活動報告

第6回 記者会見のご報告

地域包括ケア病棟協会 記者会見のご報告(平成29年8月24日分)
会見資料は以下をご確認ください。

1.平成29年度地域包括ケア病棟の機能等に関する調査
2.平成28年度地域包括ケア病棟の機能等に関する調査 ―抜粋―

【地域包括ケア病棟協会──平成29年8月24日の記者会見 】

【地域包括ケア病棟協会──平成29年8月24日の記者会見 】
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平成30年度診療報酬改定、介護報酬改定に向けた要望などを発表
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地域包括ケア病棟協会は8月24日に仲井会長、安藤副会長出席のもとに記者会見を開き、平成30年度の診療報酬改定、介護報酬改定に向けた要望などを発表しました。 会見で仲井会長は、当協会の平成29年度調査結果を紹介した上で、「在宅・生活復帰支援が様々な理由で充実していないケース」など様々な課題が見えてきたことを指摘。次期診療報酬改定と介護報酬改定に共通する事項として、「医師又は入退院支援担当者とケアマネジャー等が、入院前あるいは超早期から医療介護福祉に関する情報共有がしやすくなるよう、入退院支援の取り組みを評価して頂きたい」との要望を挙げました。

同日の会見では、平成30年度診療報酬改定に向けた2つの「要望」、続いて平成29年度調査から見えてきた2つの「課題」、そうした課題を踏まえた平成30年度以降の改定に向けた5つの「提言」、そして次期介護報酬改定に向けた「要望」 という流れで説明がなされました。

以下、会見の模様をお伝えいたします。当日の配布資料(平成29年度地域包括ケア病棟の機能等に関する調査)は、当協会のホームページにアップしてありますので、そちらをご覧ください。

■要望事項は「緊急時の受け入れ評価」と「入退院支援の取り組みの評価」

〇仲井培雄会長:
本日、平成30年度診療報酬改定ならびに介護報酬改定に向けた要望書を厚生労働省の医療課と老健課にお届けしたので、記者会見を開催したい。

では、まず「平成30年度診療報酬改定に向けて」という資料の内容についてご説明を申し上げる。要望事項は2点。要望1は、「地域包括ケア病棟を届け出て、地域に必要な機能を維持しやすくするために、緊急時の受け入れをより評価して頂きたい」ということ。
そして要望2は、「医師又は入退院支援担当者とケアマネジャー等が、入院前あるいは超早期から医療介護福祉に関する情報共有がしやすくなるよう、入退院支援の取り組みを評価して頂きたい」というものである。

■地域包括ケアが進んでいる兆しがある

では、なぜこのような要望に至ったのか。そのエビデンス、トレンドについてご説明したい。まず、「平成29年度地域包括ケア病棟の機能等に関する調査」の結果をご紹介したい。地域包括ケア病棟協会の地方厚生局解析資料によると、地域包括ケア病棟入院料/入院医療管理料の届出病院は、今年4月時点で1,894病院、推定6万床となった。本年6月に当協会が実施した「平成29年度地域包括ケア病棟の機能等に関する調査」では、このうち32.5%、616病院から回答を得た。

これらの病院に「地域包括ケア病棟を開設した理由」を尋ねたところ、7割を超える病院が「地域のニーズや患者の状態に即した医療を提供できる」ということを挙げている。それから、開設によって7割の病院で院内の多職種協働が深まり、6割の病院で地域内の他施設との交流が増えた。

さらに、病棟構成の見直しの際に他施設との調整を行ったとの回答が2.5割もあり、在宅医療・介護機能は3割の病院が「充足」としており、この数字は多いと思っている。地域包括ケアが進んでいる兆しがある。

そして、急性期病院が地域包括ケア病棟を開設して、院内急性期病棟から患者を受け入れることに対して病病連携を阻害するとの意見があるが、様々な地域ニーズに応え、かつ在宅・生活復帰支援を充実させていれば、これは問題ないと理解している。平成29年度調査では、他の急性期病院が病床転換したことで、自院への回復期・慢性期の患者紹介が減ったために地域包括ケア病棟を開設したという医療機関は、わずか18病院、2.9%にすぎない 。

■調査から見えた2つの課題、平成30年度以降に向け5つの「提言」

平成29年度調査から見えてきた課題が2つある。1つは、地域包括ケア病棟を活用して地域ニーズに応えたいが、届出が困難なケースがあるということ。2つめは、在宅・生活復帰支援が様々な理由で充実していないケースがあるということだ。

