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【記念シンポジウム】
【記念シンポジウム】
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試される地域の力、病院の力
【座長】
小山秀夫(兵庫県立大学大学院 教授)
【シンポジスト】
武田俊彦(厚生労働省 医薬・生活衛生局長、前政策統括官)
相澤孝夫(相澤病院 理事長・院長)
中井修(九段坂病院 院長)
藤井功(福山記念病院 理事長)
仲井培雄(地域包括ケア病棟協会 会長)
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〇座長:小山秀夫(兵庫県立大学大学院教授)
シンポジウムの打ち合わせは何もしていない。ただ、「試される地域の力」という面から、
「最大・最強の地域包括ケア病棟」ということでみんなで頑張っていこうという会ができて、
今日はいろんなタイプの先生方のお話を聞こうということになった。
相澤先生は地元で大きな病院を経営されているが、病院の中から1病棟を外に出して、地域包括ケア病棟のみの病院を作った。
全国でほぼ初めてということでお話をしていただく。中井先生が院長をつとめる国家公務員共済組合連合会九段坂病院は、
以前は靖国神社の前にあったが、坂を下りて新しく建て替えた。
藤井先生は広島・福山市で福山記念病院を長く経営されて、どちらかというと療養病床が主体の病院で、
そこから地域包括ケア病棟を運営されている。この三方の話をリレー方式で聞く。最後に、仲井先生に少しまとめてもらおうと考えている。
その前に、武田先生にお話しいただく。武田先生は、私が入職した後に入ってきた法令事務官で、私が厚生省に入った後に初めて局長になった人。
今年の6月末に医薬・生活衛生局長に就任された。それまでは、厚生省にさまざまある社会福祉関係の制度のほとんど、
医療から何からその政策統括官をつとめられた。その前は大臣官房審議官で保健局の医療保険の審議官をつとめられ、
その前は消防庁の審議官と、多彩な経験をお持ちの政策官である。
石川賀代大会長から、この武田局長をお呼びして、何か話をいただきたいというので、昨日、一緒にまいった。
はじめに地域包括ケアの病院の未来に関して、武田局長から少しお話を伺った後、3人のリレーをし、
大会長にまとめてもらう。それでは早速だが、武田局長にお話を伺いたい。
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地域包括ケアと病院の未来
厚生労働省医薬・生活衛生局長、前政策統括官
武田俊彦
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〇武田俊彦(厚生労働省医薬・生活衛生局長、前政策統括官)
小山先生からご紹介いただいたが、ただいま医薬・生活衛生局長ということで、医薬品の承認審査、薬剤師国家試験などの仕事をしている。
地域包括ケア病棟研究大会にお招きいただき、大変嬉しく思う。必ずしもみなさまの参考になるかわからないが、こんなことを考えていた、
もしくはこんなことを期待しているという話が少しでもできればと思っている。
配布資料には追加をしている。今年の3月、唐澤保険局長が、2016年度診療報酬改定を地域包括ケア元年と位置付けたと、
けっこうすごいことを言っている。何がすごいかと言うと、わずか数年前には地域包括ケアと医療という言葉はあまりセットで語られていなかった。
診療報酬改定の主な目的が地域包括ケアにあるということも、かつては想像できなかったことである。
この「地域包括ケア」という言葉だが、保険局の唐澤局長がおり、隣の部屋に審議官で私がいて、その隣に吉田学審議官がいる。
2014年7月の人事でこのような布陣になって以来、3人ともこの地域包括ケアが大事だとずっと言っていたが、3人ともそれぞれ違うことを言っているので、
聞いている人が何が地域包括ケアなのかがわからないとも聞く。
ただ、私はこの地域包括ケア病棟の団体ができたことは、大変いいことだと思っている。それまでどういう状態だったかというと、
社会保障・税の一体改革の中で病院の機能、病棟の機能についてずいぶん議論があった。振り返って見ていただくとよくわかるが、高度急性期、
急性期、亜急性期、回復期という分類だった。これは病期の分類で、実はこれは将来どれくらい患者さんが出てきて、
どれくらいの入院ニーズがあるかということを計算するために病期で分類していった。ところがそれがそのまま病院の機能を示すという誤解が生じて、
高度急性期の病院、急性期の病院、亜急性期の病院、回復期の病院と、そういうふうな受け止められ方をしたので、
そうではなく病棟での機能が大事ということで、その中で地域包括ケア病棟ができたという経緯がある。
唐澤局長の隣で私が言っていたのは「モノから技術へ、薬から食事へ」ということ。地域包括ケアの「ち」の字もないが、
私としては理念は共通していると思っている。最近、「ランアップ」という雑誌があって、
そこで在宅医療で有名な太田秀樹先生(医療法人アスムス理事長)と対談をした時の記事が載っている。オリジナルを見ていただければいいが、
ちょっとこれは小山先生の座長で思い出したこともあるので、少し記事を読ませていただきたい。
「少し時代がさかのぼりますが、私が厚生省に入って最初に配属されたのは老人医療のセクションでした。
当時、老人保健法が1983年2月に施行された。薬漬けと言われた老人医療が社会問題になっていた時期です。なぜそんな状況になってしまったのかというと、
老人医療の実態・変遷をひもといていくと、老人医療の無料化というのがあった。結果として生活の質、QOLを無視した老人医療が根付いてしまったわけで、
そこには政策のゆがみもあったのではないかという反省があるということです。そしてこのような混乱の時期でしたので、役所に入った当初から医療の質、
あるいはQOLも含めて質の問題を政策面からしっかり考えなければいけないと言われ続けてきました。
そのためにはわれわれがとにかく現場で何が起こっているのか、自ら足を運んで確かめなければならない。
志を持って取り組んでいる方々の話を聞いて、政策に生かすべきだということを、1年目から徹底的に教わり、
今もその気持ちをずっと持ち続けているつもりです」。
ということで、これが私と小山先生の出会いの頃の、
老人の専門医療を考える会をはじめとした先駆的な医療の取り組みの現場の方々との関わりのスタートだった。
私としては、そうした流れをくんでいるのが、この団体ではないかと思うし、おそらくそういうことでこれからの発表もあるのではないかと思う。
QOLと言ってみたり、在宅医療と言ってみたり、「キュア」から「ケア」へと言ってみたり、治す医療から支える医療へと言葉もどんどん変わっているが、
言いたいのはおそらくかつて老人医療が非常にひどい時代があり、それをもっといいものにしようという先生方の苦労があり、いろんな病棟の形態がある。
ここから展開されていくのが地域包括ケア病棟という言葉で語られる2年であり、
病院の中ではこの地域包括ケア病棟というのが大きな役割を果たしていくのではないかということである。
私が「モノから技術、薬から食事へ」というキーワードで言っていることは、
それと同じことを誰でもわかるようなキーワードで言えないかといろいろ考えたら、
今はこう言ったほうがいいんじゃないかということで「最期まで口から食べられる」ことが大事とも言っている。
普通の方々にもわかりやすい言葉で、やはり最後の最後に動けなくなった時に、最後に残る楽しみはやはり食べること。
食べることを奪う医療になってはいないか? ということを問わなければいけないのではないかと思う。
地域包括ケアという言葉は、かつては介護保険の言葉だと受け止められがちだったが、2013年では、地域包括ケアの中心テーマは、
救急医療、在宅医療、そして病院、そして医療介護連携に拡大した。当時、私が考えたキーワードが、こういうことだった。おそらく今に至るまで、
地域包括ケア、それから病院で考えていかなければならないことはこういうことだろうと思う。
社会保障制度改革国民会議の報告書が出て、そのすぐ後に日本医師会と四病院団体協議会の合同提言が出た。私が非常に感銘を受けたのは、
国民会議の報告書のすぐ後に、合同提言が出たということである。この提言が、ずっと議論していた医療改革の議論が大きく進むきっかけとなった。
これは、病院団体と地域医療を担う関係者が一致して提言を出した、つまり理念の共有をしたということである。
かかりつけ医というのはこういうことをしなければならないのだということを、初めて出してきたということもあるし、
