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【シンポジウムⅠ】
【シンポジウムⅠ】
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平成30年度診療報酬・介護報酬同時改定の影響
【座長】
小山秀夫(兵庫県立大学大学院名誉教授)
【シンポジスト】
迫井 正深(厚生労働省保険局医療課長)
猪口 雄二(全日本病院協会会長・中央社会保険医療協議会委員)
武久 洋三(日本慢性期医療協会会長)
仲井 培雄(地域包括ケア病棟協会会長)
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■ もう経営は成り立たないのではないかと危惧されたが
〇座長(小山秀夫・兵庫県立大学大学院名誉教授)
平成30年度診療報酬と介護報酬の同時改定によって、もう経営は成り立たないのではないかと危惧されたが、迫井課長のおかげでみんな生き延びて、元気な顔が集まってよかったなと思っている。
今日のシンポジウムはすごいメンバーである。迫井課長と、全日病の猪口先生、武久先生、仲井会長ということで、110分の時間がある。1人20分ぐらいお話しをしていただき、最後に皆さんから質問等を受けてまとめたいと思う。
講師の経歴等については皆さんのお手元の資料にあるので、そちらをご覧いただきたい。
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平成30年度診療報酬がめざすもの
迫井正深 (厚生労働省保険局医療課長)
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中医協での審議と重点項目
猪口 雄二(全日本病院協会会長・中央社会保険医療協議会委員)
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■ 診療報酬改定は病院の収支に直接影響する
平成25年に始まった社会保障国民会議でいろいろ言われたことが、とうとう30年で大体帰結するという時期になり、いろいろな改革が起きている。そこで診療報酬と介護報酬の同時改定もあるし、片方では地域医療構想もあるし、介護も事業計画が変わっていっている。また、今も医療法、医師法の一部改定があり、どんどん改革が進んでいる時期である。
今回の改定は、薬価の調査をしたところ、9.1%という非常に大きい乖離率が出た。この薬価の乖離率が多いということは、それだけ薬価が落ちるということであり、そこで財源も生まれるということになる。
改定率を見ると、マイナス1.19と、かなり大きいマイナスであるが、実は薬価のほうが実勢価格でも1.36、抜本改革があったので、それを合わせて、材料を合わせると、もう既に1.74がマイナスという中で、実質的な診療報酬をどうするのかが議論されていた。
平成18年度改定では7対1看護が入り、72時間夜勤が入り、しかも医療療養の25対1、当時は5対1であるが、それが6年後に廃止になる。それから、介護療養も廃止になるというようなことがうたわれ、全体でマイナス3.16という、すごいマイナス改定があった。
ちょうどこのときに中医協委員の解散などもあり、小泉内閣が医療に対して厳しい態度で臨んでいたということもあるかと思う。
それを反映するように、まさに診療報酬改定は病院の収支に直接影響する。当時、非常に厳しい中で、平成18年の次、これはWAMのデータであるが、一般病床の利益がついに0にまで落ちた。療養は同じようなカーブであるが、まだ利益が保たれている。精神もそれまではよかったのが、非常に悪くなり、ここにきて少しだけ持ち直した。ここが平成28年である。
■ 実績があれば、各病院で人員配置してよい考え方に
今後、病院の運営はどうなっていくのか。今回の改定では、重症度、医療・看護必要度をどうするかがいろいろと話題になった。これをDPCで見られないかという話が昨年の10月ぐらいにあった。
例えばDPCデータでは多少下げた数値で、現在の7対1の平均28.8を大体23.3ぐらいにして、DPCデータでやろうと。これはいろいろな病院の団体が入った日本病院団体協議会では一応賛成をした。どこで賛成したかというと、いま本当に毎日看護師が多くの時間を使って重症度を測っているのを、DPCデータで測ることができれば、すごく作業の簡素化になるということで、これはいいのではないかということで賛成をさせてもらった。
それから、現状ある重症度、医療・看護必要度を少し変えていくということで、3つ変えるか、2つ変えるかが議論になった。救急搬送の入院をどうするか、救急医療管理加算に置き換えるという話もあった。
そうした中で、入院医療の将来イメージが出てきた。7対1と10対1、その真ん中につくったという形で、将来的には10対1がこの基本で、その実績に応じて点数を付けるから、どういう人員配置にしても構わないのである。各医療機関で考えて人員配置を決めるようにという考え方で、これはすごく大きい考えだと思っている。つまり、細かいところまで全部を決めるのではなくて、ある程度の実績があれば、各病院でよく考えて人員配置をしてもよいという考え方に変わってくるという第一歩かなと思っていて、非常に重要だと思っている。
