第10回地域包括ケア病棟研究大会
【開会式】
挨拶
仲井培雄
まずは、令和6年1月1日に発生した能登半島地震のことについてお話ししたいと思います。私は石川県在住ですので、最初にそのことをお話ししたいと思います。犠牲となられた方々の御冥福を祈るとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、全国からそのときに集まってこられた医療支援チームやボランティアの方々には、石川県民としてこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。本当にどうもありがとうございました。
それでは改めまして、皆さん、おはようございます。今日も暑い中、地域包括ケア推進病棟協会主催の第10回研究大会のために、東京は一橋に御参集いただきましてありがとうございます。
2014年に発足して10年。そして、2019年に法人化して5年が経ちまして、10年の歴史を積み重ねました。関わってくださった全ての皆様に感謝いたします。
記念すべき第10回大会の大会長は、医療法人聖仁会西部総合病院理事長の西村直久先生にお願いいたしました。西村先生をはじめスタッフの皆さんのすばらしい取組で、700人を超える参加者が集い、110を超える演題が集まったこと、そして講演やシンポジウムにすばらしい演者の皆様をお招きしてくださったことを感謝いたします。
また、10周年にふさわしい取組として、ホームページを刷新することにいたしました。昨年度設置した広報委員会に取り組んでいただきまして、7月中にリニューアルする予定です。活発化している当協会の各委員会活動の成果を、コンテンツを通じて会員の皆様や未来の会員に届けたいと思っております。
新しいホームページの紹介動画、広報委員長の田中志子先生がてきぱきとつくってくださったので、約2分の動画ですけれども、今御覧になっていただければと思います。お願いいたします。
[動画]
いかがでしたでしょうか。
皆さんにとってとても使いやすいホームページになったらいいなと思っております。
さて、2024年度は、コロナ禍が明けて、4月から6月にかけてトリプル改定が実施されました。賃上げ改定と称されますが、入院通則が変わりまして、高齢虚弱マルチモビディティ患者の診療の足固めも行われたと理解しております。
地域包括ケア病棟は、これまでどおり地域包括ケアシステムの要として、地域共生社会実現の足がかりとして、様々な生活の場のかかりつけ患者をしっかり診ることが求められました。
一方、高齢者救急としては、地域包括医療病棟が新設されました。
当協会の会員からは、地域包括医療病棟の届出支援や、地域包括ケア病棟を転換して地域包括医療病棟を開設した場合の会員継続の要望が出てまいりました。そこで、会員のために地域包括ケア病棟と地域包括医療病棟を地域包括ケアを推進する病棟と定義しまして関わることといたしました。さきの総会で、法人名を地域包括ケア推進病棟協会に変更いたしました。
トリプル改定を終えたものの、円高やウクライナ等の戦禍による諸物価高騰、長期金利の上昇、人手不足がじわりと私たちの体力をむしばんでおります。しかし、新たな地域医療構想や医師の偏在対策、かかりつけ医機能などが検討され、子ども・子育て支援を含む全世代型社会保障と地域共生社会の実現に向けて取組が加速されていると思っています。
この状況で、西村大会長が掲げられた本大会のテーマは「「地域包括ケア未来構想」~人生100年時代に向けて~」であります。本日は皆さんと一緒にこのテーマのもとに勉強できることが素直にうれしいと思っております。地域包括ケア病棟と会員施設の地域包括医療病棟をともに育てて、日本の地域包括ケアの未来をたぐり寄せる学会としたいと思っております。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
本日はどうもありがとうございました。
西村直久
皆様、おはようございます。
これからは研究大会になります。私、今マイクに頭をぶつけましたけれども、元気よく、目を覚まして頑張っていこうと思います。
第10回地域包括ケア病棟研究大会の大会長を仰せつかりました西村です。
いかんせん、10周年の記念大会なので大変緊張しておりますが、精一杯努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
先ほど仲井会長から御説明がありましたとおり、先月、当協会は地域包括ケア推進病棟協会に名称変更しました。プログラム記載の名称まで変更する時間はなかったのですが、名称変更して最初の協会行事となりますのでよろしくお願いします。
本日は、北は北海道から南は沖縄まで、非常に大変多くの皆様に御参加いただきましたことに感謝申し上げます。基調講演、特別講演では、極めて御多忙の中を、日本医師会会長の松本先生、また、厚生労働省から医務技監の迫井先生、前医療課長の眞鍋先生に御講演を賜ります。また、パネルディスカッション、シンポジウムでは、全国各地で御活躍されております先生方に御登壇いただきます。一般演題におきましては、全27の発表カテゴリーから過去最多の116の演題登録をいただきました。おかげさまで20のセッションを組むことができました。また、35社の企業様より御協賛をいただき大会運営を支えていただいております。
本日ここに無事に開会式を迎えられましたことは、本当に皆様のおかげでございます。改めまして、この場を借りて心から感謝とお礼を申し上げます。
本大会のテーマは、「「地域包括ケア未来構想」~人生100年時代に向けて~」にさせていただきました。地域包括ケアの未来を考える上で、より深く掘り下げて具体的に進めないといけない。これからは、システム自体の深化と推進が求められています。その中でも、特に高齢虚弱マルチモビリティ患者さんを地域でどう支えていくか、「ときどき入院、ほぼ在宅」、最後は卒業、これをどのように深化させていくかが地域の共通課題であると考えます。
従来の仕組みづくりから、患者の機能改善に重きを置いた多職種による更なる顔の見える関係構築が重要であると思います。連携は進んでいるが、双方の顔が見えていない、お互いの考え方の違いに気づいていない。このような状況があるのではないでしょうか。職種間でのアセスメントや目標の違いを共有し、患者・家族を中心にチームとして支援計画を立てていく。このような一歩踏み込んだ取り組みが大切です。
一方で、地域に目を向けると、労働力の低下、老老介護や核家族化による介護力の低下、地域の社会基盤やヒューマンインフラをどう維持していくかが大変大きな問題です。誰もが我が事のように我が町を守る、このようなサスティナブルなまちづくりが重要ではないでしょうか。これらを、医療機関、介護事業所、福祉事業所が中心になって、地域住民を巻き込んで町を活性化していくことができれば素晴らしいことだと思います。
高齢者を中心とした、支え手中心の地域包括ケアシステムから、今大会では一歩踏み込んだ、誰一人取り残さない全世代型の地域共生社会づくりをイメージできる大会にしていければと考えております。
地域包括ケア病棟並びに地域包括医療病棟が何を求められるのか、役割は何かといったことを皆さんと一緒に考えていければと思っております。
本大会が皆様にとっても地域にとっても大変意義深く、実り多いものになることをお誓い申し上げて、開会の挨拶とさせていただきます。 本日は長丁場になりますが、どうぞよろしくお願いいたします。