病院に関しては病床の機能に関して極めて重要なことが書かれている。急性期病床の中に在宅や介護施設の患者の急性増悪に対応するとか、
二次救急を扱うとか、地域包括ケアを推進するためにかかりつけ医との連携機能、介護との連携、
そういう役割が急性期病床の中の一定の病棟には認められなければならないということなどが、合同提言で出された。
そこから、こういう考え方に沿って大きく政策が動いていくということになる。
そもそもどうしてそういうことを目指していかなければならなかったか。大会誌の表紙にも書いてあるように、基本は在宅で、
病院はそのバックアップする機能を担うべきである。いかに在宅に戻すべきか、いかに在宅のバックアップができるかということがこれから問われてくる。
厚生労働省はずっと在宅医療、在宅医療と言ってきた。先日、在宅医療推進会議という大きな会議が開かれたが、なぜ在宅医療と言っているのか。
それからなぜ地域包括ケアということを言っているのか。厚生労働省が急に言い始めたわけでもなく、医療費適正化のためでもなく、
国の負担の削減のためでもない。
地域包括ケアの創設者といわれている山口昇先生(公立みつぎ総合病院・広島県)がこう語っている。
「御調町ではすでに高齢化がかなり進み、寝たきりが多かった。これはいわゆる作られた寝たきりであって、
これをなんとかしようとして出前診療を始めた」というようなことをおっしゃっている。
それから、長野県の若月俊一先生はデンマークとの関係において、日本は一番大事な本人の自由がない状況になっているのではないかとお話されていた。
海外と比較して在宅ケアの用意ができてないという大きな違いがあるということだ。
やはり家に連れて帰りたいという家族がいたり、家に帰したい、という現場の先生方の声が出てきて、
それを先ほど申し上げたような医療の質の向上という観点に立って政策に取り入れてきたというのが、今まで脈々と続く在宅ケアの流れであり、
在宅医療の推進であり、今の言葉でいう地域包括ケアの推進ということだと思う。
地域包括ケアから見た医療改革について、地域包括ケアと医療と何の関係があるのかということが言われた始めた時、
地域包括ケアとは介護ケアの話だけではない。医療と介護を包括するものである、と、医師会と病院団体の合同提言が出された。
それでは、医療の側から患者の視点で考えた場合、どういう地域包括ケアが求められていて、何をしたらいいのかということを考える時期に来た。
そうしてみると、患者の視点で考えた場合、医療に何が足りないか。介護ではケアマネージャー、地域包括ケア支援センターが制度化されているが、
医療にはそういう存在がない。患者の支援体制が制度化されていない。誰に相談していいのかわからない。誰を頼っていいのかわからない。
誰の責任でやってもらうことなのかわからない。
それで病院の機能をちゃんとやらなければ駄目じゃないかということで、問題意識を持っていた。それが今、実現して、
各病院が地域包括ケア病棟という形の中で、こういう機能を求めることができる。いわば制度の足がかりができた。制度の足がかりができたからには、
どうやったら点数算定できるかということではなく、制度の足がかりを活かして、最初に抱いていた問題意識にぜひ応えていっていただきたい。
今までの病院完結型を、病院完結型ではない機能分化、機能連携と考えた場合、できればこうなっていただきたいということを考えたが、
現実に起こっているのは患者の流れが停滞しているのではないかということであり、いろんな問題が起きてきている。救急搬送の問題、救急の出口問題、
病院から退院できない患者がかなり存在するという問題、患者が転院先を探さなければいけないということ、在宅医療がシステムに組み込まれていないため、
家族は誰に相談したら在宅医療にたどり着けるかわからない。
こういうことすべてを、誰かが解決していかなければいけないということである。私は当時、消防庁にいた。救急の側から見た場合、非常に問題が多い。
救急と地域包括ケアは全然関係がないものだと思われていたが関係は強いと感じた。厚生労働省に戻ってからは、
厚生労働省側の救急および地域包括ケアの検討体制・連携体制の中に、ぜひ消防を入れてくれというようなことをずっと言っている。
みなさまも地域のいろんな方との連携が出てくると思うが、連携の輪の中にぜひ消防を入れていただきたい。
それによってお互い気がつくところがたくさんある。
私が消防庁にいて本当によかったと思うのは、救急搬送の現場の問題ということも、救急・救急医学・急性期対応は、急性期の問題、
または救急医学の問題と思ってしまっていた、ところが救急医学が直面する問題や介護体制、地域包括ケア体制をいかに作るかということこそが、
救急医療を守るための最大課題だ、ということに気がついたことである
毎年10万件ずつ、救急搬送件数は伸びている。高齢者の救急搬送が増えているのに、二次救急を受け入れる病院が減っていて、
救命センターに多くの高齢者が運ばれるとか、今述べたような事柄が大きく問題になってくる。救急というのは、
病期の分類からすると急性期そのものと言える、
そこを担うべき病院が地域になければいけないということが、だんだん理解されてきたということだと思う。
ちょっと話が飛ぶが、厚生労働省が言っている地域包括ケアシステムは、住まいが真ん中にあり、住まいを支えるのは基本的に生活支援・介護予防。
医療が必要になったら医療を、介護が必要になったら介護を受けるということである。
では、具体的にこれをどうしたらいいのか。地域包括ケアシステムの受け止め方は、行政や議会の先生方、それから医療関係団体、介護関係の人たち、
それぞれちょっとずつ違う。一番ややこしいのは行政で、彼らは、地域包括ケアシステムの実現のためには法律上これとこれとこれをやらなければいけない、
そうするとこれとこれとこれを予算措置しなければいけないというふうに考える。介護老人保健施設、認知症共同生活介護、特定施設入居者生活介護等、
提示されたものを全部そろえるのが地域包括ケアだと行政的には考えてしまうが、決してそうではなく、すべての地域にこれが全部必要なわけでもないし、
地域ごとにで多様な形がある中で、結果的にこういう理念が実現されていればいいと考えるべきだろう。そういう意味でいうと、唐澤局長の言葉だが、
地域で生活する人の目線をもった、コミュニティベースとナラティブベース、インテグレーテッドケアということではないか。
私自身もこうしたことが理念だと思っている。
厚生労働省は、平成28年診療報酬改定の重点項目が決定されるずっと前から、地域包括ケアシステムの推進は診療報酬で対応すべき重点事項であり、
他の省庁にも協力してもらいたいということで位置づけている。
これは吉田審議官のスライドで、地域包括ケアの「肝」は何かということを問うている。「循環型システム」への意識改革、
「生活支援とまちづくり」、「制度ではなく、実践が形作るネットワーク/マネージメント」とある。
循環型システム、地域との連携体制をいかに病院が構築できるかということだと思う。循環型では、在宅から病院に入院されても、
良くなったらまた在宅に戻っていただくということを意味しているのだろうと思うが、言うのは簡単だが非常に難しい。
病院が地域との連携体制を構築できるか。そのためには病院側の意識改革が必要だということで、病棟の医師、
看護師の方々が在宅をどこまで意識できるかということが、極めて重要である。
例えば「薬から食へ」ということでいうと、栄養問題に関しては成分や栄養が足りなければ、さまざまな形で栄養分の補給をするという形をとるが、
それは在宅医療における食の形態としてはふさわしくない。そこにつなげていくために、どう考えていくのか。病院の中でやっていることをベストだと考え、
在宅で病院と同じようなことをすることを目指すと、話がどんどんずれてくる。そこの意識の改革が必要であり、
退院した患者が家や施設でどのように暮らしているかを実際に見ないと、なかなか想像できない。見たことのないものは、想像ができない。
想像ができないことに対しては、最適なケアが提供できない。そこの歩みよりがなくては、地域は地域で、病院は病院で、
お互いに在宅のことを分かってないということになる。
例えば、典型的な地域連携の会に私もいくつか出ているが、最近はナショナルセンターも地域と連携してほしいということが言われている。
国立がんセンター東病院では地域の先生方とがんセンターの先生方が一緒になって、情報共有しようという集まりを年に1回やっているので、
そこに行って見てきた。すると、病院志向か、在宅志向かというのは、医師の発表スライドを見ればすぐにわかる。病院の先生方は、
最新の治療はこうである、こういう患者さんがいて検査データはこうだった、治療成績はこうだった、これだけ効果があった、と、数字ばかり続く。