こうした課題の背景には、多職種協働促進による人員増や、ALOS短縮と病床稼働率低下による収支の悪化、救急・リハビリテーションの増強や減床等の自院機能の見直し、治す「従来型医療」から治し支える「生活支援型医療」への意識改革等に対する経営上の不安などがあると考えた。課題を掘り下げて、5つの提言につなげたいと考えている。これは、「平成30年度以降」の改定に向けた提言であると理解していただきたい。

すなわち、提言①は「緊急時の受け入れ経路の充実」、提言②は「医療介護双方からの入退院支援の取り組みを評価」、提言③は「在宅・生活復帰支援機能のアウトカム評価」、提言④は「生活支援の程度のデータによる把握」、提言⑤は「地域における地域包括ケア病棟を有する病院のあり方」──である。

以上をまとめると、平成30年度改定に向けた「要望」が2つ、平成30年度以降の改定に向けた「提言」が5つとなっている。課題が複数あって要望も提言も複数あるので少し難しい形になっているが、順番にご説明したい。

■持続可能性を追求するならば、やはり診療報酬で評価を

平成29年度調査から見えてきた2つの課題と、2つの要望5つの提言との関係についてご説明する。平成29年度調査から見えてきた1つめの課題は、先述したように「地域包括ケア病棟を活用して地域ニーズに応えたいが、届出が困難なケース」である。これを具体的に申し上げると、まず救急診療や在宅・生活復帰支援のための人員確保や什器・設備充実のハードルが高くて、地域ニーズに応えられないケースがある。地域医療総合確保基金は、初期投資支援の意味合いが強く、人件費に適用されない場合もあるため、持続可能性を追求しにくい。持続可能性を追求するということになると、やはり診療報酬で評価していただきたい。それが提言の①、②、③、④につながる。

また、地域包括ケア病棟と別の病棟の組み合わせによって、地域ニーズの変化に迅速・柔軟に対応しにくくなるケースもある。人口減少の著しい地方都市・過疎地域の病院や、公的病院群が2次医療圏のほぼ全体の地域医療を担っている地域等が対象になるのではないかと考え、これは提言⑤につながる。

一方、平成29年度調査から見えてきた2番目の課題は、「在宅・生活復帰支援が様々な理由で充実していないケース」であり、これは提言②、③、④につながる。すなわち、在宅・生活復帰支援が必要な患者に、様々な理由で積極的に医療資源を投入することができず、結果として在宅復帰が妨げられ、在院日数の延長や慢性期機能の病床および介護施設等に転出しているケースである。

以上を踏まえ、地域包括ケア病棟協会として「平成30年度以降」の診療報酬改定に向けて5つ提言したい。

■提言①──緊急時の受け入れ経路の充実

提言①は「緊急時の受け入れ経路の充実」である。地域包括ケア病棟の受け入れ経路は、緊急の受け入れ、急性期からの受け入れ等とされているが、病院全体の急性期機能や病棟構成等のストラクチャーによって地域包括ケア病棟の機能を一律に評価することは非常に難しい。病院によって地域包括ケア病棟の機能が全然違うからである。そのため、どの経路で患者を受け入れ、どのような在宅・生活復帰支援をしたか、ストラクチャーではなくプロセスやアウトカムで評価していただきたい。

「ときどき入院ほぼ在宅」を実現し、地域包括ケアを推進するには、緊急時の対応が非常に大事だと思っている。緊急時の受け入れは自宅や施設で生活や療養をしている高齢者、認知症、障害者、がん患者の方々等、入院前後で日常的に生活支援が必要な患者の軽中等症の急性疾患に対応するケースと生活支援が不要な緊急入院のケースが考えられ、前者は超高齢社会においては増えていくと思われる。

地域包括ケア病棟には、地域医療構想への貢献も含め、いずれのケースにも対応できるだけの急性期機能が求められる。地域包括ケア病棟の機能等に関する「平成28年度調査」では、地域包括ケア病棟に緊急入院した患者のうち、1割以上が救急搬送で受け入れられている。そのため、ほかの受け入れに比べ、より多くの医療資源を投入していることが予想されたので、ここの緊急時の受け入れに対する評価をしてはどうかというのが提言①である。これをもって、次期改定に向けた「要望1」につなげている。

