい診療報酬改定というところでございました。
当時の我々の状況をお示ししますと、いわゆる急性期一般病棟に入っていた患者さんの組成というものが、そのうち26%ほど、4分の1ほどが、いわゆるA2点、B3点というところが一番多かった。この一番多いところが廃止になるということで、この病棟を維持していくのが非常に困難になるんだろうと感じたところです。
実際、シミュレーションをしてみますと、今示した赤いところ、救急搬送後の入院ということと、このB項目に該当するものですが、厚労省のマクロなデータのところでいうと、救急搬送後の入院というところは5%ほど必要度が下がっちゃうんじゃないのという試算に対して、我々は8%近く下がってしまう。また、B項目に該当する症例が多いものですから、厚労省の試算でいうところの8%ぐらい下がるよというところでは、我々は14%ほど落ちてしまうという結果でございました。
事実、当時6つの急性期の病棟を持っていたんですけれども、そこで新しいフレームを当てはめて検討してみますと、おおよそ必要度というところが20。27%なんかとても維持できないよねという結果となりましたので、6病棟全部を7対1として維持することは困難であるという判断となりました。
ということで、病棟編成を替えていくということで、フェーズ1ということになるわけですけれども、もともと、先ほど言いましたように入院単価みたいなところですとか、加算を取るために非常に多くの準備をしていてというところだったんですね。上につらつらと書いてありますが、これで増収を狙っていったところです。
病棟の再編に関しては、言いましたとおり、もともと全棟が7対1の病棟だったんですけれども、これは維持できないよねということで、一部を地域包括医療病棟、新設された病棟に移して何とか運営していこうという方針になりました。これで走っていけば、前年同月で積み上げて増収効果ということを見ていきますと、試算としては6億ほど上がっていくので、何とか赤字は埋めることができるんじゃないかという見通しで走り出したところです。
当時は急性期病棟が3病棟で地メディが2病棟ということになりますので、どのように患者さんを振り分けていくのかというところですが、もともと我々ぎりぎりで7対1を維持しているような患者でありましたので、当然、その7対1の要件を満たすような患者さん、手術や抗がん剤を使う症例みたいなのは急性期に入れて、それ以外は地メディに入れてというようなラフな振り分けがあるわけですが、先ほど来議論されているように、こっちの水もそんなに甘くないということで、どう割り振るかということは、両輪をにらみつつ、複線化して苦労したというフェーズでございました。ただ、何とかそこは満たすことができて、急性期3病棟と地メディの2病棟というところで必要度については満たしつつ、走っていくことができたというところでした。
ちょっと話は脱線するんですが、これは地メディにおける病棟別の、地メディ、当時2病棟あったんですけれども、重症度、医療・看護必要度について示しております。
すごくビジーなスライドで恐縮ですが、言いたいことは、もともと地メディとかを維持するときに、一定数外科の症例が必要だよねという議論がなされているようですが、我々にとってはこのCというところのパーセンテージが非常に低くて、あまり手術症例みたいなものは入っておりませんが、いわゆる内科系疾患が多くても維持することは可能ですよというところが我々の病院であったというところで、ちょっと御報告しておきます。
実際、その収益についてはどうだったのかというところになるんですが、2病棟を急性期1から地メディに落として、いわゆる7対1にフィットしないような患者さんを地メディで診ていくことのほうが増収効果としてはありましたということの報告になります。
ということで、実際はその2病棟で回しながら走っていくということをしますと、入院の累計、外来累計、共にまいた種を順調に回収することができて、前年から比べますとおよそ9億の増収を図ることができたんですが、結局のところ10億の赤字というところで、さらに赤字はひどくなってしまったというところでございます。
売上げが10%ほど伸びるのに対して、原価や人件費というところの伸びのほうが上回りまして、高いものを狙いにいって、結局余計に出血してしまうという、ビジネスモデルの限界を感じているところでございます。
こうなると怒るのは銀行さんでございまして、2期連続赤字ということになりますと、新たな融資みたいなものは受けられないということで、エクイティのつかめない状況の中で運用していかないといけない、さらに厳しい状況が続くよねという感じになっております。そうなると、基本的には固定費を削っていくというところが決着点になっていきますので、なかなか厳しい状況が続いているというフェーズ2でございます。
ふと外を見てみれば、我々のこの2次医療圏、志太榛原というところですが、人口が46万人ほどいて、ほかの多くの地方都市と同様に緩やかな減少化に入っているところです。当然、医療・介護のボリュームゾーンとなるところについては、2040年までは増えていきますよと。一方で、きらきらした急性期が、この緑色のゾーン、こういうようなところについては大きく減じているというのが外部環境となっております。