一方、在宅の先生のスライドを見ると、家族はこんな感じである、それから在宅に帰った後の患者さんの顔はこんなに穏やかになったと。
患者さんの顔や家族の写真などで、数字は最後まで1個も出てこない。これだけギャップがある。
地域との連携には、基本は医師、薬剤師、看護師、それからケアマネージャー、ソーシャルワーカーが集まってくる。
こうした地域連携の会の場合は、失礼な言い方になってしまうが、まず、医者がある程度下りて行く必要がある。懐の深い医者というのは、
自分はなるべく言わず、口を出さない。しかし最後は、責任はちゃんとこっちがとりますからやってください、という形がベストである。
そういう形でないと、なかなか在宅の医療・介護の連携はうまくいかない。病院と地域との関係では、病院の側の意識改革が必要だと思う。
そういうことで地域との間の循環がスムーズになる。
だが生活支援については、行政と一緒にやらないとなかなかできない。町作りと一体になったシステムが必要である。
実際にどういうところに住んでいるかも大きく、山の中にぽつんと住んでいる場合は非常に難しい。豪雪地帯なら、冬はどうするのか。
どんなところでも都会と同じようにちゃんと通っていきますから、という対応ができない事実はある。その場合は、病院の近くに住んでもらったり、
病院から出る時に家の近くでサービスができる施設を探したり、作ったりする。高齢者が来るところに、子どもも来るような施設を設ける。
病院単体ではこうした構築はできないので、ぜひ自治体と組んでほしい。自治体も、病院からの声がけを待っている。なぜかというと、
市町村の関係者にとって医療はものすごくハードルが高い。医師会に行くのもハードルが高い。
だが自治体の持っているパワーというのはやっぱりすごいので、こういうところで一緒になってやっていくということも考えなければいけない。
地域包括ケアの実践を形作るネットワークマネージメントについて、出資母体が病院で、ソーシャルワーカーが、
地域のつながりをずっとつくっているといった東京都大田区のケースがあるが、今や全国から視察が殺到している状態である。
どうやって実現できたのかという問いが出るが、現場の人に勝手に進めてもらったものである。
母体の病院の中でもそのソーシャルワーカーが何をやっているか知らない人が、おそらく8割くらいいるという。
これからの地域包括ケアの方法論のやり方の一つだと思う。
他の地域の連携を見ていても、病院が母体でやっているところのほうが、結果的にいろんなことができている場合が多い。
それだけ病院のほうが、いろんな意味で動きやすいのであろう。ただしいろいろ口を出すと駄目になっていくということもある。
地域包括ケア病棟の役割については、地域包括ケア病棟とは何なのか、何のためにあるのかということが、今まさに、
だんだん理解が高まっている状況だと思う。地域包括ケア病棟の役割を実現していくための診療報酬上の扱いも少しずつ変えていく必要があると思う。
また、ケア病棟には、7対1病床を他の病床に転換させる際の転換先という、受け皿としての議論もあった。結果として、
大病院が多く算定したという実態もあった。一方、包括範囲が広すぎるため、病床の少ない病院が取りにくいという実態もあった。
そして今回の改定で、地域包括ケア病棟に求められる役割をどう考えるかという議論が起きた。
そして2015年の、日本医師会・四病院団体協議からの提言「地域包括ケア病棟のあり方(病院機能の視点より)」で出されたような、
診療報酬上の病院の機能ということを考えるべきじゃないかという話がある。
今までのような病院に来てもらってから初めてその患者さんを診るということではなく、在宅療養から急性増悪の患者を受入れる、
そして治療して在宅に返すということである。また、今後急性期が高齢者ばかりになっていくと救急搬送の事態はある程度予測ができる。
事前に得ている情報をもとに救急隊が病院を選んで運ぶ。そしてそこがちゃんと受け入れて、在宅の先生と連絡を取って、なるべく早く帰せるようにする。
そのためには、病院は機能を強化しなければいけない。他機関との連携が求められるゆえんである。
地域包括ケア病棟の診療報酬上の評価、政策は、以上のように進んでいるということで、ご理解いただきたい。現に今回の改定では、
手術・麻酔が包括から除外され、500床以上の病院または集中治療室等を持つ保健医療機関においては一病棟まで算定できるという見直しがされた。
地域包括ケア病棟の役割についての理解が少しずつ進みつつあるのだろうと思う。
在宅医療連携事業について、平成23年度は10ヶ所だったのが、100ヶ所、300ヶ所と拡大し、
そして平成30年度までに全市町村で実施されることになっている。ここにぜひ積極的に参加し、
全市町村の在宅医療・介護連携の推進を手がけていただきたい。
大事なことは、介護保険制度および市町村の事業の中で、在宅医療・介護の推進が位置づけられた。
そして先ほど自治体にとって医療というのは敷居が高いという話をしたが、自治体の中の介護保険担当にとっても、
病院というのは敷居が非常に高いところなので、
医療機関側から接触していただければと思う。
本日申し上げたかったのは、地域包括ケアという理念を大事にしてほしいという話。そこには、いくつかのシナリオがあって、
厚生労働省の人間でもそれぞれ違うことを言っているようだが、基本的に根っこにあるのは同じことなのだ、
ということをご理解いただきたいということ。
そしてそれは、過去20~30年の取り組みの中で高齢化社会における病院として目指した役割や、医療の質と、
決して齟齬をきたすものではないということ。
ただ、地域包括ケア病棟の概念というのは、患者さんから見たら在宅にいる期間もあれば、病院で過ごす期間もある。
それをよく理解した上で、患者さんのための医療の質、生活の質を考えるケアを目指していただきたい。
そしてその時に、患者さんの幸せ、家族の幸せを大切にする。
私が言っていることがすべてとは言わないが、そういうシンプルなキーワードで考えてみて、今後の医療に取り組んでいただければありがたい。
○座長
ありがとうございました。次に、相澤孝夫先生にお願いしたいと思う。
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超高齢者社会を支える地域密着医療
相澤病院理事長・院長
相澤孝夫
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〇相澤孝夫(相澤病院理事長・院長)
言うまでもないが、日本の人口構造は大きく変わってきて、人口の変化は大きく三つのタイプに分けられる。
おそらく地方は地方都市型の人口変化を示していると思う。私たちの病院のある長野県松本市も、地方都市型の変化を示している。
相澤病院がある北アルプス・松本市は、少し街の外に行くと人口がまばらな地域である。この地域を市町村ごとに見ると、
地方都市型の変化ばかりではなく、都市型の変化を示しているところもあれば、過疎地域型の変化を示すところもあり、
おそらく自分の病院にどこから患者さんが来ているかによって、今後の病院の戦略を考えていかなければいけないだろうと思う。
もう一つ考えなければいけないのは、若い働き手の人口が減っていることである。2060年頃には、
働き手1人が高齢者1人を支えなければいけないということが起こってくることを頭に入れて、物事を考えなければいけない。
また老人の一人暮らしにおいて、暮らす場所がどんどんなくなっていく。田舎は悲惨である。過疎地に行けば行くほど、
住むところがどんどんなくなっていくというのが現実である。認知症の方々の増加もまた、ある意味において、
住む場所がどんどんなくなっていくという状況になっているのだろうと思う。
そこで国としては最重要施策として、医療改革をしなければならないだろうということで、二つのポイントがある。一つは病院の機能分化の連携、
在宅医療の推進、そしてもう一つは先ほどから話のある地域包括ケアシステムの推進である。平成28年度診療報酬改定もその方向で行っており、
地域包括ケアの推進と、病床機能の分化の連携ということを含む医療機能の分化、強化、
連携をいっそう推進するということが一番重要なポイントになってきていると思う。
平成26年から地域包括ケア病棟という制度ができており、在宅、救急も含めた受け入れと、
それからその患者さんの在宅生活への復帰を支援する病床・病棟ということで、
地域に密着した医療を行う病棟として位置付けられたということがあるかと思う。
これは地域包括ケアシステムの姿である私が所属している医療審議会でいつも問題になるが、地域包括ケアというとどういうわけか病院がいつも外される。
在宅の医療を行っているかかりつけ医の先生と介護の連携をどうするかということで、私は病院こそが非常に重要な役割をすると思っているが、