将来的には、こうなってほしいなと私も思っているし、今、中医協では入院医療分科会の中に、こういう診療実績を評価するワーキンググループが立ち上がったので、たぶんそういうところでこういう議論がこれからしっかりなされると期待している。
■ 地域包括ケア病棟の加算、「少しハードルがある」
地域包括ケア病棟は、急性期病院からの受け入れと、在宅・介護施設等からの急性増悪の受け入れと、在宅復帰や生活支援、この3つが大きな仕事だということになっている。地域の医療・介護連携を支援する病院ということで、地域ごとにこれを整備していくことが重要である。今回、これに沿うような形で新たな加算がなされている。
この加算に関しては、例えば自宅等からの受け入れが1割なくてはいけなかったり、救急患者も3カ月で3人は受けなければいけないということがあるが、非常にいい点数である。
この加算を取ると1病棟あたり年間で3000万円ぐらいの収入が増える設計になっている。
ただ、この4つの要件のうち2つを取らなくてはいけないのは少しハードルがある。まず、在宅診療をやっていなければいけない、3カ月で20回というのは大した数ではなく、在宅診療をやっていれば取れる数である。敷地内に訪問看護ステーションを持ってくるというのは厳しいかもしれない。開放型病棟、これをやっていないとなかなか取れないということもある。あとは、介護保険のここは意外とみなしで取りやすいので、aとdぐらいで取る医療機関がこれから増えてくるだろうと思っている。
それから、回リハについても、この充実加算をこのFIM利得で、ここが37、ここが30、という形で実績評価するというふうに変わっている。
療養はご存じのとおり、25対1が法的になくなるわけである。
療養病床は入院基本料である。一般病床の入院基本料も、例えば看護基準は基本的に一つしか取れない。そうすると、療養病床も入院基本料であるから、病院でいくつか病棟があった場合に、1を取るのであれば全部1でなくてはいけない。混合はいけないということになっている。
あと、在宅復帰加算が10点から50点に増えてくるのであるが、この場合、9月いっぱいは経過措置で一病棟でも取れるが、そのあとは全体で取るようにとのことで、療養をいくつも持っている方は、今までの一般病床と同じように、いくつもの療養の中で傾斜配置もしながら全体としてあげていかなければいけない。
■ ターミナルケア、何らかの書式のたたき台を
今回の特徴はやはりターミナルケアをどうするかである。「人生最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」をどう入れるか。訪問診療や訪問看護のターミナルケアにも入り、地域包括ケア病棟の在宅等からの受け入れのとき、療養病棟の在宅等からの受け入れのときに入る。これは「等」であるからどのガイドラインを使ってもいいのであるが、この地域包括ケア病棟の1を取る場合には、指針としてきちんと病院で定めなくてはいけない。
このガイドラインというのはいくつかあって、救急医学会が出していたり、全日病でも出しているものがあるが、とにかくそういうものを決める。
加算を取るときは、アドバンスト・ケア・プランニング、ACPをどうやって説明するか、ACPを考える際に、家族や患者にそれを示し、それを支援しなくてはいけない。
先日、九州でお話を聞いたら、訪問診療をされている方が、このターミナルケア加算を取る場合に、適時調査みたいなものが入って、ガイドラインに沿ったという証拠を示すように言われたという話があった。やはり、何らかの書式をそれぞれの医療機関が決めていく必要があると考えられる。このへんも病院協会として一つたたき台を出すことができたらと思っている。
■ 働き方改革、いかに効率的な運営をしていくか
在宅復帰率が大きく変わり、療養や老健が消えた。地域包括ケアも変わっていくわけである。今まで例えば7対1病棟から患者が流れるときに、回リハ病棟や、在宅復帰加算のある療養、それから地ケア病棟に流れて、在宅復帰加算のある老健に流れて、在宅に向かっていくという流れができている。
例えば、療養にしてみると、1を取って在宅復帰加算を取ることにより、7対1から患者がいっぱい来るようにということで皆努力をしていたが、今回はその流れがなくなるような設計になっている。
これは一つには、こちらから出すときにどこに出すかによってやり方が変わるのか、治療が変わるのかというと、これは変わらないので、どこに出すのも同じことをして、受け取ったほうがどういう努力をして在宅に向かうか、もしくは向かわないのか、それは受け取ったほうの責任であるというような説明になる。
ただ、現在は、道ができていたものが、いっぱい道ができて、どこにも行けるような形に変わっていったと思う。
それから、これは大きいと思っているのが、従事者の働き方が変わり、医師でもリハビリのスタッフでも、週3日以上働いていて24時間、これが2人以上いると常勤で換算できる。これは、今の多様な働き方、このように対応してこういうことができたというのは本当にすばらしいことだと思う。
今後若い人はだんだん減るわけであるから、その中で病院をどうやって効率的に動かしていくかということを考えると、先程の急性期の入院基本料やこういう考え方を入れて、やはり病院も非常に経営が苦しくなっているので、いかに効率的な運営を病院がしていくかということがこれからの大きな課題になるだろう。
