研究大会

第9回地域包括ケア病棟研究大会

【特別公演】

「2024年を見据えた地域包括ケア病棟の方向性」

鬼塚一郎

松本医師会長の熱の入ったすばらしい基調講演だったと思いますが、それに続きまして、特別講演を厚生労働省保険局医療課長であります眞鍋馨先生にお願いしております。

御略歴については、お手元のパンフレットを見ていただきたいと思いますが、眞鍋先生は平成7年に東北大学医学部を卒業されたドクターであります。同年厚生労働省に入られました。

私、これを見ていて思ったのが、平成14年にロンドン大学に御留学されとありますが、その後、厚生労働省でいろいろ御活躍されている中において、平成24年に長野県の健康福祉部長という、いわゆる地方の医療のこと、福祉のことをしっかりやっているということで、いわゆる世界的な鳥の目、地域の虫の目という両方を兼ね備えている先生ではないかと拝察しております。

今までも勉強会で何回か御一緒したときも、大変バランス感覚の取れたすばらしい先生がこういう診療報酬改定に関わっているということで、皆さん異口同音に、安心だねと、こういう人が厚生労働省でそういう仕事をしているということで大変すばらしいと言っているのがよくわかります。

眞鍋先生、今日はたくさんお話しいただけると思いますので、御紹介はこのぐらいにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

眞鍋

皆さん、おはようございます。御紹介いただきました眞鍋と申します。

鬼塚先生、過分な御紹介をありがとうございました。また、基調講演の松本先生からも様々なエールをいただいて、ちょっと緊張しております。

ここにいらしていただいている先生方は、本当に日本の医療を牽引されている先生方ばかりだと思っております。そのような先生方の前で、今日は「2024年を見据えた地域包括ケア病棟の方向性」というタイトルでお話をさせていただきます。まず全体的なスケジュールを申し上げます。

ちょうど今、次の同時改定に向けて、本格的に議論をスタートしております。その中で、私どもが今こんな方向性で物を考えているんだよというお話を申し上げることと、もう1つは、1つ1つの診療報酬の世界。松本先生も途中でおっしゃっていました、例えば地域包括ケア病棟の3つの機能をちゃんと充実させてバランスよくやっていただきたいということですけれども、その中で当然地域の実情に応じて、例えばそのバランスがこちらが主になるとかいうことは当然あっていいと思っております。そういうことで、地域に応じて多様な機能を発揮していただきたいという病棟であります。

一方で、松本先生、示唆に富んだ御講演だったと思いますけれども、その地域地域で求められる医療が必ずありますので、その中で自分の病院がここを将来にわたってきちんと担っていくのである。それをちゃんと良質な医療として提供していくのである。そのためには、こういう機能を備えていく、報酬としてはこれを取るという、どちらかというと報酬オリエンティッドではなく、地域医療のニーズオリエンティッドで病院のことを考えていただけると、その病院の経営というのは多分将来にわたって安定するのではないかなと思っております。

当然、その改定ごとにやらなきゃいけない、対応しなきゃいけない、自院をこんなふうに見直していかなければいけないという状況はあり得ると思うんですけれども、地域でニーズがある医療をちゃんと受け止めていくという軸がぶれないでいただければいいのではないかなと思っておりますし、私ども、そこは丁寧に見させていただいて改定を考えていかなければいけないと思っております。これが大事なメッセージの一つかなと思って聞いておりました。

今日は8つのアイテムを御紹介します。

この時期でございますので、1つ1つの細かい内容というよりは、日本の社会保障の歴史はこうなっていて、今後こうなりそうだという話を、松本先生ほどではないですが、私も100枚ほどスライドを用意しております。もちろん、時間の中で全部丁寧にお話し申し上げることはできませんが、なるべくそれぞれのスライドを用いた中で、通底している、あるいは基となっている考え方を御紹介することで、皆様が今後、自院に持ち帰っていただいたときに、眞鍋はこんなことを言っていたなとか、あるいはこういう出典を引用していたなとか、じゃあそこを見てみようとか、情報を取る手段としてこういうことを考えればいいんだなということが伝わればいいなと思っております。

まず、日本の人口動態はもう御案内ですね。

2040年に日本の死亡者数はピークを迎えるだろうと言われております。このときにいかに豊かな人生の最期を迎えていただける社会をつくるかということが、我々医療者、そして厚生労働省に問われているということであります。

そして、医療は、外来、入院、在宅と大まかに大別をして中医協でも議論いただいております。外来は既に減少局面にある医療圏が多く、入院が増加するのは都市圏だけで、地方においては既に入院の需要もピークを過ぎているところがほとんどになってきています。そして、多くの地域で今後在宅医療のニーズが増えるでありましょうということを表している日本地図であります。

凡例が右にありますけれども、2015年以前にニーズのピークが来ていたという地域と、青が2040年以降に最大となるということでございます。見ていただけると、外来、入院、在宅。在宅の需要ほぼイコールで介護保険の介護のニーズということになりますけれども、この順番でこういう変遷を各地域が経ていくわけです。そうすると、地域地域でそのニーズに合った医療資源を整備していかなければいけないということになるわけであります。

そして、それをもう少しブレイクダウンしたものですが、ちょっと字が多いスライドで申し訳ございません。4つの疾患について、65歳以上人口が増える地域と減る地域で、入院とかいろんな処置、こういったものの手術とかt-PAとかの処置のニーズがどのぐらい上がり下がりしますかということであります。65歳以上人口が増える地域と減る地域が、1つの箱の中に、左と右に示されています。

65歳以上人口が減る地域においても、一番右の脳梗塞とか左下の大腿骨骨折の医療ニーズ、入院のニーズは増えるということになりますけれども、逆に、悪性疾患とか虚血性心疾患のニーズというのは減る地域が出てきているということであります。こういう地域でがんの治療を担当される医師の数とか大腿骨骨折を担う医師の数というのはどのように配分がなされるのが適当なのかということが考えられなければいけないことになります。

それからもう1つ、これは私がよく出すスライドですけれども、認知症です。

現在、2023年ですが、認知症の患者さんが大体700万人と推計されます。それが、先ほどの最も多くの方が亡くなる年であろうと推定されている2040年ですけれども、900万人弱ぐらいだろうと思います。多い推計で953万人、少ない推計で800万人であります。間を取るとすれば900万人ぐらいだろうということですが、このときの日本の人口は何人ぐらいだと思いますか。1億1,000万人ぐらいと予想されています。とすると、今は1億2,000数百万人で700万人を支えている。ところが、2040年になると1億1,000万人で1,000万人弱の認知症の患者さんをお支えする社会が来るということであります。