そして、競合というところを見てみますと、我々の46万人の2次医療圏の中には、当院も含めまして急性期を担う病院が5つあるわけですが、割合的にはそんなに多く配分されているというわけではないんですが、どこの病院も、見てのとおり、どこの自治体病院も非常に利用率、稼働率を落としている、そして累積欠損金みたいなものを大きく積んでしまっていてというところです。
何でこんなことになるのかなということについて、明確に答えることはできないんですが、そもそも静岡県というところは、生来、あまり医療機関を受診しないという土地柄もあって、そういうような中で効率的な連携みたいなものが図られないと、みんな同じように干上がってしまうという現状となっております。
このような中で、中を見て外を見て、自院はどういう方向を選択していくのかということを考えないといけないわけですが、我々としては固定費を削っていくというところが非常に大事になってまいりますので、無理して7対1というところを維持してというところがなかなか困難になってきたよねというところがあって、大胆にも、この急性期1を全部捨てて、全部を地域包括医療病棟に替えたというのが今年の3月であります。
また、休床していたところはもう返還してしまいまして、1床当たり410万円というところもありますので、そこでキャッシュをつかんでというような形で、ドラスティックに病棟の編成を替えたところでございます。
ただ、データで見るとこのような感じですが、中には結構激震が走りまして。もともとポジティブにこっちを選んだというよりは、人員のリソースの再配分というところを適正化しようとしてやっておりますので、職員の中には、急性期の病院でなくなってしまうのかとか、これまでHCUを持っておりましたから、術後の患者さんなんかはどこで診るんだということだったり、患者さんはあまり変わらないのに10対1で診ていけるのかみたいなところで、不協和音が多く出ると。それが離職というところにもつながったりするフェーズもあったわけですが、経営者としては、そういうところに粘り強く説得して理解を得るというところで汗をかく必要があったのかなと思っています。
この変遷において、よく急性期一般を手放したねみたいなことを言われるんですが、先ほどからお話があるように、急性期の2から6というところ、また、地メディ、地ケアといったようなところは、先日の分科会なんかにおいても今後どうするのかみたいなところがあって、とりあえず幅広の患者さんを診て十分なリハを提供してお家に帰すという機能のところでいうと、だんだんと均一化していくのかなと私見では感じているところではありましたので、7対1というところを志向しないのであれば、あまりこだわる必要はないのかなと私は感じております。
ということで、現行は5つの地域包括医療病棟を回してということで、厳しいと言われているような必要度であったりというところを満たしておりますというところです。
この赤で示したところですが、院内転棟というところが、いわゆる急性期とのミックスというところが抱えている課題であります。また、この青で囲ったところ、重症度、医療・看護必要度であるとか救急搬送といったところが地ケアとのミックスが抱えている課題ということで、両者にはそれぞれ異なった課題がありますよねというスライドです。
結局、収益のほうはどうなっているのということですが、もともと3つの急性期の7対1の病棟から地メディへ転換したことによって、当院においては増収が図られております。これは、みんながこうということは決してなくて、自院に入っている患者さんというところで精緻にシミュレーションを行えば、ある程度見えてくるのかなというところでございます。
もう1つ、説明変数としては、医療機関係数みたいなところで、きらきらした急性期で医療機関係数が1.5を超えるようなところでは、こういったようなことはないかと思いますが、収益性の面からも、我々のような高齢者救急を受け取るところには1つの追い風となったというところです。
あと、グラフ右ですけれども、我々、地ケアから地域包括医療病棟へ転換しているというところもありますので、その点においても増収の効果が図られていると。内訳については、以下に示すとおりといったところです。
ということで、直近4月、5月、6月の収入を見ていきますと、残念ながら、令和6年に、昨年に比べて患者がちょっと落ちているところではあるんですけれども、単価を保持することができて、収益としては大きくは落ち込んでいないというところで、何とか立ち直っていきたいなというところでございます。
結語になりますが、急性期一般入院料1を地域包括医療病棟に全面転換し、HCU及び地ケア病棟の廃止、病床数のダウンサイジングを行うことで、限られた医療資源を最大限に活用するという新たな医療モデルを獲得しておりますというところです。
最後に、ちょっと愚痴ではないですけれども、林課長が来られておりますので。