■ パスが復活、ぜひ地域の中で連携を
入退院支援もどんどん変わり、時々入院でほぼ在宅というようなことに対応する。大きいのは、このパスが前回の改定で退院支援の2でないとパスが取れなくなったので、いろいろなところでこれが壊れていたが、今度は2でも取れるように変わっているので、このパスが復活する。
さらに、医療安全のことや、感染制御、この三つを連携の中でやろうという話になっている。ぜひ、地域の中で連携を組んでいただきたい。
リハビリについては長いことずっと議論されていて、今回、要支援や要介護を持っている人は、通院での疾患別のリハもう日数を超えたらできない。このことは大分前から議論があって、今回は1年限りということになったので、果たして皆さんがどう動くのかという気がしている。
■ ずっと診療報酬に注目していただきたい
介護療養型医療施設が大きく変わる。12年の議論の中で、やっと介護医療院という形で法制化された。一番大きいのは介護医療院が自宅になったということである。自宅になったということは、例えば3病棟あって2病棟が急性期で1病棟が療養だったところを介護医療院にすると、この急性期の病棟から介護医療院に移すと、これは退院であり、そこでは自宅で生活していることになり、それがまた何かの症状がおきて入院すると自宅からの入院ということになり、本当に介護医療院に誘導するというか、移ると1年間加算もつく。
実は、北海道は違うと思うが、九州などに行くと、医療療養2がいっぱいある。であるから、そういうところにとっては、今、介護医療院に移行しようがという声がものすごく高くなっていると思う。
老健も在宅復帰が関係なくなってきたときに、従来のこの加算型から今度はこんなにたくさんの重症者、在宅復帰だけではなくて、どういう患者を見ているによってポイントを付けて行くということになった。
この間、老健協の会長にどういう影響が出ているか聞いたら、実はこのその他型がすごく安く設定されているのであるが、急いでアンケート調査をしたら、その他型は5%しかなく、みんなどこかに収まっているという話があり、皆さん努力されているという感じがした。
以上、今回の改定でどのような形の診療報酬が形作られていったかという話であった。今回が全てではなくて、まだまだこれからもいろいろな議論で診療報酬のほうはまた次回、次々回と変わっていくと思うので、これからもずっと診療報酬に注目していただきたいと思う。
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医療・介護体制の影響と対応
武久 洋三(日本慢性期医療協会会長)
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■ 7対1の多くは必死にしがみついている
10年間、日本慢性期医療協会の会長を務めてきてずっと言ってきたのは、急性期にもいろいろあり、本物と中間と自称急性期があるということである。これは急性期の悪口を言っているわけではなく、慢性期も病床といいながら一部は施設のような運営をしてきたところもあるということをいっている。これでいいのかということを10年前から言ってきて、これが本当に厳しく選別されるようになってきた。
今回の改定を指揮した課長の目の前で話をするのは恥ずかしいのであるが、こういうことで現実問題として看護必要度IIがDPCのEFファイルに関与しているということで、こちらのほうが多くなったということもある。
現実に10月以降の届出予定の入院料については、急性期一般の基本料で最も多かったのは「入院料1」の67.4%で、「入院料5」が12.8%であり、やはり1がいい。
7月2日に出ていた関東甲信越厚生局内での届出の集計をみると、やはりこの急性期一般病棟の1(1591点)が492病院、あとは下のほうに10対1が集まっているということで、やはり7対1のところは1しか見ていないということであろう。
これは一番右が一番高い入院料1であるが、在宅復帰の機能が入ったり、平均在院日数も当然あるが、7対1のその他大勢組、35万床ぐらいあるところをふるい落としたいという気持ちが実は厚労省の中にあったと思う。現在のような感じでは、ふるい落とされまいと必死にしがみついているということが分かる。
一方で、地域包括ケア病棟は、地域包括ケア病棟入院料2及び地域包括ケア入院医療管理料2が433で圧倒的である。地域包括ケア病棟入院料1及び地域包括ケア入院医療管理料1は200ベッド以下などの条件がいろいろ入ったが、実際は、2が圧倒的に多い。
■ 一般病床の中では面積基準の差別がない
病院病床の面積基準は6.4平米の4人部屋と決まっているが、いまだに4.3平米の8人部屋でも許容されていて、一般病床の中では面積基準の差別がない。
ところが、地域包括ケア病棟では6.4平米のちゃんとした基準を守っているところと、そうではない古い基準の狭い汚いところと明らかな差がある。
ここでは500点、すなわち1日5000円、月で15万円も違う。これをまた2018年度改定では拡大して520点になった。要するに地域包括ケア病棟というからには、普通の病床基準にしなさいということであろうと思う。
