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ごあいさつ
一般社団法人地域包括ケア病棟協会とは
地域包括ケア病棟協会は、「ときどき入院 ほぼ在宅」と「急慢公民による共創」を理想に掲げて平成26年5月に発足し、平成31年4月には一般社団法人に移行致しました。この間に地域包括ケアシステムを支える皆様や急性期、慢性期、公的、民間の各医療機関、病院関係団体をはじめ、医療関連各企業、各界の著名な有識者の先生方のご理解とご賛同を頂き、令和4年度6月現在の会員数は550を超えています。多くの皆さまに支えられて当協会が発展できたことを深く感謝致します。
地域包括ケア病棟は、平成26(2014)年度診療報酬改定で新設されました。厚生労働省はその役割を「急性期治療を経過した患者及び在宅において療養を行っている患者等の受け入れ並びに患者の在宅復帰支援等を行う機能を有し、地域包括ケアシステムを支える」と定義しています。現在も変わらない評価項目として、算定上限は60日、看護体制は13対1で7割以上の看護師が必要とされ、疾患別・がん患者リハビリテーションを含む多くの項目が包括評価となっています。リハビリテーションは、地域包括ケア時代を反映して廃用症候群・認知症モデルに包括算定を適応する画期的な改定でした。
平成28(2016)年度改定で手術と全身麻酔などが出来高算定となり、平成30(2018)年度改定で地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料1-4が新設されて地域包括ケアシステムを支える機能が強化されました。令和2(2020)年度改定では,地域包括ケア病棟の役割をバランスよく発揮できるよう、地域包括ケアに係る実績や入退院支援等に係る施設基準、同一医療機関内で転棟した場合の算定方法が見直されました。そして令和4(2022)年度改定では、地域包括ケア病棟に大幅な改定が行われました。救急の実施等の要件化、自院一般病棟からの転棟割合適正化、在宅患者の受入等の強化、在宅医療等の実績の充実、入退院支援加算の要件化、在宅復帰強化、初期加算の見直し等枚挙に暇がありません。
これまで、当協会では、地域包括ケア病棟は「ポストアキュート機能(PA)」、「*在宅等緊急受入機能」、「*在宅等予定受入機能」、「在宅復帰支援機能」の4つの病棟機能を有していると提唱しています(注:*在宅等受入2つをまとめる場合は「いわゆるサブアキュート(いわゆるSA)」と総称)。
一方、当協会が唱える地域包括ケア病棟の定義は、2021年度までは「自院がご当地ニーズに寄り添える様に、自院の他病棟の機能が活きる様に、カスタマイズできる病棟」と、変幻自在で懐の深い点を強調していました。しかし、2021年5月における入院料・管理料1(200床未満のみ届出可能)の占める割合47.9%が同2の占める割合47.8%を初めて上回り、地域包括ケア病棟の使われ方が変わりました。また、コロナ禍や2020年度診療報酬・2021年度介護報酬改定を経て、在宅からの直接入院(いわゆるSA)や、他院・自院からの急性期後(PA)の入院が減少する危機にさらされていると予想しました。そこで、当協会は新たな機能を付加した定義として「総合診療や老年医学のマインドを持つ医師と共に急性期後や在宅療養中の“multimorbidity 患者”を病棟で受け入れる、在宅でみる地域診療拠点」と致しました。本定義は、これからの地域包括ケア病棟のidentityを宣言し、2022年度改定をリードするものと考えます。また、地域医療構想においては急性期一般病床からいわゆるSAへの転換先として、急性期病床を回復期病床に転換する支えになると考えます。
この様に様々な報酬改定や社会保障制度改革が行われても、4つの病棟機能を持つ地域包括ケア病棟は、地域包括ケアシステムと地域医療構想の両制度の整合性を図る普遍的な要となります。当協会は、地域包括ケア病棟を核にして2025年の医療・介護提供体制構築に向けて理想を追求します。さらに、2040年には高齢者人口がピークを迎えて生産年齢人口は急減していくため、地域毎の共同体機能の脆弱化と担い手不足を補うように地域共生社会が求められています。私たちはこの共生社会の実現にも真摯に取り組みます。
これらの理想を具現化するために、以下の3つの事業を実践致します。
1)急性期、慢性期、公的、民間を問わず、全国の医療機関や関係団体と協調して本病棟の質の向上と普及啓発に努めます。
2)本病棟に従事する専門職の質向上に向けた教育及び研修を行います。
3)本病棟に関する医療者、有識者等の情報交換を行います。
これらの事業を通じて、会員の皆様と共に日本中にMind Innovationを起こして、「地域包括ケア病棟」を中心とした、2025年の医療・介護・福祉提供体制の構築と2040年の域共生社会の実現を目指します。皆様には、地域包括ケア病棟協会の理念をご理解いただき、当協会の活動に参画いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
会長 仲井培雄
地域包括ケア病棟協会
会長 仲井培雄