我々ですね、病床受皿というところの機能は替えましたが、通院されている患者さんというところは全く、内容は、組成は変わっていないわけですね。そういう中で、脳卒中の患者さんであるとか、バイオを使うような患者さんもいるという中で、こういうところの加算が全くないというところについては、ちょっと御配慮いただきたいなというところ。
また、先日の分科会でも話題になっておりましたが、短期滞在手術というところについて、我々がDPCからおりると大きな点数差が生じておるというところもありますので、その辺を次期改定でどうですか林課長というところで、ウェブで言いたいことを言いながら、講演を終えたいと思います。
ありがとうございました。
猪口雄二
甲賀先生、どうもありがとうございました。
自院の本当にダイナミックな変遷について語っていただきました。
続きまして、池端先生を御紹介いたします。
「新たな地域医療構想からみた地域包括医療・ケア病棟の進むべき道」という題でございます。
簡単に御紹介させていただきますと、池端幸彦先生、1955年福井県生まれで、1980年慶應義塾大学医学部を御卒業されております。一般消化器外科の勤務を経て、1986年から池端病院の副院長、1989年より医療法人池端病院の理事長、そして院長に御就任されております。また、現在も福井県の医師会長、そして日本慢性期医療協会の副会長、地域包括ケア推進病棟協会の副会長、さらに中央社会保険医療協議会の委員と、多面的に御活躍されていらっしゃいます。
それでは、池端先生、よろしくお願いいたします。
新たな地域医療構想から見た地域包括医療・ケア病棟の進むべき道~R6/R8診療報酬改定の議論を踏まえて~


池端幸彦
ただいま御紹介いただきました、池端です。
「新たな地域医療構想からみた地域包括医療・ケア病棟の進むべき道」ということですが、私自身は、先ほど仲井会長がおっしゃっていた在宅支援型の地域包括ケア病床ということを、療養病床の中でどうやって運営しているかということを中心にお話しできればと思います。
スライドが多いので、前半は、午前中の香取先生からお話をいただいたので、さっと飛ばしていきたいと思います。
ご覧のとおり、先ほど課長もおっしゃったことで、入院需要はあちこち違って、外来需要はどんどん全国減って、在宅需要が増えているという状況。そして、治すこと・救うことから、むしろ治し・支える医療になっているということはご案内のとおりかと思います。そして、治すこと・救うことが急性期医療であれば、それを支えるのが治し・支える医療。これは包括的医療とか、生活的医療とか、在宅医療。これを私たちは地域密着型多機能ということでお話をしています。
一方、R6年の改定のトピックスとしては、これも仲井会長からありましたように、栄養管理基準の明確化、そしてACP、それから身体拘束を最小化というところ。これは入院基本料が久々に上がったことに対する、ある一定の要件がかかったことになりますけれども、これは私としてはいい点と捉えています。
一方で、前回は同時改定でしたから、医療と介護の連携ということで、医療も介護もそれぞれ連携することをねらっての加算があったり、あるいは逆に要件化で厳しくなったりということがあって、お互いに引き合うような関係をつくったということでもある。そして、特に高齢者救急をどこで診るかという議論の中で、地域包括ケア病棟で診れるじゃないかという保険者側の意見に対して、それは無理、高齢者救急といってもいろいろあるから、一般病床で診なきゃいけない高齢者救急もあるよという中医協の総会の議論の中で生まれてきたのが、私の認識では地域包括医療病棟ということかと思います。
これも先ほど課長からありましたように、その中で地域包括医療病棟の特徴としては、栄養・リハ・口腔ケア等々について、ここをしっかり急性期の最初から、治療しながらこれをしっかりやる病棟ということで、逆にこれが急性期治療に対してもインパクトがあった制度見直しの良かった点の1つではないかと個人的には考えています。
そして、地域包括医療病棟のプロセスとアウトカムをきちんと評価したこと。さらに、3つの病棟を比べると、ここにありますように、地域包括ケア病棟は一般急性期入院1と地ケアの間にあって、両方のいいとこ取りをしようという、そういったニュアンスを感じる地域包括医療病棟だったかと思います。あと、平均在院日数21日以内の基準という点をちょっと覚えておいてください。
一方で、ご存じのとおり、新たな地域医療構想とかかりつけ医機能というのがこれから始まりますが、2025年が目標値であった最初の地域医療構想については、119万床、ほぼ目的を達成しました。そして、高度急性期、急性期、回復期の3つも計90万床で、ほぼ目的を達した。ただし、違っていたのは、回復期機能が、37.5万床予定していたのが、25万床ほど足らないのではないかと言う点。じゃあ、ここを増やせばいいのかではなく、よくよくこの図を見ると、急性期の十数万床が回復期に替われば、これで目的を達するのではないかという図柄にも見えてきます。