この条件として、a、b、c、dがあるが、どちらかというと地域の中できちんと連携、病診連携が取れているところは、b、cは近くの診療所等にお任せするというところで、aとdはいける。このb、cを無理やり地域の診療所の中から取り上げるというわけにもいかないので、これをなんとかクリアすることによって、1を取ることができる。
看取りに対する指針であるから、実際にどの程度行っているかということまでは要求されていないが、指針は要るということである。
回リハについては、入院料1が一番多い。2、3とだんだん続いているということであるが、1は実績が27から37と10点も上がる。2は30くらいでいいというようなこともあるし、ここに出ているのは、管理栄養士がちゃんといることや、リハビリ計画に栄養項目、すなわち患者が良くなるためには栄養が必要だということを強調していただいたのは非常にありがたいと思う。現場にいると、急性期から来る患者は本当にみんな入院中に体重が減って、アルブミンが減って、脱水になってという人が続々とくるのである。なんとかここを急性期のほうでちゃんとしてほしい。
13対1、15対1のところは、15対1が圧倒的に多い。ここもまた不思議なもので、平均在院日数60日というところであるから、ここは地域包括ケア病棟になればいいと思う。
こういうこともあり、急性期の7対1もピンからキリまであるということは皆さんもご存じであると思うが、「自称急性期」の経営者は自分の病院のことはよく知っている。
■「偽物急性期」と「偽物慢性期」は自然淘汰される
急性期面をしているほうが圧倒的に有利だからそうしている。ここ10年くらいの間に地域の医療力の乏しい中小民間病院の中には、重症患者の縛りのない25対1の医療療養病床に、1病棟でも一般病床を持っているほうが得だということで、わずかな一般病床を併せ持ってケアミックス病院というものをつくった所もある。
病院内での一般病床と25対1の医療療養とのキャッチボールという、院内転棟で利益を上げていたというのは事実である。
これらの急性期病院での不適切な治療等が原因で浪費されている日本の医療費は莫大である。しかし、もうそんな余裕はない。税金を払ってくれる若い人はどんどん減るのである。使うお年寄りがどんどん増えるのである。病院に不当なことをやらせて不当にもうけさせるような余裕は日本にはない。
急性期だけではなく慢性期にも偽物があり、社会的入院の宝庫である。「偽物急性期」と「偽物慢性期」は自然淘汰される厳しい現実が待っている。
急性期、一般病棟、一般入院料はどんな病棟になってほしいか、今改定では、7対1、10対1の一般病棟は急性期一般入院料1-7に再編・統合された。
急性期一般入院料1は優遇されるが、それ以外はDPCのEF統合ファイルデータに基づく計算方法により、ほんの一握りの高度急性期病院しか生き残れなくなるだろう。
重症度、医療・看護必要度はやがて廃止されるであろう。二重手間になる。いずれ診療報酬体系は、急性期も慢性期もDPCに統一され、病床機能分類は急性期の度合いを含む客観的指標により行われるだろう。
■ 設備投資をしていない病院はもう無理である
では、地域包括ケア病棟はどんな病院になってほしいのか。今改定により自宅等からの入院の受け入れを促す観点から、自宅からの受入れ、在宅医療の提供などの実績を評価する入院料が設けられた。結局、急性期なり高度急性期から患者が紹介される割合ではなく、自分の病院で地域のある程度の急性期を取る努力をする。
また、新たな入院料1は200床未満の中小病院でしか算定できない。これはまさに大規模自称急性期病院に対するペナルティではないか。500床以上の大規模病院は前回の改定ですでに地域包括ケア病棟の届出病棟数を1病棟までに制限されている。
地域包括ケア病棟は高度急性期病院が患者をプールするために使う病棟ではない。地域の1~2つの中学校区内で、200床未満の地域多機能型病院を中心に在宅ケアを行い、在宅療養患者の急変時対応もしてほしいというメッセージではないか。そして、本当の急性期は、そこで見れないような本当の急性期を全県下で何カ所か設けるという考え方であると思う。
日本のすべての病床面積は1床あたり6.4平米になっているが、これに差を付けたのが地域包括ケア病棟であるが、一般病床にも病床面積によって報酬に差をつけるべき時期が来ている。要するに、設備投資をしていない病院はもう無理である。
では、回復期リハビリテーション病棟はどんな病棟になってほしいと医療課は考えているかということを私が想定すると、27から37へとFIM利得が上がった。療法士はここ十何年で莫大に増えている。療法士が少なかったときに作られた疾患別リハが稼働人員や実施時間によりアウトカムを評価する方向に変わってきている。
20分間実施したらいくらというような時代ではなくなってきている。たとえ歩けなくても、まず口から食べて自分で排泄できるという、人間の原点となる機能の回復がポイントとなる。
今までのPTのように、歩け、歩け、とりあえず歩いたら成功だというような時代ではない。高齢者が多いのであるから、結局下半身の着替えとか、トイレとか、排尿コントロール、排便コントロール、このような項目を2点上げれば、これだけで8項目で16点上がるのである。
要するに、歩け、歩けのリハビリから、ちゃんと人間力、ちゃんと食事がとれるか、排泄自立するか。こちらのほうの機能を上げてくださいというふうな指示だから10点上げたのではないかと私は勝手に思っている。