病院団体がこの話し合いの中に入れてもらえないということは、いささか片手落ちではないかと思っている。
厚労省は、地域包括ケアの見える化ということでデータをたくさん集めている。このデータは一般には公開されていないと思う。
だから厚労省の方に見せてくれと言ったら、もう出しているはずだと。どこに出しているかといったら、地域の自治体には出しているという。
でも医療関係者には届いてない、と申し上げたが、ぜひこのデータは一般にも公開していただきたい。
もう一つ、私が危険な理論だと思っているのは、高齢者が増えると医療需要が増えるということだ。
例えば75歳以上の患者については患者数が増えるよりも、平均在院日数が増えることのほうが非常に影響がある。
もし平均在院日数126.7日を57.3日に減らしたとすると、その126.7日の入院患者さんの数、いわゆる医療需要の差は6万5884になる。
ということは、6万5884床いらなくなるということになるわけだ。
ではこういう患者さんたちは、医療的な必要があって急性期の病院に入院しているのかというと、たぶん違うと思う。
実はこれまでの医療では対応できない状況になっているのではないかと思う。患者の病態や、生活を総合的に考えて、
どう目標を設定するかということをしなければいけないのに、残念ながら今はそういうことが急性期医療では行われていない、急性期の医療の側は、
たぶんこの点に気づいていないだろう。
年齢が高くなれば平均在院日数はどんどん伸びている。年々少しずつ改善されていて短くはなっているが、それでもかなり急激に伸びている。
75歳以上の方々の退院先は、自宅に帰られる方が74歳以下に比べると極端に減っている。ではそういう方々がなぜ帰れないのか。
退院困難の患者さんというのはどうして退院困難になっているのか。それは、食事、排泄、移動等の介護が十分でない。医療処置ができない。
訪問介護、リハビリテーションの提供がない。だから退院困難になっている。病気で帰れないわけじゃない。
そういうのをとにかく変えようというのが現実だろうと思う。
体の調子が悪くなった高齢者が入院してくる時、そういう場合に急性期治療がどのような生活上の機能障害、
さらには社会参加の障害や社会的不利益につながっているかという視点を持って、見ていかなければいけないということで、転居問題と同様、
あるいはそれ以上に生活問題の取り組みというのが重要になると考える。ご存じのように今は総合評価というのをやることになっているが、
これが診療報酬で評価されたがゆえに、総合評価はするけどもそれがまったく実践に結びついてないだろうというのが現実だろう。
相澤病院では入院してから1~2日目に、医師、病棟看護師、MSWで今後の方針を決めるための会議を開き、一生懸命頑張ってきた。
これまで生活していた場所に帰っていただこうということで、頑張ってきた。そうすると、75歳以上の方でMSWが関わったケースでは、
ご自宅への退院が増えてきている。2008年と2014年を比べると、明らかに増えているという現実がある。
ただ、院内の多職種連携のうちはいいが、在宅に帰ってから今度は地域内の多職種連携が必要になる。
院内の医療チームから在宅医療チームにうつる時は非常に難しい。なぜなら在宅でやる医療チームはさまざまな経営主体と、
さまざまな価値観の人が一緒になっているからである。引き継ぎにおいて、すごいエネルギーと時間を使っているのが現状である。
地域包括ケアをうまくやっていくためには、どうしても院内チームと地域チームの連携をどうしていくのかということが、
非常に重要な問題になってくると思う。急性期の医師、例えば心筋梗塞ばかりを見ている医師に在宅のことを想像しろといっても、できない。
いくら教えてもできない。そうなると、急性期の治療が終わったら、こういう病棟に入って、地域に戻っていくという流れをきちんと作る方が早い。
そのための病棟が必要ではないかと考え、4年くらい前からそうした病棟ができないかということで考えてきた。
急性期で頭が凝り固まっている医師の間でこれをやっていくのは、すごく難しい。それならば、病院を別に作ったらどうかというのが、私の考えである。
介護の重度化予防のリハビリを行ったり、あるいは生活に向けて調整するための時間が必要な患者さんを見たらどうかということを考えた。
そういう中で相澤病院に来る高齢者の救急の患者さんを見ている時に、在宅療養中の患者さんで、重傷ではないが、入院して少し様子を見てくれ、
あるいは少し治療してくれという患者さんは、わざわざ高度急性期をやっている相澤病院でなくてもいいのではないかということも考えて、
2016年2月1日に相澤東病院を開院させた。
一つは相澤病院にはERがある。ERで救急車を断らずに全部見るということをやっていると、
在宅療養をしていた患者さんでそれほど重傷でなくても病院に連れてこられるケースが出てくる。そうした患者さんをERで見て、
重傷ではなかったら相澤東病院の方に入院をしていただく。重傷であれば、高度急性期の相澤病院に入院していただく。
こういう振り分けの機能をERに担ってもらっている
生活上の安全だとか健康の確保というのは、ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、初めて成り立つと思うが、
残念ながら住居というベースが今はないのが現実で、特に田舎では大変である。そこで何をやったかというと、
相澤東病院から歩いて150メートルくらいのところにサービス付き高齢者住宅を作り、その真ん中に在宅医療を支援する総合的なセンターを作り、
ここですべて管理させるということを考えている。その中に、既存のマンションも建っているのだが、
このマンションもいずれは高齢者が増えてくるわけだから、町全体として対応しようというわけである。さらに、市民芸術館と美術館がある。
ちょっとむこうに行くとショッピングタウンもあり、非常にシチュエーションもいい、それと、
空いている住宅を活用しようということで市民に働きかけている。これはなかなかいい返事が返ってこないというのが現実だが、
こういう医療を中心とした住まいづくり、それから街づくりをやっていこうと思っている。
私たちがやっているサービス付き高齢者住宅では、国民皆保険の国民年金の範囲でやろうということで、
一つの部屋の値段を3万5000円にした。するとものすごい赤字になり、今は大変困っている。なんとかこういうところを支援してもらえるといいと思う。
もう一つ困っていることは、救急車で運ばれてくる患者さんが相澤病院の近くばかりではなく、遠くから来てしまうこと。
遠くから来た人を何とかしようと思うと、その地域に相澤東病院のような病院がないということで、今はそこに四苦八苦しているのが現実である。
以上で私の話を終わる。
○座長
ありがとうございました。相澤先生は、急性期や高度急性期の病院だとみなさん思っているかもしれないが、
相澤先生はずっと往診をされていた。そうした今までの取り組みが、こういう形になっている。
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都市部での地域包括ケア病棟
九段坂病院 院長
中井修
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〇中井修(九段坂病院院長)
今までの2人のお話は地域包括ケア病棟の表の顔だったと思うが、私が話すのはもう一つの裏の顔かもしれない。
現実にこうした利用法もあるということをお話ししたい。
まず九段坂病院の概要をお話しする。創立は大正15年に私立病院として発足した。当時は、九段上の麹町地区だが、モダンな建物ができて、
東京中で有名になったと聞いている。戦時中に日本医療団に吸収され、戦後に持ち主が買い戻しを放棄した形で、国家公務員共済組合連合会の病院となった。
国家公務員共済組合連合会は全国で34の施設を運営している。虎ノ門病院や横須賀共済など大きな病院もあり、私どもは小規模なほうの病院である。
周辺環境としては、区中央部医療圏というところにあり、この地区には東大、順天、医科歯科、日本医大、慈恵医大、国立がんセンターなど、
特定機能病院がたくさんあり、超過密の高度医療圏である。ここに14ある主な大きな病院だけで1万床ある。基準病床を既存病床が大きく上回っており、
医療圏間の流出入で言えば、入る人のほうが圧倒的に多い。
ここで医療をするというのは、なかなか大変なことである。おまけに千代田区はバブルの頃、住民がみんな地上げでいなくなり、
当院にも産科や小児科があったが廃止された。医療政策の影響もあり、経営は困難となり、平成11年頃には10億円の累積赤字が出て、
連合会本部には九段坂はつぶすという話も出ていた。
