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地域包括ケア病棟協会 設立総会のご報告
平成26 年5月15 日、日本慢性期医療協会の武久洋三会長が発起人代表となり、「地域包括ケア病棟協会」が設立された。この日の「設立総会」と「設立記念座談会」には、250 人を超える医療関係者が集まり、全国紙をはじめとする報道関係者も多数駆けつけた。
設立総会は、安藤高朗発起人(日慢協副会長)の司会によって進められ、地域包括ケア病棟協会の初代会長には、日慢協理事の仲井培雄先生(芳珠記念病院理事長)が就任した。記念座談会では、今改定をご担当された厚生労働省保険局医療課の宇都宮啓課長を交え、活発な議論が交わされたので、その概要をお伝えする。
地域包括ケア病棟協会 発起人代表挨拶
地域で慢性期力を発揮するチャンス
――現場から改革していかなければ病院は存続しない
地域包括ケア病棟協会発起人代表、日本慢性期医療協会会長 武久洋三
平成26 年療報酬改定は大きな改定であった。病院によっては「大変だ、大変だ」と思って、いろいろ考えている所もあるようだが、一方で、「今回は大したことない」という声も聞かれる。「大したことない」と思っている所は危機感がないのではないかと思う。
今回の厚労省が目指すところは一体どこなのか。われわれ現場から改革していかなければ、これからの病院は存続できないだろう。
今回の非常に大きな診療報酬改定は、ニュースだけでなく、一般の週刊誌などでもどんどん取り上げられている。つまり、医療問題が、医療専門誌の範疇を超え社会問題化している。
私は、慢性期の病床から地域包括ケア病棟を取得するケースが多いだろうと思っていたのだが、大規模の急性期病院なども、地域包括ケア病棟の取得に向けて動いているという。各地の公的な中小病院などは、「率先して取る」と言っているようだ。地域包括ケア病棟の届出に向けた動きは加速しているので、近い将来、地域包括ケア病棟が1,000 病院に達することは間違いないだろう。
このような動きを見ても、この地域包括ケア病棟協会は、日本慢性期医療協会とは関係なく、横断的な団体であるべきだと考えている。日本医師会、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会など、それぞれの団体にいろいろな切り口で入会している病院や先生方がおられるが、この地域包括ケア病棟協会は団体の垣根を越えて、病棟機能別に、病棟横断的に、地域包括ケア病棟を考えるための勉強会として立ち上げたい。こうした協会が新たにできることは、非常に大事なことではないかと思う。
もちろん医療界全体としては、日本医師会を中心とした現在の病院団体が様々な情報を共有しながら、いまある課題を共に解決していかなければならない。しかし、日々の現場のこと、また運営のこと、そして診療のこと、リハビリのこと等々については、地域包括ケア病棟を取った病院、あるいは取る予定がある病院同士が横断的に集まって、切磋琢磨していくという試みは非常に重要なことだと考えている。決して日本慢性期医療協会のなかで地域包括ケア病棟協会をつくるのではなく、全く別の組織として運営していく。
慢性期のほうから地域包括ケア病棟に手挙げする病院もあれば、高度急性期病院が一部の病棟を地域包括ケア病棟にする動きもあるだろうから、そういう方々がスムーズに寄り合えるような形をつくりたいと思っている。
今回の新しい概念は、「リハビリテーションの包括」だ。リハビリテーションは特殊な治療方法ではなく、在宅復帰に向けた全ての病棟がリハビリテーションを行わなければならない。
ぜひ皆さんで一緒に、良い地域包括ケア病棟をつくりましょう。
地域包括ケア病棟協会 会長就任挨拶
すべての病院がレベルアップしていかなければ
――地域包括ケア病棟が全人的医療を包括的に提供する要となる
地域包括ケア病棟協会会長、芳珠記念病院理事長 仲井培雄
地域包括ケア病棟協会の会長を拝命し、大任を仰せつかり大変緊張している。発起人の先生方をはじめ、いろいろな方々のご尽力をいただいたことを、この場をお借りしてお礼を申し上げたい。
簡単に自己紹介をすれば、私はもともと消化器外科医であるが、若い頃にへき地診療や海外留学を経験しており、全人的医療の大切さ、医療制度に対する客観的な目と愛情を持つことができた。
2025 年には団塊の世代が75 歳になるわけだが、その時に日本の医療体制がより高い質で提供できることを期待され、今回この地域包括ケア病棟が誕生したと思っている。ポストアキュート、サブアキュート、在宅復帰支援の3 つの機能を活かして、大病院のERと地域の病院、それから地域のかかりつけ医の先生方や介護施設と病院、そして医療と介護の連携を図っていく、非常に可能性を秘めた病棟だと思っている。まさに全人的な医療を地域包括ケアシステムの中で包括的に提供できる要となる病棟になるのではないか。
ただ、思ったより低めの入院基本料とか、包括範囲が広いというデメリットが言われているが、それらを埋められるほどの効率の良い包括ケアができるのではないかと考えている。地域包括ケア病棟を通して、国民と国と我々医療人が次世代に何かを残せることができるような病棟になればいいなというのが私の思いだ。
今後は地域包括ケア病棟の特性を生かし、患者さんのため、地域のため、そして当協会のために力を尽くしていきたい。若輩者ではあるが、皆様のご指導ご鞭撻をよろしくお願いしたい。