こういうことから、私は、今後は社会的なニーズとしてリハビリテーションと認知症ケアが重要になるのではないか。この質と量の整備が必要になるのではないかとここ8年ぐらいずっと言っていると思います。私、経歴の中にありましたけれども、医療課は3回目になるんですが、以前、企画官で着任していたときから、私の講演ではずっと、今後は認知症ケアとリハビリが大事だと。これを量的に、質的にどう整備していくかで日本が高齢化社会をどうやって乗り越えていくか、その質が決まると考えているところであります。

さて、次です。社会保障費・医療費・介護費の動向です。

改定率とか改定はいつ決まるのということですが、最終的に決まるのは年末。改定に関しての内容は2月に答申がなされますが、実は、次の予算に向けてのさや当てというのは、既に夏に至る前から始まっています。

これは昨年の骨太です。2022年の経済財政運営と改革の基本方針。これを骨太の方針といいます。こちらで、夏の、大体6月に閣議決定されるんですが、ここにどう取り込まれるかということが結構大事です。

これは昨年のものですけれども、まず、令和5年度予算においては本方針及び骨太方針2021に基づいて着実に改革を推進すると書いてあります。実は、こういう結構平易な書き方ですが、本当に大事なことが書いてありまして。

骨太2021にどう書いてあるか。骨太2021の一番下に参考で書いてありますけれども、2020年から2024年の3年間について、これまでと同様の歳出改革努力を継続すると書いてあります。つまり、この6月の段階で、2021年の骨太に基づくと書かれた瞬間に、なるほど、令和5年度社会保障費というのはこの改革を継続する路線だということが規定されるわけです。

この骨太でどう書かれるかというのはとても大事なことになります。政府の予算の流れを追っていただくと明確ですけれども、骨太が出て、8月末に私ども官庁が財務省に対して予算原案を要求することになります。その後、各省庁と財務省とが折衝して、年末に政府予算案が固まります。年明け、3月まで議論されて予算が成立するという流れになりますので、12月の予算の要求をどのようにするかということは、実は夏に決まっているんですね。夏に要求をする内容というのは6月に決まるということになりますので、実は、骨太の書き方はとても大事な要素になります。

これ、今年どうだったかというのは後でお見せします。

こちらは、社会保障費が自然増で毎年6,000億から7,000億ぐらい増えていくと推計されます。社会保障費ですから、年金も医療も介護も全部含めてです。その中で、国庫負担が毎年6,000億から7,000億円増えるでしょうというのが私どもの自然な推計です。それを毎年毎年の改革の努力で少しずつ効率化してきているんですね。それで何とか予算を成立させているというのが今の日本の財政の状況であります。

御説明したいのは、そうやって今の日本の予算はこれまで成立させてきたということです。松本会長の御講演にありましたように、デフレからの予算編成と、来年はコストプッシュ型ですけれどもインフレの予算編成になりますから、やっぱり発想を変えなきゃいけないと思っております。

これは税収の推移です。日本の一般会計の税収ですけれども、基幹3税を持ってきています。所得税、法人税、消費税です。

これも説明するとなかなか長いですが、まず御説明したいときに申し上げるのは、税収って結構ぶれるんですね。景気によってぶれるということです。バブルの平成2年ぐらいが60兆円ということでした。実は、平成30年にこのバブル期の税収は超えています。その後また増えてきていて、多分、昨年度の税収も過去最高になるだろうと言われています。途中、落ち込んでいるのが平成21年です。2009年だと思いますけれども、この年の前の年に何があったか。リーマンショックです。そういうことがあると法人税とか所得税は落ち込むんです。ところが、黒い実線の消費税収自体はあまり落ち込んでいないということになります。消費税収というのは安定財源であるということは、こういうことを見てもわかるかなと思います。だから、社会保障費に消費税を充てていくというのは自然な考えかなと思います。と同時に、全体のパイを考えたときに、やっぱり税収を上げていかなきゃいけません。その中で社会保障費も工面されるということです。社会保障費は税金と保険料と自己負担で成り立っておりますから、社会保障費を工面していくとすれば、税収も上げ、収入も上げることで保険料収入も上げ、自己負担もちゃんと払えるという環境をつくっていくというが大事だということになります。

医療費の動向、介護費の動向です。

介護費は本当に増えていますね。医療費は、2020年は下がって見えますが、実はこれ、コロナでかかった補助金やワクチンは入っていませんので、それを入れると、またこれも増えるということになっています。

今、一貫して上がってきています。過去に、私は2006年に改定を担当していました。2005年と2006年の医療費を見ていただくと33.1兆円で、2006年は史上最大のマイナス改定だったんです。

マイナス3.16%改定をしたんです。実際に私どもが計算しても、マイナス3.16%になっていましたが、医療費は一緒です。あれっと思われますよね。どういうことか。改定率というのは、お一人当たりの医療費をどう上げ下げするかです。掛ける患者さんの数がいらっしゃいますので、お一人当たりの患者さんの医療費を下げたとしても、患者さんが増えたり、高い医療費の方が増えたりすると、それを打ち消す効果がありますということで、結局医療費はお一人当たりのコストと患者さんの数の掛け算ですから、お一人当たりコストを下げても、患者さんの数が増えれば、その効果は相殺されて、平成18年の改定というのは前年度と同じ医療費でしたということになるわけであります。

本当は高額薬剤の話とかもしたいんですが、今日はちょっと外れますので、次にいかせていただきます。

私がいつも講演で申し上げているのは、社会保障と税の一体改革というのは、非常に大きな方針が立てられた改革だったと思います。あとは、近年では、昨年の12月に取りまとまりました全世代型社会保障構築会議の報告です。

この辺は飛ばさせていただいて。

平成25年8月8日に社会保障制度改革国民会議報告書が取りまとめられました。この後、数枚スライドで内容を御説明します。

これは40枚ぐらいの報告書です。ここにいらっしゃる先生方であれば、恐らくそんなに時間をかけずに、興味を持って読み進めていただけるのではないかなと思いますが、10年前の報告書ですが、全く色あせていないですね。この報告書でその後の社会保障改革というのは決められていると言っていいと思いますし、実は、私も数か月に1回は、これはどんなふうに書いてあったかなと読み返しをします。自戒を込めて読み返す部分もあります。