■提言②──医療介護双方からの入退院支援の取り組みを評価

続いて、提言②である。医療介護双方からの入退院支援の取り組みを評価してほしい。日常的に何らかの生活支援が必要な人は増えていく一方、家族を含めた医療・介護の担い手の確保はどんどん難しくなる。 入院前後で生活支援の程度を重くしない、もしくは軽くさせるということが大事になるので、そのプロセスとアウトカムを評価することが大事であると思う。

そのためにまず必要なことは、現在データ提出などで取り込まれていない、例えばADLやIADLなど、発症前・入院前の生活の状況を知ることだと思っている。それは在宅・生活復帰支援のゴールでもある。元のままの暮らしに戻るための基準にもなる。これに加えて、発症前・入院前の生活支援の程度により、同じ疾患、同じ病態であっても、投入される医療資源が相当違うことも想定されるので、大事な指標だと思う。

平成29年度調査では、地域包括ケア病棟を持つ病院の7割は、既に発症前・入院前のアセスメントを行って、退院時のゴール設定につなげていた。独自に、あるいはケアマネジャーやかかりつけ医、自治体介護・福祉担当者、障害者支援施設担当者等と連携して評価を行っていると考えられる。現場の意識は退院支援から入退院支援へと、どんどん向いていると思う。

そこで、入院早期あるいは入院前からケアマネジャーといろいろなやりとりをしたいのだが、時間の問題もあり、なかなか対面での連携が取りにくい場合もあるので、まずは文書でのやりとりをもっと増やせないかと考えた。入院前や超早期に、医師または入退院支援担当者からケアマネジャーに依頼して情報をもらい、その情報に基づいて策定した、予後や在宅医療介護福祉サービスの変化の予測等を含んだ診療計画をケアマネジャーに提供することで、入院前あるいは超早期から双方向の医療介護の情報共有を図ってはどうかと提言している。この提言②が、次期改定に向けた「要望2」のメインになる。

■提言③──在宅・生活復帰支援機能のアウトカム評価

提言③は、「在宅・生活復帰支援機能のアウトカム評価」である。今後、様々な指標が開発され、全国統一、院内地域内共通のアセスメントツールのようなものができれば、在宅・生活復帰支援機能のアウトカム評価につながるだろうと思っている。それができるような仕掛けを今後つくっていただきたいと思い、提言している。

一番問題なのは、なぜここのアウトカム評価にこだわるかということである。すなわち、院内多職種協働では、発症前の生活支援の状況に応じて、リハ、栄養、認知症ケア、多剤投薬等に対する包括的アプローチを実施する。入退院支援・調整を行って院内と地域内の多職種をつなぐ機能も重要である。しかし、摂食機能療法や認知症ケア、退院支援等の一部の出来高算定項目や加算を除き、疾患別リハを含むほとんどの在宅・生活復帰支援は、実施を前提とした病棟入院料と入院医療管理料に包括されている。
そのため、入院患者像や疾患構成等がほぼ同一と仮定すると、現行の報酬では、積極的に在宅・生活復帰支援を行ってALOSを短縮した場合と支援を行わないでALOSを伸ばした場合では、稼働率が同じなら本病棟全体の収入はあまり変わらない。しかし、医療資源の投入量が多い前者の方は支出が多く利益が出にくい。汗をかいたほう、つまり、「ときどき入院、ほぼ在宅」をやればやるほど利益が出にくくなるという状況になっている。これは診療報酬の構造上の問題である。

このことから考えれば、発症前にできていたことを100%とし、入院で一番下がったときから退院時、在宅復帰時にどれだけ改善したか、その改善度で評価するといいのではないか。今後、人口が減少していくような地域では、さらにベッド数を減らすダウンサイジングが必要になってくるが、このアウトカム評価をきちんとしてもらえると、ダウンサイジングに対する経営のリスクが減るということを提言している次第である。

■提言④──生活支援の程度のデータによる把握

提言②では、医療介護双方からの入退院支援の取り組みを評価することを主張したが、発症前・入院前の生活支援の状態を把握できる情報は、データ提出の「様式1」の脳卒中の発症前Rankin Scaleや、入院前の要介護度等をアップロードしているに過ぎない。

そのため、発症前の生活から、入院・退院・在宅復帰後まで、生活支援の程度の変化を把握し、提言③で述べたような評価を行うためには、全国統一の院内・地域内共通のアセスメント票を開発し、データマイニングできる形に蓄積する必要がある。
全国統一の院内・地域内共通のアセスメント票を開発すれば、地域包括ケア病棟での受け入れの実態をより精緻に分析し、地域包括ケアシステムと地域医療構想への貢献度を評価することができると思っている。