そこで新たな地域医療構想でも話に出てきたのが、この高齢者救急をどこで診るかという議論。これは、実はR6改定でも盛んに中医協で行われた議論が地域医療構想の中でも行われており、そして、その中で高度急性期、急性期、回復期、慢性期というジャンルから、高度急性期、急性期、○○期、慢性期となり、ここの〇〇期が包括期という名前になって、しかも、病棟機能ではなくて、医療機関機能として何をするのということを報告していただこうという話になったことはご案内のとおりかと思います。
そして、大学病院本院的な機能の医師の派遣機能、医育機能以外の、病院機能は上の3つになりますけれども、当院はこの中の在宅医療を提供し、地域の生活を支える機能に特化した地域包括ケア管理料の病院とご理解ください。
ただ、私は当協会の副会長も拝命しておりますけれども、慢性期医療協会にも所属していますが、実はこの地域医療構想の中で、「慢性期医療」という言葉はなくなっていたんですね。これはさすがになくなっていいのかと思いました。この地域医療構想の中で高齢者救急の受皿となり地域への復帰を目指す機能と、在宅医療を提供し地域の生活を支える機能、これは分かる。ただ、そこにどうしても収まり切れない、例えば認知症、誤嚥性肺炎、慢性心不全、腎不全等をはじめとするマルチモビディティに対応して、必要な医療を一定期間、中長期にわたって提供しながら(長期になってしまうこともありますけれども)、あくまでも在宅復帰を目指す機能として慢性期医療を認めてほしいということをお話しさせていただいて、いろんな議論をした覚えがあります。
そして最終的に、ここの中で、上の3つの機能以外に、専門的機能の中で、ようやく高齢者の中長期にわたる入院機能も一定程度認められた。当院は、この専門的機能の中の高齢者の中長期にわたる入院機能と在宅支援機能とを担っている病院。一方で、そこの中で大事なところは、かかりつけ医機能もしっかり担うべき病院ということを意識しています。
これからのかかりつけ医機能報告制度にあります1号機能のほかに、特にこの2号機能というのは、これも午前中、香取先生からお話がありましたように、ソロ・プラクティスではなかなか担い切れない入院の機能とか、在宅を24時間支える機能とか、介護との連携機能とか、ここもしっかり担えるかかりつけ医機能を持った中小病院が必要ではないか。実はこのイメージ図の中にも、在支病、後方支援病院等々でかかりつけ医機能をする診療所と連携するという話も出ていますので、こういったことを担う地域包括ケア病床もあるのではないかということです。
そして、この地域医療構想と地域包括ケアシステムから見た包括的医療の方向性として、これも今日午前中に何度も出ていた地域包括ケアの姿の中で、住まいは、もう既に自宅だけでは住み続けられないので、有料老人ホームとかサ高住とかグループホームとか特別養護老人ホーム等も住まいのジャンルに入れて、そして、今まではかかりつけ医に通院でかかっていたところがかかれなくなってくるので、その方が訪問診療、往診等に、地域包括ケアの中に入っていって医療を提供する。そして、そこで担い切れないものを高度急性期と連携しながら担っていくという、こういう地域包括ケアシステムを支える包括的機能というのが地域医療構想の中に求められているのではないか。
ではこの機能はどこが担うのかということを考えると、やはり包括期となる。そしてここは意見が分かれるところかもしれませんけれども、地域包括医療病棟と地域包括ケア病棟の中で、どちらかというとこの地域包括ケアシステムをしっかり中で支える機能としては、地域包括ケア病棟のほうが合っているのかなという印象を持っています。
いずれにしても、そういう地域密着型多機能病院には、在宅復帰・在宅医療支援機能とリハビリテーション機能、さらに終末期をしっかり看取れる機能ということと、3種の神器と私はいつもそう呼んでおりますが、①信頼できるかかりつけ医、②信頼できるケアマネさん、③頼りになる地域包括ケア支援センターが必要。これは自前でも連携でも構いません。こういった3種の神器をしっかり担うことでこの機能を発揮することができるのではないか。
そして、在宅死VS病院死。今までは在宅死がマルで病院死はバツという考え方がありましたけれども、最近、在宅限界を高める努力をして、ときどき入院、ほぼ在宅を目指そうという流れの中で、これも今日話がありましたけれども、クオリティ・オブ・ライフ(Quority of Life : QOL)。Lifeという英語は便利な言葉で、生命もLifeですし、生活もLifeですし、人生もLife。生命を支えるのが医療で、生活を支えるのが介護だとすると、人生はその方の意思をどう尊重するかということで、まずしっかり生命を医療で支えて、生活を介護で支えて。でも、医療も介護も結局その方の人生を、どう倫理に基づいた尊厳ある人生を支えるかということに収れんされるのではないか。