ここで大事な方針が決まっていて、あとは、確かに政権ごとにこういう会議がつくられてきたんですが、令和4年12月16日の全世代型社会保障構築会議でも、先ほどの平成25年ほど大きなものになっていませんけれども、大きな方針が決められております。

この2つの報告書はぜひ目を通していただければなと思います。エッセンスはこの後御紹介します。

平成25年度ですけれども、当時慶應義塾大学の塾長でいらした清家先生が会長をされています。この清家先生がコメントをしているものを抜粋してきています。このスライド自体は、先生にも御覧いただいて許可をいただいております。社会保険旬報2019年の年頭の号に載ったものです。

4つポイントがあるとおっしゃっています。このときの改革の意義、給付と負担を一体で考えたこと。つまり、給付を充実させると同時に負担も増やしますよと。消費税を5から10に上げますということをきちんと言った。つまり、このときは財源がついてきたということです。2つ目は、給付と負担を一体で考えると同時に、給付も一体で考えたこと。すなわち、特に医療と介護の給付を一体で考えたことでありますと。これが地域医療構想とか地域包括ケアとかにつながっていく。3つ目は、今注目されるようになった全世代型の給付は、このときまでとこのとき以降で子どもに関する予算の額が違ってきています。子どもに毎年7,000億円以上の予算を充てていきましょうということは、このときに方針として立てられています。4つ目は、制度の問題というより、合意そのものの意義でとおっしゃっていまして、一体改革が3党の合意によって成立したこと。成立したときは民主党政権でした。その後政権交代がありまして、報告書を取りまとめられたのは安倍政権のときでありますけれども、3党の合意で成立したということであります。

この後、2枚か3枚国民会議報告書のスライドは続きます。文章を全部読むことはしませんが、1つ目のパラは、日本の医療は総体として非効率であるという分析をしています。全ての病院は本当によく頑張っていらっしゃると。自分たちの病院を最大化して患者さんのために頑張っているんだけれども、実は、それは地域医療全体から見ると非効率だということを分析されています。典型的な合成の誤謬、私が下線を引いていますが、病院同士で競っていて、それが本当は統合するなりしてもうちょっと大きな機能を果たせば、もっと少ない資源で、効率的な、質の高い医療ができる余地があるんだよということを言っています。

問題の根は個々のサービス提供者にあるのではない。つまり、個々の病院は本当に最大限努力されているのであるということを言っています。そこに根がないのである以上、ミクロの議論じゃないと言っていて、システムの変革そのもの。具体的には選択と集中による医療提供体制の構造的な改革が必要になる。これが地域医療構想です。だから、急性期は何床、回復期何床となってくるわけですね。

次に、改革の方向性ですが、この下のパラは、私ども政策担当者が厳しく批判をされている部分です。ここも私、やっぱり時々読み返しをいたします。民間が主体となって医療・介護サービスを担っている国日本は、提供体制の改革は提供者、皆様と政策当局、我々厚生労働省、都道府県との信頼関係こそが基礎になるべきであると言われております。

次、日本の提供体制への診療報酬・介護報酬による誘導が確かにこれまで効き過ぎるとも言えるほど効いてきた面があると言っています。そして、私ども政策当局はそうした手段に頼って政策の方向を大きく転換することもあったが、そのような転換はサービス提供者側からははしごを外されるにも似た経験にも見え、経営上の不確実性として記憶に刻まれるということであります。

私ども、こういうことを言われないためにも、きちんと現場の先生方と対話をし、中医協も全部公開をし、資料もちゃんと公開し、そしてまたこういう場でも政策の考え方を御説明させていただくという丁寧な会話が必要だと思うところであります。

あとは、これは地域包括ケアシステムをきちんと進めていきましょうということを言ったこと。それから下のパラも大事で、地域包括ケアシステムが介護保険制度の枠内で完結しないということです。これはここにいらっしゃる先生方であればもう御案内のことかと思いますが、高齢者御自身は医療ニーズ、介護ニーズを併せ持っています。それは制度が単に2つあるだけで、本人からすれば併せ持つニーズですので、それを一体的に提供しなければいけない。そうすると、やはり在宅医療が不可欠で、かかりつけ医の役割が大事ですということを言っている。

ほかにもたくさん読んでいただきたいところありますので、ぜひ国民会議報告書を読んでいただければと思います。私も、異動のたびに自分で持っていくファイルがあるんですけれども、その一丁目一番地、一番最初にこの社会保障改革国民会議報告書を入れてあります。

地域医療構想、地域包括ケア包括ケアは飛ばします。

次に、全世代型社会保障構築会議は、今、総理が本部長です。その上で、有識者の中で、また清家先生がこちらの座長ですけれども、詳しくは御紹介しませんが、今回の全世代型社会保障構築会議の一丁目一番地は子ども・子育てです。「少子化、人口減少の流れを変える」です。

ただ、平成25年と違うところは、財源がきちんと明示されてないというところであります。ここは、年末の予算編成にかけて政府全体の中で決めていくと方針が立てられておりますけれども、①で「将来世代」の安心を保証する、能力に応じて全世代で支え合う、社会全体を幸福にし、制度を支える人材やサービス提供体制を重視する、DXを推進するということであります。

今日は時間の関係からスライドを用意していませんけれども、初めて住まいが大事だということを、ちゃんとスペースを割いて言っています。

先ほどの地域包括ケアの図ですけれども、医療・介護・予防・住まい・生活支援です。日本の家屋というのは、段差が多いですよね。そこをどんなふうに高齢者にフレンドリーな家屋にしていくか。これは住宅政策で必須です。そこに関してもちゃんと言及しているというのが、今回の報告書の中で私がよかったなと思うところであります。

さて、次が今年の骨太です。どんなふうに変わったかです。ここはちゃんと御説明したいと思います。

これは、今年の骨太をお示ししました。骨太自体は、医療の分野だけじゃないから結構長いです。いろんなことが書いてあります。ただ、中長期の経済財政運営の持続可能な社会保障制度の構築という文脈でこんなふうに書かれています。

まず、1つ目のパラですが、健康寿命を延伸し、高齢者の労働参加を拡大するためにも、健康づくり・予防・重症化予防を強化し、デジタル技術を活用したヘルスケアイノベーション推進、デジタルヘルスを含めた医療分野のスタートアップへの伴走支援などの環境整備に取り組むとともに、第3期データヘルス計画を見据え、エビデンスに基づく保健事業を推進する。

