会長からのごあいさつ
地域包括ケア病棟は、2014年度診療報酬改定で創設されました。厚生労働省はその役割を「急性期治療を経過した患者及び在宅において療養を行っている患者等の受け入れ並びに患者の在宅復帰支援等を行う機能を有し、地域包括ケアシステムを支える」と定義しています。2014年5月に発足した地域包括ケア病棟協会は、地域包括ケア病棟の持つ「ポストアキュート(PA)機能」、「いわゆるサブアキュート(いわゆるSA)機能」、「在宅復帰支援機能」の3つの病棟機能を活用した「ときどき入院 ほぼ在宅」と「急慢公民による共創」を掲げて活動し、2019年4月に一般社団法人に移行致しました。この間に地域包括ケアシステムを支える皆様や医療機関、病院関係団体、関係省庁、医療関連企業等の皆様のご理解とご賛同を頂き、地域包括ケア病棟を普及・啓発して参りました。その結果、2024年度6月現在の会員数は550を超えており、皆様に支えられて当協会が発展してきたことを深く感謝致します。
さて、2024年度トリプル改定では、入院料通則の見直しとしてGLIM基準による栄養管理体制基準の明確化、意思決定支援の推進、身体拘束の最小化が謳われ、リハビリテーション・栄養・口腔の一体的取組が本格的に実装されました。これらは地域包括ケア時代における高齢虚弱“multimorbidity 患者”の診療の足固めと理解しています。また、新たに地域包括ケア病棟を有する病院は介護施設等との協力医療機関となり、施設とかかりつけ患者に対する平時からの連携と、感染症や急変時の対応が求められています。更に、地域包括ケア病棟と共に高齢者救急を守り、地域包括ケアを推進する地域包括医療病棟が創設されました。
当協会の2024年3月の調査によると、地域包括医療病棟は急性期一般病棟や地域包括ケア病棟等からの転換が見込まれています。そこで、2024年6月21日の総会において定款を変更して、地域包括ケア病棟を有する会員施設が、地域包括医療病棟を届け出る際の様々な移行支援や転換後の会員継続の要望等に応えることを決定致しました。2つの病棟は地域包括ケアを推進する病棟と定義し、併せて法人名も「一般社団法人 地域包括ケア推進病棟協会」に変更致しました。
地域包括ケア病棟や高齢者救急を担う地域包括医療病棟の存在は、地域包括ケアを支える介護・福祉・子育てに安心・安全な環境を提供します。2040年を目途としている新たな地域医療構想や地域共生社会の実現にも、地域包括ケアを推進する病棟の存在は益々重要になります。
これらの理想を具現化するために、以下の3つの事業を実践致します。
- 急性期、慢性期、公的、民間を問わず、全国の医療機関や関係団体と協調して、当協会会員の地域包括ケア病棟と地域包括医療病棟の担うべき機能の充実と普及啓発に努めます。
- 地域包括ケアを推進する病棟に従事する専門職の教育及び研修を行います。
- 地域包括ケアを推進する病棟に関係する医療者や有識者等の情報交換・発信を行います。
これらの事業を通じて、会員の皆様と共に日本中にMind Innovationを起こして、「地域包括ケアを推進する病棟」を中心とした2040年の地域共生社会の実現を目指します。
皆様には、地域包括ケア推進病棟協会の新たな使命にご理解いただき、当協会の活動に参画頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。
一般社団法人 地域包括ケア推進病棟協会
会長 仲井培雄