■ 在宅復帰率、「ボディブローのように効いてくる」
療養病棟はどういう病棟になってほしいか。「病院」とは、やはり治療をする場である。療養病床という名前が付いたのは、これは結核療養病床である。あの当時はあれでよかったのであろうが、やはり病院は治療をするところである。では、今後は慢性期の療養病床に、慢性期治療病棟としてしか認めない、重症が8割でないと無理だと。
では、慢性期治療病棟はどういう役割をしろといっているか。ターミナルばかりを診るというのではなく、早期治療を徹底し、早期軽快退院率を上げることによって死亡退院率を減らさないといけない。2週間で帰すと評価されるということである。
在宅復帰機能強化加算を算定するには、一応、5割以上ということになっているし、この地域包括ケア病棟も含まれる自院または他院の一般病棟から当該病棟に入院して在宅に退院したというのが10%から15%上がった。そして、患者1日につき50点。10点から50点に増えた。
だから、結局、療養病床も、早期治療、早期在宅復帰を行う病棟を高く評価している。当然といえば当然なのであるが、今まではどちらかというと社会的入院の宝庫としてじっと寝かせておくというための病棟、そんな余裕は日本にはない。そこは介護医療院に担ってほしいということだと思う。
従って、急性期一般病棟は、どこへ行っても在宅復帰の8割の中に入るが、老健も療養病床も回リハも地域包括も、これはとにかく、右端の、自宅か、介護医療院か、居住系にいかないと在宅復帰にならない。これはボディブローのように効いてくると思う。
■ 老健は「超強化型」になるとベッドが空く
老健であるが、「従来型」は-1.6%、「強化型」は+1.06%にしかならないのである。分かるだろうか。だから、全老健が非常にいい方向へいっているというが、現実には、「超強化型」になると、ベッドがガラガラ空いてくるというふうに、福祉医療機構はデータを出している。
計算をしてほしい。100ベッド、月に4000万とする。1.06%増えるということは、40万増えるということである。で、ベッドが空いてくる、40万ということは、一人の分である。そうすると、この強化型を取って15%ベッドが空いてしまうよりは、その他型を取って、100%入院しているほうがはるかに今は得である。このような計算ができる。
老健は40万床近くあるが、これを全部、一般の在宅復帰型にするというのは無理である。三つぐらいに分けないといけない。やはり地域によっては、特養がないところでは特養の代わりもしないといけない。
■ 病院の評価はアウトカムにかかっている
病院の評価はアウトカムにかかっている。いかに良くするかであって、いかに看取るかではない。
やはり、今までは冗漫なというか、不効率な病床も、一般病床の特定除外や、療養病床の社会的入院をなんとか大目に見て、25対1の療養の2016年に改定するまでは医療区分2、3の縛りは全くないという大甘な運営基準があったが、そうはいかない。
もうちょっときちんとやってもらえないと、生産年齢層はどんどん減ってきている。
ということで、良質な慢性期医療がなければ日本の医療は成り立たないと日本慢性期医療協会はずっと言い続けていた。まさに良質な慢性期医療、早く良くして帰す。看取るばかりの能力では慢性期医療は生きていけない。
急性期から低栄養でガリガリで、すごく渇いた、脱水の、ぼうっとしたような患者が山ほど送られてくるが、これをきちんと治して地域に帰してあげる、めちゃくちゃ難しい医療である。これを高度慢性期医療という。
穂高から奥穂高へ行く稜線、たった50センチの幅しかない道、ちょっと油断するとがけから落ちて死んでしまう。このような厳しい状況の中で、いかに急性期の治療によって、非常に厳しい状態になった患者を救うかということが慢性期医療に求められていると感じている。
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地域包括ケア病棟の機能等に関する調査結果から見た同時改定の影響
仲井 培雄(地域包括ケア病棟協会会長)
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■「惑星直列」が目指すのは、QOLとQODの向上
「惑星直列」が目指すのは、QOLとQODの向上であると思う。平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加。介護保険、自立支援、保険者の健康増進へのインセンティブ、高度先進医療の保険収載が必要である。
QODについてはいわゆるプロセスガイドラインを活用する。そして、働き方改革で医療・介護従事者のQOL、そして共生型社会の実現で地域住民のQOLとQODをそれぞれ向上させるという意味を持っていると自分なりに解釈している。
地方厚生局データの解析資料が毎月出ているが、地域包括ケア病棟算定病院は2200病院になった。推計では72,100床である。トップ3は福岡、兵庫、東京である。入院料管理料1は2割弱取られている。
地域包括ケア病棟の機能であるが、ポストアキュート、サブアキュート、そして周辺機能の3つの受入機能と2段階の在宅生活復帰支援機能から成る。
そして、この病棟を有する病院の機能は3つある。