その中で医療は何をどう提供するかということになると、高度急性期、急性期、回復期、慢性期が、今度は3つになるのではないか。回復期が包括期になって、そして急性期も多機能、回復期も実は慢性期の多機能と考えると、特定入院料がいろいろありますけれども、主にこれからの高度急性期は主に特定機能病院、総合入院体制加算病棟、急性期充実体制加算病棟の3つでしょう。そして、急性期に足を置いた多機能病院が、まさに地域包括医療病棟をはじめとした急性期一般のケアミックスになるのではないか。そして、慢性期の多機能というのは、どちらかというと地域包括ケア病棟から療養病棟の一部まで広い範囲のケアミックス。純粋な慢性期は療養病棟や介護医療院といった感じになると、いずれにしても急性期多機能、慢性期多機能といっても、軸足をどちらに置いているか、つまり急性期に軸足を置いているか慢性期に軸足を置いているかの違いがあって、これ全体を考えれば、地域密着型多機能病院と言えるのではないか。そこでは当然ながら在宅支援が重要な鍵になります。
そして、これはちょっと今回の議論とは離れますけれども、一般病床、療養病床という病床種別もそろそろ転換期ではないか、医療法上の名前も転換期ではないかと個人的には考えています。
では、地域包括ケア時代に求められる中小民間病院がどういうものかというと、一言で言えば、地域密着型多機能型病院、地域包括ケア病床の中で言えば、在宅復帰型あるいは高齢者救急を担う型ということになるかと思います。
では、ここからちょっと当院のお話をさせていただきます。
偉そうなことを言っても、当院は実は30床1病棟しかない小さな病院です。私が院長に就いた1988年、40年ぐらい前ですかね、①私たちは信頼され愛される病院を目指します。②私たちは地域に根差した「かかりつけ病院」を目指します。③私たちは、常に考え学び向上心を持ち続ける病院を目指します。の3つの院是を掲げ、まさにかかりつけ病院を目指していました。
そして、かかりつけ病院というのは、「なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する病院」ということですが、200床未満の包括期病院こそかかりつけ機能を目指すべきではないかということを私は思っています。
当院のデータはこれです。令和6年度の集計ですけれども、13床が地域包括ケア病床管理料1、あと残り17床が療養病床入院管理料1。当然DPCで取っていて、外来は、10年前は月2,000人ぐらい、今は月1,000人ぐらい。本当に外来は減ってしまっています。訪問診療が若干増えて、月40から50件ぐらい。そして、平均病床稼働率も、ちょっとコロナの後落ち込んでいて、9割を若干切っています。
ただ、注目していただきたいのはここで、病床稼働率はちょっと落ちたんですけれども、平均在院日数は地ケアが21日。先ほど地域包括医療病棟の施設基準が21日とありましたが、ほぼ地域包括医療病棟と同じような平均在院日数をクリアして、療養も全国平均から見るとちょっと短かめで120日ぐらい。両方とも実は在宅復帰率は8割から9割ぐらいを維持しているということで、詰まり少ない病床をくるくる回転させて、1病棟を地域包括ケアを支える病院として機能させていただいています。まさに在宅支援型地ケアということを実践しています。
そのためには、いろいろ考えました。小さな病院ですから、あまりあれもこれもというわけにはいかないので、もともとは介護療養型を持っていて、訪問介護、通所介護を持っていましたけれども、全て介護系サービスは撤退して、医療に関連した在宅支援に特化しました。そして、職員は今、非常勤入れて130名ぐらいですけれども、特徴は、セラピストと管理栄養士とケアマネが多いことです。これは、まさに食べること、動かすこと、そして認知する・交わること。ここを支えるために、リハビリ、食と栄養、認知症等を支え、マネジメントするためのスタッフの配置ということになるかと思います。
そして、当院を垂直連携で見ると、院内サ高住から外来まで、何をどう選択するかということでずっと考えていました。まず、急性期一般をやめて、13対1は地ケアにしようということで、療養と地ケア。介護医療院は最後まで迷いましたけれども、小さな介護医療院があってもしようがないということで諦めて、在宅医療を中心にして、これでいこうと思っていましたが、このためにはやはりマネジメント機能が必要。それから通所サービスが必要だということで、ここを少してこ入れして、通所・居宅支援を充実させる。ここまで来ましたけれども、ここで帰したくてもなかなか帰せない。もちろん、介護療養型医療施設とか、あるいは老健、特養等々も空きが出てきましたので、帰せる人は帰せるんですけれども、特に医療ニーズが濃い方で、でも医療区分には当てはまらない、医療区分1の方がなかなか帰れない、帰せないということで、思い切って介護付き有料老人ホーム(特定施設)をつくることを決断しました。
一方、この13対1でありましたように、療養病床は20対1でいいところを、うちは全床で13対1、実際はほぼ10対1で回しています。そうしないと療養病床の在宅復帰が8割というのはなかなか厳しい状況なので、看護配置基準はかなり無理してかなり高目に設定していることもご理解いただければと思います。
そして、垂直連携をした小さな1病棟を地域に展開して、水平連携することによって地域包括ケアを支える1病棟の病院なのです。皆さん方の1病棟がこの機能を担えば、地域包括ケアの1つの固まりは多分ある程度担えるのではないか、そう御理解いただけるといいかと思います。