整形外科は私ども医科歯科の脊椎グループがおり、全国的にも評価されていたので、これに特化してやろうということで、
骨折も診ないというぐらいにして、脊椎手術を増やした。脊椎手術、年間1000件を目指して2009年に1000件を達成した。
これは全国でも最も多い数だと思う。
医業収支を診療科ごとに見ると整形外科と人間ドックは黒字だが、あとの科はみんな赤字である。
婦人科は内視鏡をやっている先生がいて一人あたりの入院収入は、けっこうあるが、整形外科が全体収入の65%を占めているという状況である。
しかし、これによって経営は安定化した。
私が院長になった2006年には看護基準は15対1でやっていた。看護師は実際にはもっといたが、脊椎がメインなので在院日数が30日以上あり、
在院日数の関係でどうしても15対1以上が取れなかった。ただこの頃も黒字を出していて、九段坂病院の奇跡と言われていた。
その後、10対1、7対1と基準をあげると収益は年々増え、看護師を増やすと収入が増えるという変な構図がまかりとおった。
7対1を減らすという厚労省の流れが強くなってきた2013年に、亜急性期病床がなくなるという事態になった。
そして2014年に地域包括ケア病棟という制度ができた。私どもが全病床を7対1でやっていくには、在院日数のコントロールができず絶対に無理があるので、
ケア病棟を算定せざるを得なかった。崇高な考えでケア病棟を作ったわけではなく、やむを得ないという理由からだった。
当時、1病棟の半分の25床をケア病床にしようと考えたが、そうなると病棟が増え、看護師さんの夜勤の数を増やさないといけないことになる。
しょうがないので1病棟を全部、地域包括ケアにしてしまえ、ということにした。52床で、2014年4月からスタートした。
私どもの古い病院は面積が少なかったので、ケア病棟2の算定であった。2014年4月から2年間で扱った患者は、
整形外科のポストアキュートが半分を占め、あとは内科、21%は短期滞在手術である。
内科は、肺炎とかそういう方が入るので、サブアキュート機能ということだろう。医業収入の月別推移だが、2013年は7対1と16床の亜急性、
2014年は7対1と地域包括52床。だいたいあまり変わらない。平均単価は6000点を超える月が2014年以降、多くなっている。平均在院日数は縮小し、
収入は増益になった。一応目的を達せられたということである。
私どもの病院はものすごく老朽化していた。私が院長となった2006年までは、病院の隣にある農林省の共用会議所に移転する予定だったが、
そのころ自民党に靖国に代わる戦没者慰霊施設を千鳥が淵一帯に造るというプロジェクトが立ち上がり、それが無理になった。
どこに行けばいいかということになった。たまたま千代田区の区役所の跡地利用が決まっていなかったので、そこに移りたいと言ったところ、
当時、ちょうど警察病院も中野に移転する頃と重なっていて、千代田区医師会の応援も得られた。区長に陳情して、
高齢者サポートセンターの合築を条件に話が決まった。武道館を挟んでお堀の対岸に新しい病院がある。大変素晴らしい場所であり、
面するお堀は牛ヶ渕と呼ばれ、それに接して病院1階に遊歩道もつくった。桜の景色も素晴らしく、得がたい場所である。
回復期リハビリテーション病棟も作った。そこでこれからはこれまでの専門診療に加えて千代田区民のための地域医療をいろいろやっていきたい。
千代田区の区民というのは、夜間人口が5万人くらいしかおらず、高齢者も6000人くらい。私どもの地域包括ケア病棟は、
千代田区高齢者総合サポートセンターと密に連携してやっていこうと考えている。なんちゃって地域包括ケア病棟みたいに始まったが、
千代田区民のための在宅医療等を支援しながら、本来の病棟の機能を作っていきたいと思っている。
○座長
ありがとうございました。私は先生の病院にずっと通院して2度の手術を受けたが、非常に良くして頂いた。
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地域医療と地域包括ケア病床
医療療養病床の役割
福山記念病院 理事長
藤井功
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○座長
福山記念病院の藤井功先生にお願いする。
〇藤井功(福山記念病院理事長)
福山記念病院は小さい病院で、このお話をいただいた時は地域包括ケア病棟を算定していたが、今回、撤退しようということになった。
このあたりの事情も参考になればと思いお話ししたい。
福山市は今年7月1日に市政100周年を迎える。広島県南東部で岡山県との県境、瀬戸内海に面する広島県第二の都市であり、備後地方の中心都市である。
福山城付近は、かつて蝙蝠山と称しており、こうもりは中国で縁起の良い動物とされ、「蝠」の字は「福」に通じることから「福山」と名付けられたとされる。
福山市の市章は、こうもりを山の字にデザインしたものになっている。
広島県は七つの二次保健医療圏になっており、福山市は福山・府中二次保健医療圏に属し、人口が約52万人。福山市はそのうちの42万人である。
当院は平成元年に福山記念病院として開設した。現在は103床だが、当時は60床の小さな病院だった。それから老人保健施設を3施設開設し、これが209床。
それ以外にグループホーム等を立ち上げている。平成7年に1つ目の社会福祉法人を設立し、高齢者の在宅医療に力を入れてきた。
平成21年には2つ目となる社会福祉法人を設立し、特別養護老人ホームを運営している。主に慢性期をやっていることになる。病院は福山市の中心にあり、
その周りにいろんな施設を展開した形になる。
当院は3・4・5階が病棟になっており、1階が外来、2階と6階はデイケアやリハビリなどを行っている。
5階に医療療養病床(在宅復帰加算あり)がトータルで33床あり、そのうち18床を地域包括ケア病床としている。
4階が回復期リハビリ病床、3階が医療療養病床である。
当院は救急病院あるいは在宅からの入院が主なルートである。どうしても家に帰れない方、長くなりそうな方というのは3階の医療療養病床で診ているが、
だいたい5階医療療養病床(在宅復帰加算あり)に一度入っていただき、そこで回復期リハビリ病床に移るか、あるいは地域包括ケア病床に移るかを決め、
どちらかに移床していただくという方法である。高度急性期病院、急性期病院から受ける場合、とにかく早く受ける、待たさずに受けるということをモットーにしている。
受け入れ病床については、まず5階医療療養病床(在宅復帰加算あり)に67%、地域包括ケア病床に22%、
あとは回復期リハビリ病床に直接入る方もいれば、3階医療療養病床に入る方もいる。
入院前の所在地としては、急性期病院が約60%と一番多く、いかにもポストアキュートという感じである。
そして関連施設から20%、在宅から20%くらいである。
急性期病院は、福山市に脳神経センター大田記念病院という脳血管疾患を非常に熱心にやっている病院があり、
主にこちらからリハビリ対象の方を引き受けるという連携を図っている。疾患名は脳血管疾患が60%、筋骨格系が26%、残りは肺炎等である。
脳血管疾患で障害を受ける方の93%がリハビリ対象である。
筋骨格系の疾患117件のうちリハビリ対象の方が60%弱である。大腿骨骨折が結構多く、当院で手術を行ないリハビリしている。
基本的には5階医療療養病床(在宅復帰加算あり)にいったん入っていただくが、その後は地域包括ケア病床に19%、回復期リハビリ病床に36%の方が転床している。
地域包括ケア病床に入った方の在宅復帰率は71%である。
回復期リハビリ病床では、脳血管障害のリハビリが主であり、平均在院日数93日と結構長いが、FIM
改善度が28.4点である。地域包括ケア病床に移った方の平均在院日数は42日で、脳血管障害リハビリではFIM67.6点から79.7点と12.1点改善している。
脳血管疾患の多くは回復期リハビリ病床でリハビリを行ない、一部を地域包括ケア病床でリハビリを行なうという状態である。
運動器疾患の場合は、5階医療療養病床(在宅復帰加算あり)から回復期病床に転床する方3人に対し、地域包括ケア病床に転床する方が65人である。
地域包括ケア病床は運動器疾患を主に診ている。回復期リハビリ病床では脳血管疾患を診るというような、おおよその住み分けをしていた。
地域包括ケア病床でリハビリの単位数を見たが、平均は脳血管リハが4.9単位を提供している。運動器リハも4.5単位くらいのリハビリを提供していた。
5階医療療養病床(在宅復帰加算あり)で入院を受けて、回復期リハビリ病床が空いたらすぐ転床しており、回復期リハビリ病床の稼働率はほぼ100%である。
そして医療療養病床の稼働率は85%、地域包括ケア病床の稼働率は90%弱である。平均すると85.7%であった。