急性期ケアミックス(CM)型は、10対1以上の急性期一般病床を持っていて急性期機能を最も重視している。院内のポストアキュートが地ケア病棟の中心になる。
ポストアキュート(PA)連携型は施設全体として実患者数の概ね半分以上が他院からのポストアキュート患者である。連携先は高度急性期病院、急性期病院である。回リハ病棟や療養の後方病床と併設施設が豊富である。
地域密着型は急性期ケアミックス型のポストアキュート連携型のどちらでもないというもので、200床未満の小規模病院が多く、いわゆる日常生活圏域のサブアキュートに主に対応している。
■ 自宅等で療養する患者の受入を今以上に期待されている
今回、トリプル改定のメッセージを自分なりに考えてみた。地域包括ケア病棟を有する病院には、日常生活圏域の生活支援が必要な高齢者に、緊急時の受け入れや在宅・生活復帰支援等の医療と介護を連携したサービスを提供すると同時に、かかりつけ医が行う在宅診療の支援を期待されている。
しかし、2017年度までは、2次救急指定、救急告示病院、在宅療養支援病院、在宅療養後方支援病院のいずれかを満たさないと、本病棟を届出できなかった。地域包括ケア病棟を届け出て地域包括ケアに貢献しようと望んでも、200床未満の病院や医療療養病床を主体とした病院等にはハードルが高かった。そこで、2018年度から病院敷地内に訪問看護ステーションがあれば、新たに地域包括ケア病棟を届け出できることにした。
さらに、200床未満と、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するGL」等を踏まえた看取りに対する指針の策定を要件に、基本的な評価部分に加えて、実績が反映される評価(入院料(管理料)1、3)とした。
救急・在宅等支援病床初期加算は、自宅等からが、在宅患者支援病床初期加算として2倍の300点/日(14日間)に評価され、看取りに対する指針に基づく意思決定支援の実施が要件となった。
自院・他院の急性期病棟からの入院患者は、急性期患者支援病床初期加算として区別された。 自宅等で療養する患者の受入を今以上に期待されている。
一方、200床以上の病院は新設の実績評価の対象ではない。しかし、医療資源の少ない地域とされる41の2次医療圏や一部の離島においては、200床未満の要件が2割増しの240床未満となり、一定の配慮がなされた。また、自院からのポストアキュート患者の割合が多い、高度急性期機能を重視した大病院の地ケア病棟届出制限(1病棟まで)は、500床以上から400床以上と厳格化され、地域内医療機能の分化連携が促されている。
■ やはり、地域包括ケアに関する実績の中では「在宅医療等の提供」が一番難しい
今回2つの調査をした。まず、「訪問看護ステーションの要件」に関する緊急調査である。 200床未満の地域密着型には追い風のはずだったのであるが、いろいろな病院から、「既に訪問看護ステーションを敷地外につくってしまった、どうすればいいのか」という声が少なからず聞こえたため、会員病院に緊急調査をした。
まず、当協会には、これから地域包括ケア病棟を取ろうという方々も含まれている。今回答えていただいた中で、8病院のうち7病院が現在検討中ということであった。
その中で「同一敷地内に訪問看護ステーションを有している」という要件が影響していると答えた2施設は、ともに敷地外に開設しており、うち1施設は再移設を予定しているということであった。
また、既に入院料(管理料)1、3を届けている病院であるが、200床未満で36、200床以上で1、この200床以上は、医療資源の少ない地域に属しているところで240床未満にしたというものである。
あわせて37病院について見ると、a.在宅患者訪問診療料100%、d.同一敷地内/みなし指定の訪問系介護サービスが9割以上。このa.とd.を含むもので充足している病院が9割以上と大多数であった。B.「みなし指定の在宅患者訪看・指導料等」「同一敷地内訪看ステーションの訪看基本療養費等」c.「開放型病院共同指導料」の要件を満たすことは、やはりハードルが高いようである。
それから、検討中の35病院を見ると、やはり「在宅医療等の提供」が一番難しいという。
その中でb.とc.を満たすことは、かなり難しく、a.とd.も半分くらいはみたすことが難しいというところである。
■ 在宅系を強化しようとすごく考えている
では、皆さんどうされるのかというと、「訪問診療の開始、強化」をしよう、「訪問看護ステーションを開設、強化」しよう、「訪問リハビリテーションの開始、強化」をしよう、などである。まず、在宅系を強化しようとすごく考えておられる。
考察であるが、これらの要件(敷地内訪看Stについて、開設を地ケア病棟開設の要件とし、訪看の実績を入院料(管理料)1、3の要件とした事)について、これまでの病診連携に加えて中小病院の病診支援モデルとしてもニーズに合った政策である。医療資源の少ない地域に属する医療機関には、一定の配慮がなされ200床未満の要件が2割増しの240床未満とできる政策は人口減少時代にマッチしている。
回答113施設中、入院料(管理料)1、3届出済み37施設、検討中35施設と合わせて6割を超える病院が、上記①②の2つの政策に賛同している。
しかし、2018年3月以前に敷地外に訪看Stを開設又は移設した施設は少なからず存在し、その上、敷地内に移設又は再移設しようとしていることに若干の無駄があるのではないかと感じている。