例えば、平成29年3月に日本能率協会総合研究所が報告した、平成28年度老人保健健康増進等事業の「入退院を繰り返す可能性のある要介護者等における再発防止のためのセルフマネジメントの在り方に関する調査研究事業」で示されたような、医療介護福祉を一気通貫した情報収集である。より簡便なアセスメント票を開発し、その結果をデータ提出するプロセスを評価してはどうか。

生活支援の程度のデータは、2020年度以降のデータヘルス改革推進計画に基づく、健康・医療・介護ICTによるビッグデータ解析にも活用可能ではないかと思っており、さらに言うと、医療・福祉人材の最大活用のための養成課程の見直しに必要な、複数資格の共通基礎過程においてもアセスメントが統一されていれば、当然効率的な評価ができるようになるので、より効率的な履修ができるのではないかと思っている。

■提言⑤──地域における地域包括ケア病棟を有する病院のあり方

提言の最後は、地域包括ケア病棟を有する病院のあり方である。求められる病院機能は地域により大きく異なり、それは動的に変化する。現状では、500床以上の病院、あるいは高度急性期の機能を持つ病床を持っている病院は、地域包括ケア病棟を1病棟しか持てないが、いろいろな病院があるので、特に地方都市や過疎地の病院、公的病院が2次医療圏のほぼ全体の地域を担っているような地域の病院、そういう所では、これがなかなか使いづらくなっている可能性がある。一方、大都市の500床以上や、高度急性期病床を持つ病院には、病院間での機能分化が求められると理解している。

今後、ストラクチャーに対する一律の評価や基準だけでは、地域のニーズの変化に対応が難しくなるということが懸念される。そこで、地域特性に配慮し、地域包括ケア病棟と高度急性期を担う病床の組み合わせによる診療報酬上の制限を緩やかにし、地域包括ケア病棟を2病棟以上届け出る場合には、地域医療構想の協議の場で話し合うことしてはどうかということを提言している。

人口減少、少子化、超高齢社会、認知症高齢者激増、地域間格差の時代を迎えて、自院の病棟構成の中で急性期から回復期、慢性期までの機能を選べる柔軟性と、ご当地ごとのニーズに応えられる懐の深さを併せ持つ地域包括ケア病棟を最大限に活用しなければ、地域包括ケアシステムと地域医療構想は成り立たない。

地域ニーズに合わせて自院の機能を変え、院内・地域内の多職種と住民を巻き込み、在宅・生活復帰支援を促進しようとする病院が、安心して持続可能性を追求できるよう、一緒に地域包括ケア病棟を育てていただきたい。平成30年度診療報酬改定に向けた要望に関する説明は以上である。

■平成30年度介護報酬改定に向けた要望について

〇仲井会長
次に、介護報酬改定に話を移す。平成30年度介護報酬改定に向けた要望は、「医師又は入退院支援担当者とケアマネジャー等が、入院前あるいは超早期から医療介護福祉に関する情報共有がしやすくなるよう、入退院支援の取り組みを評価して頂きたい」ということである。
こうした要望の背景にある調査は先ほどと同じで、今年6月に当協会が実施した「平成29年度地域包括ケア病棟の機能等に関する調査」である。調査結果によると、在宅・生活復帰支援のための取り組みは、リハビリテーション、家族との退院調整、地域ケアマネジャーとの連携に取り組んでいる病院の割合が8割以上と多い。

一方、院内地域内共通アセスメント、多剤投薬対策、リハ栄養に取り組んでいる病院の割合は1.5割未満と少なかった。また、介護サービス等に取り組んでいる病院の割合は、訪問系6割、通所系5割、介護施設4割、居住系3割であり、特に訪問・通所系は過半数の病院で併設していた。地域包括ケア病棟の役割から見ても、医療介護連携の充実は必須である。

そこで、地域包括ケア病棟協会として、平成30年度介護報酬改定に向けて2つ提言したい。提言①は、「退院時連携から入退院時連携に向けて」ということ。提言②は、「医療介護福祉共通のアセスメント票の開発と活用」である。この内容は、平成30年度診療報酬改定に向けた要望に関する説明で申し上げたこととほぼ同じであるので、割愛させていただく。