そして今、つい最近、今年の5月にオープンした介護付き有料老人ホーム「あいしくら」を開業しました。ここの特徴は、病院と渡り廊下でつながっていることで、いつでも10秒で病院から駆けつけることができる安心感。そして、居住環境は病院よりずっといいわけです。ベッド下に生体モニターを置いたり、見守りセンサー、カメラをつけたり、インカムで対応したり、いかに人材を効率よく使うかということも、いろんな補助金もありましたので、思い切って導入させていただきました。
一方で、介護スタッフは、ほぼ全員介護福祉士をそろえました。集めるの非常に大変でしたけれども、うちの病院のデイサービスを閉めたので、そのスタッフをシャッフルして移っていただくことで何とかうまくいきました。
食堂とかデイルームをも広くして、こうやって開所式を迎えられて、宣伝効果も狙って、知事さんとか市長さんとかにも、地元の議員さんに来ていただいてテープカットして、そしてスタッフ全員で撮った記念写真がこちらです。
一方で、大事なことは食べることだから、病院本体の栄養科の調理システムをドライシステムに替えて、ニュークックチル方式を取り入れて、病院と有料老人ホームの食事と、デイサービス、デイケアもそうですけれども、全部自前でつくるようにしました。栄養科の職員はすごく喜びました。
特に医療ニーズが濃い方、本来病院にいなきゃいけないかもしれない方も受け入れる老人ホームにしたいということで、お風呂も少しぜいたくに、個浴から車椅子浴、そして全身浴、機械浴も揃えて、これはデイケアも利用できる設備です。
ただ、そうすると当然居住費が上がってしまい、更に構想から2年ぐらいかかったので、その間に建築費が1.5倍ぐらい上がってしまい、入居費だけで月約17万円。要介護1で平均すると23万、要介護3であれば24万ぐらいの設定となってしました。福井県で月24万円って、なかなか入る人が難しいんじゃないかと非常に心配し、銀行の方とも相談しましたけれども、何とかおかげさまで、今のところ、5月、6月、7月と順調に来て、今入居率が8割弱。医療機関からの入居が9名で、約半分が医療機関から来ているんですね。医療機関で行く場所がない、介護施設も行けない方々が、うちの施設は病院がすぐ隣にある、すぐ対応できるからということで来ていただいたり、居宅から8名、介護施設から転所で2名という内訳です。
そこでここが頑張りどころということで、ここからしっかり人員配置をさらに拡張して。看護師を1人体制ではちょっと無理だということで、2人体制にすることでさらに医療ニーズの濃い方を受け入れられるようにしようということで考えています。
こうすることによって、病院、いざとなったときに地ケアを使えることになって、実質的に24床の病床の増床とみなす。なかなか在宅では難しいところもあって、地域にベッドを持つという感覚で、お隣に24床を増床したという感覚で、ここを上手に使いながら地域のニーズに応えていければということで、少ないベッドをいかに上手に回転させるか。毎週、退院カンファレンス、入院カンファレンスをやっています。
つい最近出ました「かかりつけ医機能に関する取組事例集」、厚労省が6月に出した第1版で、最初に福井県全域の入退院支援ルールのことを取り上げて頂き、更に12番目に当院の地域密着型のかかりつけ医機能を担った中小病院の役割ということで当院の取り組みも取り上げていただいたので、またご覧いただければと思います。時間の関係で説明は割愛しますけれども、こういったことを取り上げていただいたので、私たちがやっていることを少しは意識していただいたのかなと思っています。
最後に、草場先生がテーマに上げられていた、「地域包括ケアを支える人材育成を目指して」ということで、ちょっと追加でお話します。
人材育成を目指して、当院は、実はもう数年前から、福井大学病院と福井県済生会病院の初期研修のほかに、福井大学と金沢大学の学生を、2週間コース、宿泊施設ありの4週間コースで研修を受け入れています。
その研修医の最終日での報告の1例を紹介すると、「研修に来る前は、池端病院の研修って何、慢性期って何、地域を交えた多職種って何って感じで来ましたけれども、こういった様々な研修メニューを通して、地域包括ケア病床で一定の急性期にも対応し、医学的側面以外の患者の背景も把握し、退院後の生活も考慮した介入、多職種を交えた病棟カンファで情報共有、身体拘束は最低限、患者さん・家族の要望に柔軟に対応。更に驚いたことは、患者さんだけでなく家族にも配慮しているとか、常に患者さんを見守ってくれている多くのサービスがあるとか、人工呼吸器で在宅する人もいるし、骨折で入院する人もいる。その家族、個々人の希望に応じていろんな対応をするということ。そして、家族・患者・医療者の覚悟次第でいろんなことができるということが分かった。」との事でした。
この内容すべては、最後の研修でプレゼン頂いたときのスライドをお借りしたんですけれども、こういうことを感じていただける先生が、いずれ、回り回って当院に残ってくれればなと期待しています。