■ 急性期ケアミックス型の割合が低下している
毎年実施している調査を6月に行った。「平成30年度地域包括ケア病棟の機能等に関する調査」である。こちらは、地域包括ケア病棟を開設している全病院に送り、500病院から回収され、回収率は22.4%であった。うち、会員病院は176病院で4割近い回収率であった。
開設法人は民間が7割と多く、許可病床数も50から199が7割近くあり、地ケア病棟の医療法上の位置づけは一般病床が9割近くある。これは去年とほぼ同じ結果である。
また、併設サービスの状況について、訪問系は昨年より10ポイント増えているが、通所、介護施設、居住系は変わらない。
稼働率であるが、これはあまりにも良いので、本当かどうか今から精査する。90%以上のところが3割6分くらいあり、非常に増えている。それから、重症度、医療・看護必要度はIを取っているところがほとんどであり、IIは8施設取っている。昨年の調査よりもⅠはピークが5ポイント増加している。
診療圏の状況について、急性期ケアミックス型が5割と多いが、これがほぼ1割減少し、地域密着型がほぼ1割増加した。PA連携型は変わらない。
病院機能をベースにクロス集計したところ、救急搬送された入院患者が占める割合は、10%以上占める施設は急性期ケアミックス型は2.5割、PA連携型は3.5割、地域密着型は4割と、当然ながら急性期ケアミックス型は低い。まず、急性期の病棟へ行ってから、ポストアキュートとして受けるということが多いためである。
■ POCリハ、会員施設のほうが提供している
地域医療連携推進法人の加入は14施設、2.8%ある。加入予定が2施設、検討中が50あり、全部合わせるとなんと13.2%も地域医療連携推進法人のことを考えている。
また、自院で訪問診療や往診を展開する必要性は、「必要がある」と「要望があった」を合わせると8割弱あり、結構多い。
「在宅生活復帰支援のための院内多職種協働の取り組み」について、リハビリ、家族との退院調整、地域ケアマネとの連携が7割以上ある。院内地域内共通のアセスメントツール、ポリファーマシー対策、院内デイサービス・デイケア、リハビリ栄養に取り組んでいる病院の割合は3割未満と少なかった。これは大体去年と同じ傾向である。
また、POCリハを提供しているところは26.6%あり、会員病院は3.5割弱が提供していて、0.5割近くが実施予定をしていた。会員施設のほうがPOCリハを提供しているところが多く、去年と同等である。
入退院支援加算の算定状況について、地ケア病棟の入退院支援加算算定実績がある病院は203あり、65%にのぼる。
一方、入院時支援加算の算定割合について、今の入退院支援加算を取っている施設でしか取れないが、在宅からの予定入院は6.25%と、未だあまり取られていないということが分かった。
■ 在宅復帰率の要件変更、影響の有無は二分された
地域包括ケア病棟における診療報酬改定の取り組みについて、地ケア病棟を新規開設した病院は、4月以降に7%あった。敷地内訪看ステーションの要件追加によって新規開設ができたのは4施設1割強あった。ただ、未回答が多いので、この割合はあまりあてにならないと思う。
薬剤総合評価調整加算の算定実績ありは、14.5%である。腹膜透析の算定実績ありは3.0%で、まだこれからというところであろうか。人工腎臓は2014年度からずっと出来高であるが、今は3割ぐらいのところが取られている。
看護職員夜間配置加算は、算定なしが9割であるが、利用しているところでは頻繁に算定されている。30日未満というところもかなりある。
夜間看護体制特定減算の活用であるが、「対応したことがある」と回答したのは3施設であった。
在宅復帰率の要件変更であるが、在宅復帰の対象が変更になったことへの影響を聞くと、「影響あり」と「影響なし」で大体二分された。
「影響あり」のうち、どちらが問題だったのかということで伺うと、医療療養は4.5割弱で老健が8割超と、老健のほうに影響が大きかったということがうかがえる。
また、医療資源の少ない地域に属する医療機関の状況であるが、当該地域に該当するところは11施設あった。そのうち2施設が既に240床未満に削減しており、先ほど言った1施設が入院医療1、3を取っている。
複数の地ケア病棟を届け出るための要件への対応であるが、許可病床数400床未満や、高度急性期病床の取り下げはほとんど行わないというものであった。しかしながら、未回答が多かった点が気にはなるが、あまりダウンサイジングや取り下げは一生懸命考えておられないということがうかがえる。
救急・在宅等支援病床初期加算、改定後は3月までどのくらい取っていたかというと、8割弱の施設が取っていた。それが今改定後度は2つに分かれ、急性期患者と在宅患者に分かれたが、急性期患者のほうはむしろ少し増えた。そして、在宅患者のほうは逆に減った。
■ ACPなどの啓発活動に不慣れな様子がうかがえた
看取りに関する指針の作成は、「策定済み」が5割弱、「策定予定」と「検討」を含めると8.5割超を占めている。
算定の対象とする支援活動について、「意思決定の支援」-が4割強と最多を占めたが、「家族の特定」-つまり代理決定者の特定が3割強、「リーフレット等での啓発活動」が2割弱というように続いている。