次です。リハビリテーション、栄養管理及び口腔管理の連携推進を図るです。

私、驚きました。後で説明しますけれども、令和3年の介護報酬改定でリハ機能訓練、口腔、栄養の三位一体の提供ということで私ども打ち出しをいたしました。それがこんなふうに取り上げられることになると、私にはうれしい驚きでした。このリハ・口腔・栄養、後で御説明しますけれども、今後、次の改定の一つのキーワードだと思っていますけれども、これはぜひ進めていきたいなと思っていること。

次、お金がどうなるかです。

次期診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定においてはと書いてあります。物価高騰・賃金上昇・経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスを受けられるよう必要な対応を行う。

次、その際、第5章における予算編成に向けた考え方を踏まえつつ、持続可能な社会保障制度の構築に向けて、当面直面する地域包括ケアシステムのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携等の課題とともに、以上に掲げた医療・介護分野課題について効果的・効率的に対応する観点から検討を行う。

注266ですけれども、引用されている骨太においてはこんなことを書いてあります。

次、令和4年度診療報酬改定であります。近年の報酬改定の推移でありますけれども、見ていただくと、平成18年は、私が担当したときです。平成28年は企画官で担当しておりましたが、大体は全体として薬価でマイナス、診療報酬本体が若干プラスという基調は続いています。薬価は流通で下がっていく、取引で下がっていく部分の薬価に関しては、改定ごとに薬価を下げさせていただきたいという。いわゆる物の値段が下がっているんだから、その部分は償還価格を下げますよ。それで財源が出てきます。それプラス、あとは診療報酬で本体。これは技術料です。初再診を含め、手術料とか指導管理のお金といったものをどんなふうに持っていくかであります。

前回改定はR4年度ですけれども、一番下にありますが、0.43%本体プラスでありました。その中で、看護師さんの処遇改善で0.2使います。不妊治療で0.2を使いますということで、もともとこの改定率の使い道について、予算編成の観点から、これはこれだけ使ってくださいねと指定されていたということであります。

私ども、今医療費を見ていますけれども、大体このとおりにいっています。看護職員の処遇改善で0.2、不妊治療でも0.2%ぐらいの改定率を使った。ちょうどそれぐらいの推移で進んでいると受け止めています。

さて、基本方針がありますけれども、何といっても、前回改定はコロナ禍の改定でしたので、感染対策というものが主になってきます。

大体毎回改定は4本柱です。(1)、(2)、(3)、(4)と来るわけです。お詳しい方であれば、スライドを御覧いただければと思うんですが、医療提供体制の機能分化と連携というのが(1)に来るのが通例です。ただ、R4年の改定は感染症にも対応できるということが冒頭に入っています。(2)が、安心・安全で質の高い医療を実現する。そして、医師等の働き方改革を実現する。これは、令和6年が働き方改革の完全施行ですので、そのときに向けての準備ということもありますし、私ども、R6年に向けての改定でもそれをさらに推進する立場を取っていかなければいけないだろうと思っております。

3つ目が安心・安全、4つ目は効率化・適正化ということになっているわけでありますけれども、この後、2枚スライドが続きます。

もう御覧になったことがあると思います。入院から在宅まで切れ目のない医療を提供するための取組ということで、機能編と連携編の2枚のスライドで前回改定を説明し切っていると私は思います。

機能を分化してほしい、連携をしてほしい。その真ん中にあるのが感染対策向上加算と外来感染対策向上加算です。左上から急性期、地ケアは右側へ行っています。地ケアは回復期がメインですけれども、もちろん一部急性期もやられますし、慢性期の方がいらっしゃる病棟もあるということですけれども、地ケア病棟の見直し。左下が回リハ、療養病棟と行って、在宅と流れている。右側には在宅系ですね。有床診、訪問看護の見直しということが掲げられていています。

地ケアで申し上げれば、救急の実施等の要件化、自院の一般病棟からの転棟割合を適正化、在宅患者の受け入れと在宅医療との実績、入退院支援加算の要件化といったことをやった。御案内のとおりであります。そういうことを書いてあります。

連携編の中では、先ほどないものとすれば、在宅復帰率強化とか初期加算の見直し、こんなことをやっているということであります。

これも真ん中には感染対策向上加算がありまして、このちょうど真ん中に何を置いて改定を考えるか。やっぱり前回改定はコロナ禍の改定だったので、感染対策向上加算を真ん中に置いて、ここをキーに、例えば重点医療機関と協力医療機関が連携をしましょう、あるいは会議をしましょうとか、お互いちゃんと研修をしましょうということで、機能分化と連携を図ってほしいというメッセージの改定だったと思います。

ただ、こういうメッセージは主ですけれども、診療報酬は細部が大事なので、その細部に至っても相当手の入った改定だったと思います。特に急性期から回復期ぐらいまでは相当メッセージ性の強い改定になったんじゃないかなと思います。

一方で、慢性期までは、急性期ほどは手が入ってないかなと思います。これは多分、前回チームがR6年に向けて、次、同時改定に向けてちゃんとやるということで、役割分担を彼らの中で考えてくれたためかなと思っていますけれども、急性期の患者さんの受け入れを促進したり、回リハ病棟との機能分担を進めてきたということになります。全体を俯瞰するとこんな感じです。

地ケアですけれども、これは松本先生のスライドにもありました。3つの要素をきちんと一定程度やっていただきたいということであります。

これが改定の体系です。

この後のスライドに出てきますけれども、我々、地ケア病棟に関して非常に大きな期待をしています。恐らく、今後地域包括ケア病棟が地域包括ケアを担っていただく大きな役割を担う類型の病棟入院医療になるだろうなと思っておりますし、松本先生は、それに加えて在宅療養支援病院ということもおっしゃっていらっしゃいました。こういうことだろうと思っていますので、地域医療構想に私ども診療報酬がどう寄り添うかと考えたときに、やっぱり高度急性期は高度急性期らしく、急性期は急性期らしく、回復期から慢性期はちゃんと回復期から慢性期らしい、そういう病院にちゃんとなっていただくというメッセージを今後も改定では出していかなければいけないだろうなと思っております。

地ケア病棟の経緯、変遷をこちらに持ってきました。

平成16年、亜急性期病棟入院料ができました。急性期治療を経過した患者さん、在宅・介護施設等からの患者であって症状の急性増悪した患者さんに対して、在宅復帰支援機能を有して、効率的かつ密度の高い医療を提供するということがこのときに求められたミッションだったわけです。

24年の同時改定ではここはあまり書いてなくて。次が26年ですね。ここは名前が変わったときです。地域包括ケア病棟入院料、入院管理料を創設したから、亜急性期病棟入院料からこちらに新しく衣替えしたということであります。