回復期リハビリ病床の診療報酬平均単価は約3000点となっている。5階医療療養病床(在宅復帰加算あり)もそれに近い。
この病床では大腿骨頚部骨折など整形外科な手術もするので、トータルすれば結構高い点数になる。地域包括ケア病床、5階医療療養病床(在宅復帰加算あり)は、
ほぼ同じくらいの点数である。
医療療養病棟で在宅復帰機能加算を算定する利点としては、急性期病院からの紹介を、いかなる病状であっても受け入れが可能であり、
看護必要度などを考えなくても良く、結果的に病院全体の稼働率を高く維持できることである。また入院初期に患者の状態を把握できるため、
その後適切な病床で治療ができる。医療療養病棟では、手術点数を請求可能ということで、
5階病棟の医療療養病床(在宅復帰加算あり)と地域包括ケア病床のミックスは非常にやりやすいと思っていた。
ところが今回の改定で、医療療養病棟の計算式が変更になった。改定後、入院期間1カ月以内は、
自病院の他病棟から転院した患者のみ計算式に含まないとなったので、ポストアキュートとして使用するケースでは在宅復帰率が非常に悪くなってくる。
この3月まで在宅復帰率は、医療療養病床73%、地域包括ケア病床は84%を維持してきたが、医療療養病床のこの73%というのを維持するのが非常に難しくなった。
それからもう一つ、改定で影響を受けたのは、回復期リハビリ病棟のFIM改善率の導入である。
回復期リハビリ病棟でFIM改善ということは、医療療養病床に入っている期間が計算式に入らなくなるので、これはかなり問題であった。
4月5月の2か月間、医療療養病床に入って、回復期リハビリ病床に移るまでにどれくらいFIMが改善するのか、重傷と軽傷全部含めて調べてみた。
そうするとまずは医療療養病床には1週間くらいしかいないのだが、その間に7.8点くらい良くなる。地域包括ケア病床に移った方も7.6点くらいのFIM改善であった。
すなわち約1週間の医療療養病床でのリハビリの後、回復期病床に移った場合は回復期病床での改善率が悪くなってしまう。
福山市というところは、脳血管疾患が今後も増加するという推計が出ている。我々は疾病予想図をもとに今後、脳血管疾患が増加するため、
脳疾患リハの充実が求められており、当院の現状からすれば、回復期リハビリ病棟の増床が必要であると判断した。
地域包括ケア病床は、在宅医療を維持するためには、使い勝手のいい病棟であった。しかしどちらかというと、
7対1病床等を減らすための病床としての意味合いが強いと思う。当院では今まで5階病棟では医療療養病床1(在宅復帰加算あり)、地域包括ケア病床を算定しており、
4階病棟で回復期2を算定していた。これをどうにか変えるということで、今回は差し当たって、今年の6月1日より5階病棟を回復期リハ2に変え、
地域包括ケアはいったん撤退した。
この状態が落ち着いた段階で、4階病棟、5階病棟の回復期リハビリ病棟を維持し、3階病棟に医療療養病棟と地域包括ケア病床を併設しようと思っている。
これは1年か1年半くらいかかると思うが、そのような方向を考えている。
ちなみに今回、診療報酬の点数は、3月を100%として考えると、4月5月の移行にあたり稼働率は少し下がった為、病院トータルの診療報酬が89%に落ちた。
6月はまた92%と上がってきているため、これから改善するのではないかと思っている。
ただ、我々は地域包括ケアシステムを最重要課題と位置づけ、地域包括ケア病棟を早期に再開する必要があると考えている。
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最大で最強の地域包括ケア病棟
地域包括ケア病棟協会会長
仲井培雄
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〇仲井培雄(地域包括ケア病棟協会会長)
それでは最後に、「最大で最強の地域包括ケア病棟」というテーマで話をさせていただきたい。
まず振り返りたいが、現代は人口減少、少子化、超高齢社会、認知症の高齢者が増え、地域間格差の時代になっている。
そして治し、支える生活支援型医療への転換が進み、次世代のために国民皆保険を維持しつつ、国の財政負担を軽減する。
地域医療構想と地域包括ケアシステムの構築が叫ばれている。
しかし医療介護の担い手不足は非常に深刻である。東京一極集中の是正と地方消滅の回避、まち・ひと・しごと創生ですべてがうまくいくのか、
という問題がわれわれに突きつけられている。従来型医療から生活支援型医療の転棟であるが、
ICFを使って心身機能・行動、活動、参加の因子で健康状態を規定すると、生活機能低下と障害の原因はいろいろあるが、
治療を行うプロセスで必要となる生活支援が少ないのを従来型医療、多いのを生活支援型医療と定義している。とは言え、
生活支援型医療を必要とする方は75歳以上の高齢者が圧倒的に多い。
厚生労働省は、地域包括ケア病棟には、三つの役割があるとうたっている。急性期から、緊急時の受け入れ経路、それから在宅生活復帰支援。
それに協会としてその他の受け入れ経路というのを提唱している。それから受け入れ機能は、ポストアキュート、サブアキュート、周辺機能と分けている。
さらに在宅生活復帰支援は院内・地域内多職種協働の2段階になっている。
患者像についてだが、入院契機となった疾患が発症する前から、日常的な生活支援を要する患者がどんどん増えている。逆に不要な患者は減っている。
これが地域包括ケア病棟ができた一番大きな要因ではないかと思う。そしてこの患者像は、DPCやデータ提出などいろんなデータを提出しているものの、
実情はわかっていないのである。発症前の日常的な生活支援を報告する様式がないからだ。
患者の分類法だが、今言った分類方法を集計しようと思うと、発症前のADLアセスメントツールが必要になる。ステップ1で今の患者像を見てみて、
ステップ2でレセプト上の入院区分、緊急入院か転院入院か、そして入院経路で分けて、入棟に至る経路として、緊急時の受け入れ、急性期の受け入れ、
そしてその他の受け入れの3つの経路に分ける。
そうすると、ステップ1、2、3でポストアキュート、サブアキュート、周辺機能が集計される。
急性期からの受け入れ経路は全てポストアキュートになるが、大きな病気や手術をした患者が急性期を脱して、地域包括ケア病棟に行くといった場合は、
いろんな疾患が混ざっている。
緊急時の受け入れ経路だが、肺炎、骨折、腸炎などの軽傷急性期疾患、サブアキュートは療養など元々の生活支援が必要な人たちを受入れる。
周辺機能はそうではない人たち。そしてその他の受け入れ経路の周辺機能は、緩和ケアなど。そのうち減薬調整入院が増えるのではないかと予想している。
ポストアキュート、サブアキュート、周辺機能ということになる。
生活復帰支援は院内と地域内のものがあり、院内はリハビリや摂食機能療法、口腔ケア、栄養指導、服薬指導、退院支援調整、
これらを多職種協働で提供する。退院後の在宅生活を見据えた自由度の高い生活回復リハ、POCリハは認知症などの患者に対しても効果が期待されている。
地域内の多職種協働は地域マネジメントになる。ソーシャルワーカー、ケアマネジャーが地域内における在宅サービスの段取りをし、
60日での退院を目標に進める。フォーマルだけではなく、インフォーマルなサービスが関わってくるため、これらをまとめることが必要になってくる。
HUBとしての郡市医師会、地域の拠点病院、自治体、いろいろあるが、これらは地域包括ケアシステムの構築そのものにつながっていくし、
生活支援のためのまちづくりにもつながる。こういったものに地域包括ケア病棟を持つ病院が参画するということは、非常に大きなポイントだと思う。
それと院内の多職種協働と地域内の多職種協働では全然マネジメントのレベルが違う。
院内にいるのは専門職ということもありほとんど価値観を共有できているが、地域内は事業所もばらばら、いろんな職種の人がいて、
その人たちとどう付き合うか等、大変なことがたくさん待ち受けている。
脳卒中のガイドラインや認知症のガイドラインなどを俯瞰した結果、リハビリの視点ではサルコペニア、認知症、
多剤投薬がリハビリ阻害因子になっている。それからリハビリ・栄養、認知症・多剤投薬に対して包括的に対応することが非常に重要である。
患者、家族もチーム医療の一員である。これらに配慮して生活支援型医療に対応することがとても大事だと分かった。
2015年11月にみなさんの協力を得てアンケート調査をした。その当時は会員の中で地域包括ケア病棟が220施設あったが、
うち75施設から回答をいただいた。その結果、疾患別、がん患者リハと関わりのないリハビリを提供しているとの回答が6割近かった。
しかも、個別のリハや集団リハ、指導などもされているということで、これは非常にうれしいことである。協会ホームページに調査結果が出ているので、