また、認知機能の低下を算定の基準にしているかどうかを伺ったところ、「基準にしている」と「基準にする予定」を合わせると3割弱を占めている。5.5割に達する「未定」や「未回答」を除くと、関心が高かったが、「未定」「未回答」が多いということは、いろいろ迷っていらっしゃるんだなということがうかがい知れる。
それから、ACPの院内の啓発は、「行っている」と「行う予定」を合わせると5.5割弱である。また、地域内の啓発は2割超が実施されているが、ともに「未定」「未回答」「わからない」が4割前後と多く、ACPなどの啓発活動に不慣れな様子がうかがえた。
在宅患者支援病床初期加算について一般病床と療養病床で見てみると、やはり療養病床のほうが多い。私の知り合いの先生方に伺ったところ、医療療養病床の在宅患者支援療養病床初期加算は、結構皆さん取られている。したがって、療養病床を主体とする病院では、比較的ACPは病院の文化になっていて取りやすいのではないか、と予想される。
■ サブアキュートが「増える」4.5割弱、「変わらない」3割強
地域包括ケア病棟を持っていて、かつ、これらの病床を持っている病院についてのアンケートである。この施設を持っているところは1.5割弱あった。既に介護医療院に転換した施設はこの72病院の中で0.5割、4施設であった。「2018年度に予定」と「検討中」を合わせると6割弱にのぼった。
地域包括ケア病棟を有する病院の介護療養の転換先というのは、介護医療院(I)が8.5割弱、医療療養2の転換先は介護医療院(II)と医療療養1がともに4割弱を占めている。地ケア病棟への転換というのは、介護療養病棟の転換意向を示さなかった一部に認めただけである。
転換の目的は、「制度改正への対応」が6.5割弱と最多であり、「地域ニーズに対応」が4.5割弱、「稼働率の確保」へと続いている。また、地ケア病棟に関連する項目の順位はどれも低かった。「地ケア病棟の在宅復帰率の向上」がわずかに高かったくらいである。
9月末に経過措置が終わるのでその後の経営はどうなるかという問いに対して、最も多いのは「わからない」であり過半数を占めている。「増収増益」は2.5割弱、「減益」は1.5割弱を占めている。
地域包括ケア病棟の受入れ機能の変化であるが、サブアキュートが「増える」というのが4.5割弱、「変わらない」が3割強であった。また、ポストアキュート(自院)、ポストアキュート(他院)、周辺機能の緊急については、「変わらない」というのが一番多い。
また、周辺機能(その他)は、短手3の取扱いがDPC対象病院かどうかで異なり、これまでDPC対象病院であっても、地域包括で短手3を見ることができたが、それができなくなったので、「変わらない」が一番多いのであるが、「わからない」が2番目に多い。
■ 地域包括ケアシステムに寄り添う施設が目立っている
経営の見込みに対して特に重要な対策は、在宅生活復帰支援機能強化、これは基軸の機能であるから、5割弱と最多になっている。その他、「在宅医療・介護強化」「他病医院との役割分担」と続いている。質の向上と役割分担、救急強化が課題と推察される。
追い風としては、地域包括ケア病棟は、今改定で地域包括ケアシステムを強力に支えるべく正常進化を遂げた。入院料(管理料)1・3は高い点数を受けて、届け出を真剣に取り組んでいる施設が目立った。
見えてきた課題として、入院料(管理料)1・3の、敷地内訪問看護ステーションの移設、再移設には若干のムダがないか。在宅復帰率の分子から老健と医療療養が削除されたことによる影響は、ありとなしが2分された。地域包括ケアの中で両者の役割と関係性が整理されると調査結果が変化するかもしれない。
人生の最終段階における医療・ケアの決定に関する取り組みと在宅患者支援病床初期加算をどのように結び付ければよいのか、悩んでいる施設が多かった。
地域包括ケア病棟を有する病院において、介護医療院の開設と地域包括ケア病棟の活用を組み合わせて考えている施設は、現状では多くなかった。10月以降の経営状態は、前回改定時に比べると不透明感の高まりを感じた。
「訪問看護ステーションの要件」に関する緊急調査の中で最後に以下の解析を行った。入院料(管理料)1、3の届出状況と病院機能のクロ集計について、急性期CM型の中では、200床以上で200床未満に削減する意思のない病院が、最多で5割弱を占めていた。PA連携型の中では、入院料(管理料)1、3の届け出を検討している病院が、最多で5割を占めていた。地域密着型の中では、入院料(管理料)1、3を既に届け出た病院が、最多で5割超を占めていた。
入院料(管理料)1、3を届け出済みの施設の中では、病診支援を実践しやすい中小病院である地域密着型が、予想通り17/37施設と最多であった。入院料(管理料)1、3を既に届け出た病院と入院料(管理料)1、3の届け出を検討している病院を合わせると、PA連携型と地域密着型の中では9割弱に上った。急性期CM型の中では、200床以上で200床未満に削減する意思のない病院とほぼ半々であった。
この2つの調査をまとめると、2018年度トリプル改定を経て、地域包括ケア病棟の機能と役割を再考・熟考し、地域包括ケアシステムに寄り添う準備を進める 又は 怠らない施設が目立っていると思っている。
(了)
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