最後ですけれども、このように、最終的には地ケアと療養のコラボが結構うまくいくこともありますし、地域住民の思いが病院経営の最後の砦ではないかと感じています。最後に吉田松陰の言葉を紹介します。「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。 故に、夢なき者に成功なし」ということで、最後「夢なき者に成功なし」になりますから、こんな厳しい時代だからこそ、夢を持って病院経営をやっていきたいなと思っています。
ご清聴どうもありがとうございました。(拍手)
猪口雄二
池端先生、どうもありがとうございました。
自院でのいろいろな経過について詳しく御紹介していただきました。
パネルディスカッション(まとめ)
それでは、時間はあと20分になりましたので、すぐにパネルディスカッションに移りたいと思います。3名の先生方よろしくお願いいたします。また、甲賀先生もウェブで御出演お願いできるんでしょうか。よろしくお願いいたします。
それでは、フロアの方々には質問を全く今まで受けておりませんので、質問をぜひお考えいただきたいと思います。

まず、4人のパネリストの先生方、それぞれの発表をお聞きになって、まだ言い足りないこと、もしくはほかのパネリストの先生に質問等がありましたらお願いしたいと思うんですが、仲井先生、いかがですか。
仲井培雄
池端先生に質問したいんですけれども、救急の要件とかはどうやって。
池端幸彦
当院は、救急に関しては地域で救急指定を受けるのに療養病床はだめだという規定があって、受けていません。だから、5%削減は自宅等からの患者受入率や緊急患者受入率で(減算要件を)クリアしています。
仲井培雄
分かりました。ありがとうございます。
救急の受入れは月にどのぐらいされているんですか。
池端幸彦
外来から飛び込みで入った入院も含めて、月に10例から15例ぐらい。
仲井培雄
それをみんな地域包括で受け入れているということですか。
池端幸彦
そうです。
仲井培雄
ありがとうございます。
猪口雄二
甲賀先生、何かほかのパネリストの先生方に御質問ございますでしょうか。
甲賀啓介
内科系症例というところは診療コストが高くなりがちということがあって、内科が不利にならないように診療報酬上の評価加算設定というところの工夫はぜひやっていただきたいなと。
また、すみません、愚痴みたいになってしまいましたが、思ったところであります。
猪口雄二
ありがとうございます。
池端先生、何かほかの先生方に御質問、もしくはもう少しこれをつけ加えたいということがあったら、お願いできますでしょうか。
池端幸彦
特に大丈夫です。
猪口雄二
ありがとうございます。
それでは、フロアの皆様から御質問いただきたいと思います。御質問のある方は挙手をお願いいたします。
特によろしいでしょうか。
どうぞ。所属とお名前をおっしゃってから、どなたに質問されるかをお願いします。
質問者1
池端先生の最後のほうのスライドですごく感銘を受けまして、池端先生にご質問なんですけれども。
我々ソーシャルワーカーも、患者さんの退院支援に当たりまして、先ほど先生がおっしゃったように、なかなか受皿がない患者様が年々増えてきていまして。特に医療区分1とか療養病棟に入れない中間層に至る患者様がなかなか、老老介護で、家で見られない方もやっぱり半分はいますので、地ケア病棟含め、急性期病棟からの受皿というところで、施設を自院、病院とミックスさせたという考え方がすごく共感を受けたというか。
ただ、2040年に向けていろんな勉強とかする中で、介護医療院という先生のスライドがあったんですけれども、医療院より有料老人ホームを選んだ選別のポイントになった部分だとか、そういった施設とのメリットというか、それが病院の経営にもプラスアルファになるかとか、その辺もう少しだけ教えていただければ幸いです。

池端幸彦
ありがとうございます。
まず、介護医療院を諦めた理由は、介護医療院はあくまでも病院の転換だったので、30床の病院で5床、6床、10床転換するっていう、スケールメリットもありませんし、逆に、同じ施設の中に介護と医療を持っている煩雑さもあるので諦めました。
有料老人ホームをつくること、当初は全く私考えていなかったんです、本当は。というのは、やはりそれは専門家、住宅は住宅の専門家に任せればいいと思っていたんです。ただ、当院が今、地ケアで回して療養で退院させるときに、なかなか帰れない方々、療養からも帰れない方々がいて、この方々をどうしたらいいか。でも、こんな狭い病院の環境にずっと、一生ここってないよねって思っていて、だったら有料老人ホームもありかなということを考え出しました。たまたまコロナ補助金等で少し経営的にもよくなって、銀行もお金を貸していいよと言って頂いたので(笑)、じゃあ頑張ってみようと思ってやってみました。