興味があったら見てほしい。
NSTは包括算定だが、歯科口腔外科の先生が行っているケースがあった。それからリハビリ栄養の取り組みは、
残念ながら6割くらいがリハビリ栄養という言葉を知らないということだった。NSTをやっていると、8割くらいは服薬関係にかかわっているということだった。
認知症については、専門外来がない、専門医がいない、認定看護師がいない、サポートチームがない、デイサービスがないというのが過半数だった。
アンケートに答えた病院はかなり先進的なところだと思うが、その中でもやはりまだまだ新オレンジプランには準拠してない。
今回、認知症ケア加算が出来高でついたので、みなさん一気にアクセルを踏んでもらいたい。
そしてポリファーマシーの対策をやっている病院は4割もない。薬剤師が非常に中心的にやっている。新たな薬剤師の活動のステージができた。
院内で、地域内で、いかに薬剤師が頑張るか。そして自由記載で一番目立った苦労している点は、地域レベルの解決が必要だということであった。
それから、在宅への流れを作るということで、ペイシェントフローマネジメント(PFM)というのをみなさんご存じだろうか。
PFMは、従来型医療の患者に院内多職種協働で入退院調整を入院前から行うということだが、これからは生活支援型医療、パーソンフローマネジメント(PerFM)である。
患者を生活者の視点で捉え、病院と地域を一体と考え、医療・介護を提供するということである。生活者の視点を交えて、
「ペイシェント」から「パーソン」フローマネジメントへ。入院と外来、在宅と施設は巴であって、終わりと始まり、始まりと終わり、どんどんぐるぐる回る。
こうしないと生活支援型医療は支えられない。これをいかにシームレスにしていくか。その中で今問題になっているのは、
IADLを評価できる院内、地域内共通のアセスメントツールである。今はそうしたものはあまりないと言われている。
共通のアセスメントツールそのものがあまり使われていない。これからは必須になってくると思われる。
従来型および生活支援型医療に必要な入院医療は、いろいろあると思うが、病床機能報告制度の四つの病床機能を利用して考えたい。
私が考える高度急性期、急性期機能では、集中治療センターから一般病棟7対1が、高度急性期、急性機能として患者を診る。
ここには、従来型医療、生活支援型医療、両方ある。ALSで認知症のない50代の方が心筋梗塞になったら、やっぱり集中治療センターに連れて行くであろう。
地域包括ケア病棟は、急性期機能の一部と回復期機能を持っている。回復期、慢性期は生活支援型医療である。
回復期リハ病棟や医療、介護療養病床などになる。
先進専門領域は、集約した上でカバーすればいいと思う。それから全人的医療はアクセスしやすいよう、日常生活圏域をカバーすればいいと思う。
地域包括ケア病棟の入出状況について見ていると、アンケート調査では、ポストアキュートがだいたい7割、サブアキュートが1割、
そして周辺機能が2割といった形である。緊急時の受け入れ経路だけを見ると18%となっており、
2割弱は緊急入院の受け入れもしっかりやっているという結果であった。
また、10対1以上の一般病棟がない病院と大都市の病院では、民間病院の割合と回復期リハ病棟の保有率が若干高めであった。10対1以上の病棟がない、
200床未満、地方・過疎地の病院ではサブアキュート機能の割合が高めだった。特筆すべきは10対1以上の病棟がないと、サブアキュートが26.4%、
ポストアキュートは49.1%と他と違う機能を示している点だろう。さらに見てみると、
10対1以上の病棟がない病院ではポストアキュートの割合は院外からの入院が多く、
院内は少なかった。その他は、いずれも院内からのケースが7割以上であった。もう一つ、10対1以上の病棟がない、
200床未満、地方・過疎地の病院では、緊急時の受け入れ経路の割合が高めだった。
まとめると、同じ急性期機能でも7対1、10対1、地域包括ケア病棟ではこんなに違いがあるということになる。
概念的ではあるが、7対1、10対1は地域医療構想区域以上の中等度、高度の急性期疾患、しかも日常的な生活支援が不要な患者が多いだろうと予想している。
もう一つ、地域包括ケア病棟のほうは地域包括ケアシステムに対応し、軽・中等度の急性期疾患、
加えて日常的な生活支援が必要な患者が多いだろうと思われる。
ただ、これは現在データはまだない。回復期機能については、10対1以上の一般病棟のありなしで違ってくる。
10対1がある場合は自院からが多い。ない場合は他院からが65%。つまり10対1がないと地域医療構想地域単位の連携をしているということがわかる。
今後、試される地域の力、病院の力ということで、診療報酬改定、地域医療構想策定などが進んでいく。
地域でも行える病院機能と得意な病院機能のベストミックスを探ることが重要だと思う。
まず2016年度診療報酬改定に関連した提言を行うにあたり、昨年11月、病床機能報告時の選択肢を整理した。この提言で注目していただきたいのは、
地域包括ケアシステムの要となる医療機関は、地域包括ケア病棟の必要病床数を確保した上で大学などと連携して、地域医療を担うべき医師を受け入れて、
超高齢社会に見合った医学教育の環境整備に貢献すべきだと提言している点である。
では、どんな医者がいるのか、ということだが、地域包括ケア病棟というのは暮らしに一番近い入院機能であり、
4つの機能を生かして地域包括ケアシステムを構築、活性化していかねばならない。
医師、歯科医師はこれまでにない幅広い分野で能力を発揮していかねばならない。
厚労省の武田局長も言われたが、この病院にいる医者は、在宅の観点と入院の観点と両方持たないといけない。
職員もそうである。例えば診療においては医科・歯科ともにリハビリ、栄養管理、認知症対応、薬剤管理・調整、感染対策、医療安全対策、疾病予防、
多岐にわたる分野に精通した総合力がいる。医科においては内科、外科、救急、在宅を基礎にした総合診療、歯科においては口腔機能回復、
摂食嚥下障害サポートを基礎にした幅広い口腔総合診療が求められる。院内、地域内において、
フォーマル、インフォーマルサービスを提供する方々とチームを編成して協働するためには、診療の技術力だけでなく、応用力、調整能力、
社会資本の活用、経営への貢献を見据えた企画力など人間力も求められる。
以上の能力は、医師、歯科医師が個人で総合診療能力として獲得することが理想だが、こんなスーパーマンみたいな医師は、あまりいないだろう。
レベルの差はあれ、みんながそこでチームを組んで、医師のチーム、歯科医師のチーム、あるいは医師・歯科医師のチームといった、
チームを作り上げていくことが現実的だろう。加えて常勤・非常勤は問わないという、現実的な提案をしている。
医師・歯科医師像についてはホームページにもアップするのでご覧いただきたい。
まとめて言うと、課題や問題に対応する、院内チーム医療を活性化させる、地域包括ケアシステムを構築する、
医療・看護・介護・保険福祉のフォーマル・インフォーマルの社会資本を有効利用する、医療の質を日常的に改善する、自ら研究に携わり、
院内・地域内多職種を育成する、人間力を発揮する、そして経営の質の向上に貢献するというものである。
このような能力を持つ医師・歯科医師チームが育ち、地域包括ケア病棟の医療機関の役割の一つを担っていく必要があると、
今回新たに話をさせていただいた。
診療報酬改定で4つの提言をしたが、結果、包括外で輸血を含む手術と麻酔ができるようになった。手術の出来高化といっても、
先ほどの10対1以上ありなしではずいぶんやり方が違う。10対1以上ありだと、当然そちらで手術をしてしまう。
なので、ポストアキュートで必要な輸血とかCVCが地域包括ケア病棟でやることになると。あるいは10対1以上なしのところは、
地域包括ケア病棟で手術をできるようになる。私の知り合いのところでも、整形外科手術が多い病院というのは、
地域包括ケア病棟を新設しているところもあるので、そういうところが増える可能性がある。ただ難易度の高い手術、大手術はやっぱりしにくい。
例えば心臓のバイパスとか、膵頭十二指腸切除とか、そういうのは無理だろうと考えている。地域包括ケア病棟の機能評価係数をやってほしいと言っているが、
次の改定に向けてどうなるか、いろいろ考えていきたい。
多剤併用療法の減薬は包括算定となったが、ポリファーマシーはやっぱり毒だと思う。医師や歯科医師、
薬剤師がしっかり目を見開いて取り組まなければならない喫緊の課題だと思う。こういった中、
薬剤調整入院のニーズが地域包括ケア病棟で増えていく可能性が予想される。こういった部分もどんどんやらなければいけない。
これは地域包括ケア病棟の機能であると理解している。