3つの柱です。急性期治療を経過した患者さんの受け入れ、在宅で療養を行っている患者さんの受け入れ、在宅復帰支援ということであります。

28年改定は、包括範囲から、手術、麻酔に係る費用を除外。どういうことかというと、手術ができる病院でいていただきたいということです。

30年、前回同時改定であります。基本的な評価部分と在宅医療の提供の診療実績に係る分と組み合わせた体系に見直しをした。

令和2年は、400床以上の病院において新規の届出を不可とした。

令和4年では、御案内のとおりでございます。在宅医療の提供とか在宅患者さんの受け入れに係る評価を推進する観点から、下にあるようなことをやったということであります。

こういう経緯であったわけでありますけれども、地ケア病棟の数自体が増えてきています。今、9万床を超えてきているところであります。

同時改定に向けてということです。

診療報酬改定はいつ決まるかということですが、例年2月に諮問答申していますから、2月に決まるんでしょうと。私はそうではないといつも申し上げていて、1年以上前から中医協では議論されていますよと申し上げています。中医協は水曜日に開催されます。10月とか11月になると水曜日と金曜日に開催されます。

水曜日に中医協が開催される。水曜日の何時からというのは、前の週の金曜日とか、遅くとも月曜日にはホームページに載っています。メディアの方々もそれを見て、中医協があるんですねと把握される。資料は必ずその日の朝には載っていますので、それを御覧いただいて、ぱらぱらぱらっとめくっていただければ、なるほど、今入院料に関してはこんな議論が行われているんだなということがわかりますので、今日ここにいらしていただいている方々におかれましては、簡単な未来予測法として、例えばさっきの骨太とか中医協資料をぱらぱらぱらと御覧いただくと、そこには様々なメッセージが込められていますので、それを読めるようになっていただけるといいのかなと思います。

やはり病院というのは労働集約型の産業ですので、現場の方々に働き方なり意識を変えていただかなければいけない部分があります。時には検証してもらわなきゃいけなかったりします。とすると、やっぱりリードタイムはあったほうがよくて、もしかしたらこういうことが要件になりそうだなとか、こんなふうになりそうだなと思ったら、それに対して心構えや病院内での勉強会などをしていただくということにも活用いただけるんじゃないかなと思います。

スケジュールは、1月の段階で公表しています。上に「中医協総会」とあります。令和5年の4月に医療計画と働き方改革、医療DX。これは既に資料をしています。今7月ですが、(その1)シリーズをやっていまして、外来、入院、在宅をやらせていただいたところです。

(その1)シリーズが終わった後に、(その2)以降でまた入院の議論を深めていく、外来の議論を深めていくということになります。入院については、重症度、医療・看護必要度をどうするかといった話があるので、回数が多くなるということになります。

下に令和6年度同時報酬改定に向けて意見交換会というのがあります、これは同時改定ですので、やはり医療と介護・障害サービスが連携しなきゃいけませんよねということです。今日、田中先生いらしていただいていますけれども、池端先生もいらっしゃっていますが、同時改定の意見交換会に参加していただきました。

同時改定ですから、中医協で診療報酬を議論する人たちと介護給付費分科会で介護報酬を議論する人たちが集まっていただいて、関係する分野について意見交換をしてもらうという会議を設けました。実は平成24年の同時改定のときに、1回やっています。30年の改定のときにも2回やっています。今回、3回やらせていただきました。

この内容を御紹介させていただきたいと思います。

その他を除いて、8つのテーマについて御議論いただきました。全てを御紹介する時間はないですけれども、1つ目、地域包括ケアのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携では、主治医とケアマネさんの連携の重要性を、様々なスライドを出して御議論いただいたということです。

リハ・口腔・栄養、先ほど申し上げたとおりですね。リハビリテーションをやるときには、口から食べていただいて栄養をちゃんと取っていただかないと、リハの効果は生まれませんよねと。食がついてくれば、良い循環になりますよねという話です。

要介護高齢者の急性期入院医療は、この後で話をします。

あと、高齢者施設、障害者施設等における医療です。これは松本先生がおっしゃっていました。長島先生もおっしゃっていましたが、高齢者にとってはそこまでいらっしゃった長くいた環境から変わるということだけでストレスですので、なるべくその場所で提供できる医療を充実させていただきたい。そこで本当に対応できないときは外から入れるかどうか検討したい。本当に駄目だったら、入院するしかないということですけれども、なるべくその場で長く療養を続けていただけるような方向での改定ができないかということです。

あとは認知症です。認知症ケア。

人生の最終段階における医療・介護は、ACPをどのように実践していくか。

そして、訪問看護、薬剤管理。薬剤管理は一つのテーマとして設けるのではなくて、例えば高齢者施設で薬をちゃんと管理するためにはどうしたらいいでしょうかとか、人生の最終段階で麻薬を使うときにかかりつけの薬剤師さんはちゃんと協力しましょうということでメッセージを出したという感じです。

こんな感じの意見交換会をやりました。これを全部打ち出すと800ページになりますが、1枚1枚きちんとスライドを吟味して、文章もWord編とパワーポイント編があります。パワーポイント編が、1つのテーマについて数十枚から100枚あります。これぐらいの量になりますけれども、自画自賛になって申し訳ないですけれども、熱心に見ていただいている人からは、眞鍋さん、今回のスライドは結構おもしろいですねと言っていただいています。かなりメッセージ性が出ている意見交換会だと思います。

1つ目の地域包括ケアのさらなる推進のための医療・介護・障害サービスの連携であります。今回の同時改定で、私は事務局として提案する。もちろん御議論いただくのは中医協であり、意見交換会はやはり意見交換会ですから、お決めいただくのは中医協ですけれども、事務局としてこういうことが大事だと思ったのが、一番上の赤字で書いてあるところです。医療においては、より生活に配慮した質の高い医療をしていただきたい。介護においては、より医療の視点を継続していただきたいということです。何を言っているかですが、要介護高齢者も含め、こういった方々が生活者であることをきちんとわかった上で、なるべく早くそこに近い環境にお戻ししたいということであります。自宅で生活をしている方からすれば、ICUというのは生活の場から最も遠い場所です。そこからなるべく早く急性期あるいは回復期だったりリハビリテーションされて、できれば在宅。できなければ老健から特養へとかいうふうに、なるべく自宅に近い環境、在宅に近い環境、生活に近い環境に患者さんをお戻しいただきたいということでありますし、そこに戻すための工夫をぜひ全ての段階でやっていただきたいと思っています。例えば、ICUからリハをやるとか、急性期からちゃんとリハをやる、口腔から栄養をちゃんと補給していくということをやっていただいて、なるべく早く退院していただいて、なるべく早く在宅に近い、生活に近い環境に戻っていただけるというメッセージを私は提案したいと思っております。