平成29年度調査の詳細については量が膨大であるが、これらはみなホームページにアップロードするので、PDFでご覧になれる。以上で、私の話は終わるが、何かご質問やご意見があれば、おっしゃっていただきたい。

■質疑応答

〇A記者:
平成30年度診療報酬改定に向けた「要望1」と「要望2」、それから介護報酬改定に向けた「要望1」、これらは具体的な報酬の項目でいうとどれに該当するのか。新設の報酬項目はないのではないかと思ったが、とすると、現行の点数を引き上げるとか、要件を緩和するとか、そうしたことを要望するのか、具体的に教えていただきたい。

〇仲井会長:
現在、介護報酬上は、ケアマネジャーの入院時情報連携加算があるが、そちらをもっと早い段階でもらえた場合にはもう少し点数を、と思っている。今は7日以内になっているが、それを入院前とか、もっと早い段階とか、2日目とか3日目以内とか、そういうことで評価を願えないかということである。
診療報酬上では、得た情報をもとに今度はケアマネジャーに医療的な内容の情報を入院早期の段階でお伝えする。そのときに、退院後の介護サービスの内容について、最初の段階での予測をお話しできるように伝えてもらおうというところである。いま退院支援加算などもあり、7日以内になっているが、もっと早い段階でやりとりをした場合に少し評価をいただけないかということである。

〇A記者:
要望1、2とも、そういうことか。

〇仲井会長:
診療報酬改定の「要望2」と、介護報酬改定の「要望1」は同じであり、これについてである。診療報酬改定の「要望1」に関しては、具体的には、「救急・在宅等支援病床初期加算」などの評価を少し高めてはどうかということを考えている。

〇B記者:
現在、中医協の議論で地域包括ケア病棟に関しては、入院経路、すなわち在宅から来たのか救急から来たのかにより患者の状態は違う傾向が見られるという話が出ていて、それをどう考えるかというところがあると思う。今回の要望を拝見すると、次期改定ではまだそのところには踏み込まず、30年度改定以降、プロセスやアウトカム評価という部分で考えていこうということでよろしいか。確認である。

〇仲井会長:
それは若干異なると思う。いま中医協で問題となっているのは、自宅から来るかそれ以外かということであり、救急かどうかは問われていない。われわれが言っているのは、緊急時の受け入れである。緊急時に受け入れたときの評価。例えば当協会の緊急時の受け入れは、平成29年度調査の抜粋のところ、スライド4のようなロジックで定義している。レセプトや、データ提出の様式1を使うことなどで算出できる。ここの部分を評価していただけないかということである。
それから、要望1と2は次期改定に向けた要望で、提言の①と②と関連している。そのほかの提言③、④、⑤は、今すぐ解決できるわけではないので、長期的な展望でみて頂きたい、ということである。

〇C記者:
平成30年度診療報酬改定に向けた「提言③」について。仲井会長のご説明では、人口が減るところはベッドをダウンサイジングしなければいけない地域であり、アウトカム評価というものがあると何か変わるというお話であった。それについて詳しく教えていただきたい。

〇仲井会長:
現状では、一生懸命に在宅生活復帰支援をして、在院日数を短縮していくと、対象患者が減った場合、稼働率は減る。そうすると、経営的にだんだん大変になってくる。そのときに、平均在院日数を長引かせて稼働率に頼ってしまうような経営になると好ましくない。

人口が減って入院患者が減れば、当然、稼働率は減るわけであるから、そのときに適切にダウンサイジングできる様に、きちんとした内容の医療を行えばきちんとアウトカム評価される様にしたい。稼働率で経営するよりもアウトカムで経営した方がダウンサイジングを恐れなくてよいと思っている。

〇C記者:
のべ患者が多くないとやっていけないのではなく、のべ患者が減っても、アウトカムがよければかなり収益が良くなるようにするということか?

〇仲井会長:
そうである。

〇D記者:
平成30年度診療報酬改定に向けた「要望1」には、「緊急時の受け入れをより評価して頂きたい」とある。現在、包括評価で1本となっているが、2本立てにするとか、何かそういう点数のイメージはより具体的に持っているか。

〇仲井会長:
点数の設定自体は厚生労働省が適切に考えてくれると思っている。私としては、この緊急時の評価をするうえで、二重の入院料にしなくても、先の質問で答えた様な方法があると思っている。
今後ともよろしくお願い申し上げる。

(了)

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