それと、結局、介護施設って医療ニーズに一番困るわけですね。喀痰吸引が8回以上だったら療養病棟でもいいけれども7回だったらだめって、そんな簡単にいかないので、そういった医療ニーズをしっかり受ける。渡り廊下から幾らでも医療スタッフが行けますよということで、そういうニーズがあって、多少居住費が高くなってもいけるんじゃないかと思って、ソーシャルワーカーがいろんな病院とやり取りした中でそういうニーズがあるからという結論を出してくれて思い切った形です。
やはり大きな病院、例えば日赤さん等の急性期病院からどんどん依頼が来るんですけれども、やはりいきなり在宅って難しいし、何が困って在宅できないかって分からない方がいるので、とりあえず地ケアに預かりますとなり、うちで預かって、そこから在宅やりませんかということで在宅復帰を目指します。
その中の1つで、有料老人ホーム、自宅、特養、老健等々で、そこから振り分けするときに、リハをやったり栄養をよくしたりするとぐっとよくなることがあるので、そういうツールとして病棟を使って、基本的には在宅に帰す病棟として。30床1病棟でもそのぐらいのことはできるので、ということをやってみようと思って、それが結構うまく回り出したということです。
お答えになっていませんか。
質問者1
ありがとうございます。
いろいろ質問できる場が、まずこういうふうにあったことが。
池端幸彦
それと、うちは退院を医師が決めるんじゃなくて、退院調整ナースとソーシャルワーカー等みんなが決めて、「先生、あの患者帰せますよね」って言っているぐらい。主治医はちょこちょこ出張することが多いので、退院を決められないので、みんなでその病棟をどうやって効率的に運営するかを考えていくことも1つのみそかなと思います。
質問者1
どうもありがとうございます。
猪口雄二
ありがとうございました。
もう本当に時間もあとわずかになってしまいました。
今日は地域包括医療病棟というのが大きなテーマになっていると思います。甲賀先生、ウェブのほうからですけれども、今、地域包括医療病棟を多くやられるようになって、率直な感想として、これは非常にいいシステムだとお考えなのかどうか。また、こういうふうになったらいいなということがあったら御意見をいただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
甲賀啓介
ありがとうございます。
いいか悪いかということでいいますと、先ほど来皆さんが議論されているように、増えてくる高齢者というところは、多分に多様な医療・介護ニーズというところで濃淡あって含まれている。それに柔軟性を持って対応するときに、その患者さんはどこにいるのが適切なのかというお話をされていたと思うので、いわゆる地域包括医療病棟というのは非常に柔軟性を持った病棟なので、ありだなと思っているのが答えです。
ただ、すごく高い専門性とか連携体制を求められながらも、結局、どんな地方でも人的リソースと時間には限りがございますので、そこが本質的な問題だと思うところです。
以上です。
猪口雄二
ありがとうございます。
池端先生、最後に何か、御自分のところの今後のあれでも構いませんので、一言お願いできればと思いますが。
池端幸彦
一言、言い忘れたことで。
私どもは本当に小さな病院ですから、一番大事にしているのは、やっぱり顔の見える連携ができる範囲での機能ということ。それがあれば、いろんなことが見えてくるというか、限界も見えてきますし。
飛び込みで全く知らない人がぽんっとうちへ来てもなかなか対応できないんですけれども、普段からやり取りしている患者さん、施設であったり、地域であったり、在宅であったり、うちの隣のホームであったりであれば、誰にも負けない医療をしっかりその方に合わせて提供できると自信を持って言える。これは顔の見える連携ができる範囲ということが前提かなと思っています。
以上です。
猪口雄二
まさに地域密着型の病院ということだと思います。
仲井先生、ぜひですね、この地域包括医療病棟、この協会の今後の目標みたいなことを少しお話しいただけたらと思うんですが、いかがでしょうか。

仲井培雄
ありがとうございます。
甲賀先生がいろんなことを言われて、急性期、地メディ、地ケア、それから回リハというものを持ったときに、どれだけ大変かということが今日はよく分かった気がしました。
その中で、どうやったら一番シンプルな形のオペレーションができるのか。そのとき、患者さんにとってはどれが一番いいのか。そこがまずやっぱりものすごく大事なことのような気がいたしました。
その中でしっかり経営をされていて、今日の甲賀先生のお話は本当に胸にしみました。本当にありがとうございました。
林課長先生には、今後また、地域包括ケア病棟、それから医療病棟、そのほか急性期とか、いろいろありますけれども、その中でどういった医療機能を持っていけばいいのか。医療機関機能の中で、高齢者救急だから地メディと決めつける形ではなくて、何かいろんな複線的な取り組み方ができて、それがまた効率化、あえて言いますけれども、経営にもつながるようにしていただければと思う次第でございます。
今後ともよろしくお願いします。
猪口雄二
ありがとうございます。
それでは、少し時間もオーバーしましたけれども、このセッションをこれで終了したいと思います。
皆様、どうもありがとうございました。