介護ですけれども、私は令和3年の介護報酬改定を担当させていただいておりました。そのときに痛切に感じたのは、医療の視点がきちんと入っていることが大事ということです。24時間365日見ておく必要はないですけれども、介入が必要なときにちゃんと介入できるということが大事です。また、例えば、食べている量が落ちているなとかいうときに、どうかしましたかと気づけるかどうかということだと思います。だから、医療の視点がちゃんとあるかどうかだと思うんです。

私としては、当時の同時改定ではこういうことを提案したいなと思っておりまして、ここをまず一丁目一番地に持ってきています。ですから、そのために在宅医療・介護連携のさらなる推進をやりましょうとか、下には、主治医がより生活に配慮した質の高い医療を提供するための連携をしてくださいということが書いてあります。

実は、診療報酬以外にもいろんな事業がありますということから始まっています。報酬による評価以外に、ちゃんとファンドされている事業がありますよということも紹介をさせていただいていて。

これはぜひ市町村にお尋ねいただきたいですし、多分お引き受けされている病院はたくさんあると思うんですけれども、在宅医療介護連携推進事業という事業があります。地域の医師会に委託されている場合が多いと聞きますが、コーディネーターを派遣したり、ちゃんと連携したカンファレンスをやりましょうとか、シンポジウムをやりましょうというお金は、実は病院が持たなくても、こういう事業でファンドされることがあります。住民に対して基本的な医療・介護サービスがきちんと提供されていることが市町村にとってもハッピーなわけですから、こういう事業もぜひお使いいただきたいなと思っているところであります。

市町村単位で関係団体と連携できていますかという話がありますけれども、例えば医師会であれば、在宅医療・介護連携に関する会議に参加できていますよということです。ケアマネ協会とかもできていますということであります。

意見交換会では、いい例も紹介していまして、例えば水曜日の午後とか木曜日の午後とか、ケアマネタイムを取っていただいている主治医の先生が増えてきているといいます。ここは地域ケアマネさんからの相談を集中的に受ける時間ですよというふうに話し合っていただいている先生がいらっしゃいます。もちろん、外来をやって診療されたほうが収入は高いはずですが、そういうことをやっていただいている先生もいらっしゃいます。

これは、松本会長のおっしゃるとおり、やっぱり地域のかかりつけ医の先生はこういう活動をきちんとやっていただきたいなと。こういうことをやっていただく上で、ケアマネからも信頼されて、地域からも信頼されるということが大事なのかなと思っております。

リハ・口腔・栄養です。

これは介護報酬でもやらせていただきましたし、今回も何とかこれを推進したいと思っていますけれども、リハ・口腔・栄養管理の一体的な取組が推進されるように、早期に気づきましょうということをやらせていただきたいと思っています。

この説明も実は介護報酬からは始まっていなくて、通いの場から始まっています。通いの場、介護予防事業ですね。これも予算事業です。フレイルになるぐらいの前から高齢者に集まっていただいて一緒に運動していただく中で体力をつけていただくし、あれっと思ったときに早期に介入するということが大事。

深くは説明しませんけれども、介護予防事業のサービスCとかでリハを集中的にやって、リハビリテーション機能訓練を集中的に提供することで入院にならないように持っていくという取組が進んでいる地域は、実はもうあります。これができることで、要介護認定の状態が悪くなることがだんだん後ろ倒しになっている地域も出てきています。

さて、医療法上にはリハビリテーションという言葉があるんですよとか、この辺は飛ばします。

ここは介護報酬改定でやったことですが、リハと機能訓練と栄養・口腔、こういう書式を一体化しまして、リハの計画をつくるときは当然口腔とか栄養の欄も埋めてくださいねということです。

あと、やっぱり介護保険施設ではまだまだ歯科管理が。特に歯科衛生士さんを置いていただければありがたいなと思っています。口腔管理をすると肺炎の発症率が減ったりとかいう有名な論文がありますけれども、最近では、ちゃんと口の中をケアすると糖尿病が改善されたというのも、有名なエビデンスが出てきています。あとは、介護保険施設入所者の栄養状態を見ると、やっぱり低栄養リスクが高い方が多いですね。こういう方もぜひちゃんと栄養を摂ってくださいねというメッセージを出したということになります。

次が、急性期入院医療です。高齢者が、要介護状態の方々がどこに入院されますかという話です。

文字が多いスライドで申し訳ありませんが、誤嚥性肺炎とか尿路感染症とかいう方で急性期病院に入院されている方は結構多いです。ところが、入院関連機能障害と言われていまして、リスクがあって。高齢であって、ADLが下がっていて認知機能が低下していて歩行機能障害があると、入院関連機能障害ということが発生するということが報告されています。

これも出したかったスライドの一つで、これは松田晋哉生のスライドですが、要介護状態が悪化する要因というのを多変量解析されています。1番の原因は加齢です。歳を取ると要介護状態に悪化する傾向にあるということですが、次のインパクトある要因が、急性期病院に入院されると要介護状態が悪くなって戻ってくるんです。

これはぜひ急性期の先生方にわかってほしいなと思っています。生活に配慮した医療ということで、なるべく早くからリハをやっていただいて、口腔と栄養をやっていただいて、なるべく早く次の生活に近い介護とか在宅に患者さんを送っていただきたいということであります。安静臥床の弊害みたいなこともお示ししております。

あとは、高齢者施設・障害者施設における医療で、ここのメッセージは、先ほど申し上げたとおり、その場所その場所でできる医療をまずは充実させていきましょうというメッセージであります。3施設、老健、介護医療、特養ですね。当然、医療資源、医師、ナースの配置状況によってできる医療には差がありますが、なるべくそれを高めていただくことをしていただけないかということです。施設内で可能な医療でアンケートの結果などが出ていますので、これをなるべく高めていただきたいということです。

あと、パーキンソン病で薬が高いので、老健に入所できませんということがあります。給付調整をどんなふうに考えたらいいのかなということも今後御議論いただこうと思っています。

特養の配置医の役割です。日常の生活管理、医学的管理をやりますという役割ですけれども、特養で私どもが問題提起したのは、連携施設です。連携施設として、例えば在宅療養支援病院とか有床診療所などを連携されていれば非常にいいと思うんですけれども、一部、特定機能病院を連携先ですとされている施設もありました。こういうところにいらっしゃる患者さんのちょっとした急性増悪を診るのに、本当に特定機能病院が適切なのかどうかということに関しては、もしかしたら検討の余地があるかもしれないと思っています。

次に認知症ケアの重要性。今後も充実させていきたいということです。ここも報酬の話からではなくて、認知症施策推進大綱がありますというところから始まっています。

共生と予防に関して関連する話題を申し上げますと、認知症対策の基本的法律が前国会で成立しています。やっぱり認知症は大事ですね。特に、今後新しい高額薬剤も出てきます。こういったものを今後中医協で御議論いただくことになると思っています。

身体的拘束の話もさせていただきたいと思っています。

身体的拘束ですが、入院・外来医療分科会で身体的拘束に関する資料を出しました。その中で、介護と医療を比べたときに、介護は平成12年の制度施行のときから身体拘束は原則廃止であるということを明確に打ち出して、その努力を現場にお願いしてきたという経緯があります。今ほぼいい状態で達成できているんじゃないかなと思っているところであります。介護の分野で身体拘束をするときにハードルがあります。これですね。3つの要件を全て満たしていて、なおかつ、この判断は個人やチームじゃない、施設として判断しなきゃいけない。つまり、施設としてクライテリアをちゃんと決めといてくださいねということだと思います。こういうことを厳密に、本当に真面目に真摯にやっていただいている施設が多いと思います。と比べると、医療は身体を拘束することに対する心理的ハードルがまだ低いと私は思っています。ここに関しては、何らかメッセージを出せないかなと思っているところであります。

次はACPです。人生の最終段階における医療・介護であります。

死亡の場所が、居宅が増えてきているということが書いてありまして、ここも報酬から始まっていません。やっぱりガイドラインから始まっています。国民はこんなふうに考えているというアンケートの結果から出しています。

訪問看護ですね。訪問看護は制度として大体完結している。ただ、今、民間の訪問看護ステーションがすごく増えています。高額レセプトも増えてきているので、内容は私どもちゃんと見ていかなきゃいけないと思っています。

営利法人率が多いですね。高額レセも増えてきているので、ここは内容を見ていかなきゃいけないかなと思っています。あとは、24時間対応するステーションはすごく大変ですねということもメッセージとして出しました。

あとは、高齢者の救急搬送が増えているという実態として示しました。

地域包括ケアシステムにおける救急医療の役割。医療計画の見直しの資料の中で、救急というのが今後結構増えてきます。だからどうしましょうかということをまとめたスライドであります。

ここで、同時報酬改定に向けた意見交換会における主な御意見ということであります。

(1)から(3)まであります。私どもは、1つ目の丸、高齢者の要介護者の救急医療は、介護保険施設の医師や地域包括ケア病棟が中心的に担うということを打ち出したのでありますけれども、一方では、先ほど松本会長のお話にもありましたけれども、それは当然病態によるものです。高齢者でも、インテンシブで本当に手術を必要とするような方もいらっしゃる。そういう方は当然急性期だと思うんですけれども、それは現場のお医者さんに判断していただきたいということであります。

これを中医協でも御議論いただきました。ここに書いてあるような御議論がありまして、ここに7月5日と書いてあります、直近の中医協資料ですが、これを御覧いただければ、こんな議論がされているんだなということがわかります。こんなところを御覧いただいても、次の改定の入院はこうなりそうだなということが見ていただけるんじゃないかなと思います。

さて、それから中医協総会でも示しましたが、地域包括ケア病棟を有する病院で救急をかなり担っていただいているところもありますねということをお示ししていますが、一方で、あまりされないところもありますねということです。

入棟経路は、予定入院なのか緊急入院なのかというところであります。緊急入院、救急搬送後、直接入棟などのデータもあるところであります。

患者さんの傷病名ですが、見ていただくと、誤嚥性肺炎などが多い。ただ、救急搬送ですと大腿骨の骨折が多いとかいうデータが出ているところであります。

これは、一番左側が急性期一般病棟入院料1、いわゆる7対1です。右から2番目が地域包括ケア病棟入院料ですけれども、どんな患者さんの構成かということです。やっぱり急性期一般病棟入院料1、7対1は、その下を御覧いただくと、悪性腫瘍の患者さんが一定程度いらっしゃるんですね。がんを治しにかかる病棟だということであります。

あとは、地域包括ケア病棟に入棟した患者さんのリハビリ実施状況などをまとめております。地ケア病棟に入院している患者さんのうち、救急搬送後、他の病棟を経由せずに入棟した患者さんは、リハビリ実施頻度やリハビリ実施単位数が低いということなので、この辺は、私どもとしてはリハビリをやっていただけるように。もちろん病態によるのですが、やっていただけるような方向で考えたいなと思っております。

急性期病棟に入院した誤嚥性肺炎患者さんに対して、早期にリハビリをやると死亡率の低下、ADRの改善につながることが示されている。こういったエビデンスもお示しているということであります。

課題と論点は、入院外来分科会でお示ししました。今日いらしている井川先生もメンバーでいらっしゃいますが、こういう感じで論点を出させていただいております。また、これでいろんな議論があったところでありますので、それを今後総会に報告をし、総会でも様々な御議論がされるということであります。ただ、こうやって見ていただくと、事務局、私どもがどう考えているかというのは何となくわかっていただけるんじゃないかなと思って、話をさせていただきました。

これはまとめのスライドであります。若干時間を残すことができてよかったと思いますが、今日申し上げたかったことをずらっとまとめてみました。

人口動態に基づく医療ニーズの変化は、確実に訪れる未来です。人

そのときに起こる医療ニーズというのも、量的には結構予測できるんです。この地域の大腿骨頚部骨折の患者さんというのは今後このぐらいになるだろうとか、悪性腫瘍の患者さんはこのぐらいの人数だろうとかいうことが予測できてきます。そうすると、その方に対して良質な医療を提供するためにはこのぐらいの医療資源が必要だろうということで医療資源を考えていく、配置を考えていくということです。介護も同じですね。

そういうことを踏まえつつ、今後ニーズが増加するのはやっぱりリハビリテーションとか認知症ケア。これをやることで社会的負荷が減り、豊かな、なるべく長く御自宅にいられて、なるべく在宅生活に近い環境でお過ごしいただける期間が長くなるのではないかと思っているところであります。

次に話をしたのは、社会保障財源の確保であります。

骨太の方針から話をしました。毎年6月に骨太の方針がまとまりますという話を申し上げて、その後、予算編成過程に進んでいくんですよという話をしました。今年の骨太ではあんなふうに書かれたということであります。

次に、社会保障制度改革の方向性は、平成25年の社会保障改革国民会議報告書がベースになっていますよと申し上げて。

直近で申し上げると、去年の12月の全世代型社会保障構築会議では、子ども・子育てを一丁目一番地にされていますねということを申し上げましたが、やっぱり医療介護を通底するものは平成25年度のもので、去年のものは、それに対してかかりつけ医の機能の制度整備という言葉が入っているということですね。

あとは、改定の話を若干させていただきました。またまだ日が高いので、改定の内容、ここがこうなりますということを申し上げられる時期ではありませんが、私ども事務局で今一生懸命議論をしています。その内容をこういう形で、入院分科会であったり中医協総会あるいは意見交換会の場で資料としてはかなり出しているところであります。こういったことを御覧いただければ、次こんなふうになりそうかなというのをお考えいただける助けになるんじゃないかなと思います。

あと2つ。松本会長の御講演を拝聴いたしまして非常に勉強になりました。やはり中医協を牽引された経験から出てくるお言葉だったなということが結構多かったと思います。

1つは、フリーアクセス。医療法改正におけるかかりつけ医の議論は私の直接の担当ではなかったんですが、中で様々、いろんな関係者の動きを見ていました。やっぱり医療というのは生活に根差した、密着不可分なサービスだと思っています。松本会長は、医療がなくなるとそこに人は住めなくなるとおっしゃいました。そのとおりだと思います。

日本は日本のやり方で医療が発展してきていて、患者さんは、保険証を持っていけばこれぐらいの自己負担で医療が受けられる。その上で、かかりつけの先生にあるいは病院の先生にこういう病院に行ったほうがいいかもねと言われたら行くとか、何となく自分の医療行動、受診行動のパターンが受け入れられているわけです。こういう受け入れられるかどうかということがすごく大事だと思っています。

そうしたときに、先ほどの国民会議報告書にあった、性急な、本当にドラスティックな、明日からこうしますと制度を根本的に変えるというのは、本当に国民の皆さんに受け入れられるかどうかということを考えたときにどうかなと思っていまして、診療報酬改定も制度改正も、やはり国民の皆様に受け入れられていくようなプロセスを経ていかなければいけないのだろうと思っています。

あとは、若干時間があるので申し上げますと、急性期のDPCの点数の話と地域包括ケア病棟という話がありました。今日小山先生もいらしているんですが、私ども、ここもよく分析しなきゃいけないなと思っています。DPCはDPCらしく、地ケアは地ケアらしくということですけれども、それを追求していく上で、今の報酬体系の中で検討するべきことがあれば検討していきたいと思っております。そこは若干補足をさせていただいたほうがいいかなと思って、松本会長の話を聞いていたところであります。

以上で私のお話を終わらせていただきます。

御清聴ありがとうございました。(拍手)

鬼塚一郎

眞鍋先生、大変多岐にわたる内容を簡潔明瞭にお話しいただきましてありがとうございました。若干時間がありますので、ぜひこの場でちょっとお聞きしたいという方がいらっしゃいましたら、質問を1人2人お受けできますが。どうぞ。

所属名とお名前をおっしゃって御質問ください。

フロア

A病院というところで医師をしています。

A病院というのは、地域包括と一般床も60床ぐらいあって、あと回復期と医療療養と、199床でやっている病院ですけれども、当直を近くの大学の若い先生に担ってもらっている。ほぼ8割ぐらいが大学の先生に来ていただいている。

結局、医師の働き方改革で、病院としては寝当直にしなきゃいけない。そうすると、深夜に当直の先生に診ていただくという回数が多いと、寝当直じゃないだろうと大学のほうからクレームが来るんです。結局そういうことになってしまう。

今やっているやり方としては、看取りを含めた患者さんはうちでも診ていくんだという、看取りを含めた患者さんに関しては絶対断らないでくださいというリストを挙げている。かかりつけの患者さんに関しては、以前ですと、私も二次救をやっていたときなんかは、かかりつけをまた送ってきたなんていって、病院としての責務がもっとあるんじゃないかなんて批判的に見た時期もあるんですけれども、今の状況としては、特に深夜、かかりつけの患者さんであっても事務レベルで断らなきゃいけないんじゃないか。事務レベルでもし断ったとしても、二次救に行って、そこで一旦深夜診ていただいて、すぐ受け入れるというシステムですよね。もう本当に1日2日診て、治療の途中でも地域包括のかかりつけの病院で診るんだという流れを明確にしていただけると本当にありがたいなと。

これは意識改革という意味で、急性期の病院の先生にもそういう意識改革というのを持ってもらうというのが必要かなと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

眞鍋馨

ありがとうございました。現場で大事な医療に当たられていただいて、ありがとうございます。

今おっしゃっていただいたものですけれども、今日は御紹介しませんでしたが、救急患者さんの下り搬送。下りという言葉がいいかどうかですけれども、ある程度医療が充実したところで検査と治療方針を立てていただいて、その後、これは実はその病院でなくてもいいですよね、高度な病院じゃなくてもいいですねというときには、積極的に地ケア病棟とかにお送りする。そういう救急搬送の実態はあっていいと。やっていらっしゃるところはあると思いますし、私どもはそれを推進していく立場で、まずは資料として中医協には出させていただきました。

また、今後中医協で御議論がありますが、そういった方向というのは十分あるというか、そういう方向に推進していくべきものだろうというふうに思っております。

フロア

ありがとうございます。

結局、高度急性期でやっている先生の意識というところも、かかりつけのそういう病院からであっても、受けてすぐ返すという意識をちょっと持っていただくっていうのも、これからやっていただけるとありがたいなと思います。

ありがとうございました。

鬼塚一郎

眞鍋先生、私から1点よろしいでしょうか。

次期改定に向けて、地域包括ケア病棟に限らず、今の日本の医療の中でここが最も弱いよ、もう少しここ頑張らなくちゃいけないよという点がございますでしょうか。介護でも結構ですが。

眞鍋馨

すごく難しいですね。

裏返しの答えになってごめんなさい。私は同時改定の意見交換会の冒頭のメッセージがそれで、やっぱり生活に配慮した医療、介護は医療の視点の継続だと思っています。以上です。

鬼塚一郎

ありがとうございました。すみません。

本日は、眞鍋先生に大変すばらしい御講演をいただきました。改めて、皆さん、盛大な拍手をお願いいたします。(拍手)

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