施設基準はいろいろあるが、新たな制限として500床以上、またはICUの高度急性期病床を持つ病院は1病棟のみしか届け出られないことになった。
当協会のスタンスを言えば、診療報酬は全国一律である一方、地域のことは地域医療構想会議や協議の中で取り組むというのが王道であり、
ご当地ごとに状況も資源も全部違う。われわれはそこを強調しておきたい。
在宅医療を地域包括ケアシステム単位でやるということ、ポストアキュートは地域医療構想単位でやるということになると、
地域包括ケア病棟を持てば整合性をとることができる。地域医療構想は大変だが、高度急性期は無理、慢性期は減らされる、
じゃあどうするかとなった時に、もたもたしていると座る椅子がなくなるかもしれない。地域包括ケア病棟を取るなら今だと思う。
地域包括ケア病棟は、ご当地ごとの要因に順応しやすく、懐が深い。柔軟性を活かして、
地域包括ケアシステムと地域医療構想を絡めた運営が可能である。
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ディスカッション
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○座長
今日はとても勉強になった。地域包括ケア病棟で一番難しいのは、地域包括ケア病棟全体をマネジメントする医師を見つけることで、
これはとても大変である。だから自分たちの専門のことだけやっていて、自分たちのやりやすいこととできることしかやってない先生たちを、
地域包括ケア病棟に入れるのはすごく難しい。
一つは医師の問題がすごく大きいと思うし、今日の「試される地域の力、病院の力」で仲井先生が話していらして、いろいろ分類しているが、
1300近くある地域包括ケア病棟について私が感じているのは、全国回っていても同じ地域包括ケア病棟は一つもないということである。
ということは、今日のテーマは「地域の力、病院の力」であるが、まず地域がそもそも全然違う。競合関係も違う。医療と介護の連携関係も違う。
病院の構成も違う。だから10対1以上ある病院、ない病院ということで調査されていたが、10対1以上のありなしだけで判断するのは、かなり無理がある。
というのは7対1、10対1で構成は全然違う。はっきり言うとHCUやICUを持っているか持ってないかはすごく大きい。
HCUやICUを持っていてケア病棟があるのか、あるいは一番上位の病棟が7対1なのかによって、かなり違うということである。だから今日のテーマ、
「試される地域の力、病院の力」というが、力の差によって地域包括ケア病棟はばらばらだということになるのではないか。
今日はせっかくこれだけのメンバーが集っているので、質問を受けたい。
〇会場
地域包括ケア病棟を担うドクターの役割は、ものすごく大事だと思うが、その医師をどう養成していくか、もしビジョンがあればお聞きしたい。
また、地域包括ケア病棟は千差万別でいろんなタイプがあるということだが、そこを統一していけるドクターを養成することは可能なのか。
そのへんも疑問に思っていることなので、どなたか教えていただければありがたい。
〇相澤
人間性はこれから養えるのかなということになると、まずその段階で分別をしたほうがいいのではないか。
なれそうな人となれそうもない人と分別する。では、なれそうな人に関して、どういう教育をするかというと、私は在宅へ行って見てくる。
その生活の現場を見てくる。それをやらない限り、生活はまったくわからない。そうした教育から始めて行くのが、私は重要ではないかと思う。
〇会場
大阪から来た理学療法士である。医師の養成ということだが、今現状では整形疾患であれば整形の医師が、
循環器疾患であれば循環器の医師が患者の主治医となる。
この方はこういうことが難しいから通院ではなく家で見てほしいとか、自己摂取が難しいから回数を減らしてほしいとか、
そういうことをお願いするのだが、そこは譲れないと先生方がおっしゃることがあり、ちょっと難儀したりもする。
主治医とケア病棟の先生方は別に存在するのか、そもそも主治医自身がケア病棟につとめる主治医として養成されていくことになるのか。
〇会場
ケアマネージャーしかり、在宅に関わりすぎていると患者さんやご家族含む個人情報の問題にぶつかることがたくさんあると思う。
例えばお金の問題、虐待の問題、実際、ケアマネもそういう問題をわれわれのところに相談してくるが、なかなかうまく対応できないところがある。
地域包括ケア病棟も、そうした問題を抱え込んで、一緒に道筋を考えていかなければいけないのかなと思うことも多々ある。
実際、うちの場合、回復期リハビリテーション病棟においてそういう問題が多々出てきている。
地域包括ケア病棟の中ではそういう個人情報の取り扱いを、どう対応していったらいいのか、ご助言をいただきたい。
○座長
かなり本質的な質問をいただいた。すごく重要なことは、まずこの研究大会は今後ずっとやっていくので、この場にお医者さんを連れてきてほしい。
出席してほしい。それはとても重要なことである。自分で足を運んで勉強する習慣がないと、21世紀はお医者さんを続けられない。
だからいくら議論しても、この場に医師が出てこないと意味がないということになる。
〇会場
地域包括ケア構想の肝として、地域づくりということがあげられると思う。病院は診療報酬で運営されており、
地域づくりに対するインセンティブがないことも発展していかない理由だと思う。今後、診療報酬についてのところはテーマだと思う。
〇会場
地域包括ケア病棟で専従の理学療法士をしている。先ほどのご質問に、ドクターやマネージメントの話があったが、当院においては、
本来のリハビリの役目や専従としての役割とは違うかもしれないが、僕がケア病棟でマネージメントを行っている。
もちろんドクターが責任を持ってやっていただくのが一番いいと思うが、特にポストアキュートに関わっている病院はリハビリが中心になってくると思う。
当院もけっこう過疎地なので、ドクターの確保、リハビリテーションの確保が難しい状況であり、中心がドクターではなく専従療法士となっている。
〇会場
私は院長をしているが、地域包括ケアということを他の医師に言っても、うーんと言うだけで、同じ理想を抱いてくれる人がいない。
地域包括ケア病棟となると内科の先生の比率が高いかと思うが、どちらかというと大きな病院で疲れた内科医がケア病棟にいるというのは、
会場みんなも笑っているところを見ると、現実なのかなと思う。そういった疲れた内科医というのは、
例えば在宅で開業というパターンに流れるというのもある。まずそっちに流れるという流れが、数年前にあったと思う。
この研究会として、地域包括ケア病棟にドクターを誘導するにためのお考えがあれば聞きたい。もしくはみんなで考えていきたいと思うが、
そういった意見はフロアにあるだろうか。
○座長
かなり核心的な質問だった。フロアの先生に聞きたいということだったので、何かご意見はないだろうか。
〇会場
岡山から来た。私のところも地域包括ケア病棟を作っており、非常によかったと思っている。担当しているのは、
今日も来ているが整形のドクターだが、非常によくやってくれている。僕はこれから、地域のことがわからないドクターは、
今の状況の中で生き残れないと思う。だから総合診療医とか救急など、若い先生方はけっこうそっちのほうに目が向いていると私は理解するが、
このあたりはどうだろうか。
〇会場
奈良県から来た。理学療法士をしている。私も専従の理学療法士として配属されているが、医師によってリハビリを出してくださるケースと、
出してくださらないケースがあり、やはり主治医からリハビリが出なかったケースはこちらからお願いしに行って出していただくということがある。
統計をかけたところ、リハ実施者と非実施者では、やはり実施した人のほうが良い統計も出て、どんな患者さんでも出していただきたいと思っている。
例えば今後、何割以上の人をしなければいけないのか、実施者の基準がもう少し明確になるかどうかというところをお聞きしたい。
○座長
まず藤井先生と中井先生にまとめて、答えられることを答えていただいて、在宅と先ほどの情報の取り扱いについては、
相澤先生と仲井先生にお願いしたいと思う。藤井先生からどうぞ。
〇藤井
私のところは療養病床もやっているので在宅医療は必ず入ってくる。今、病院全体で往診件数は月に200件くらいである。
どの医者も全員、在宅診療をやっている。だから地域包括ケア病棟に特別な医師という考えはなかった。おそらく今後もない。
在宅と病院を一体で考えているため、別に地域包括ケア病棟の特別な医師のマインドというものは、必要ないと思っている。
ごく普通のことだと思ってやっている。
〇中井
私どもは、整形外科はそのまま整形外科の主治医でやっており、内科は内科の一般病棟を診る医師がやっている。
誰を選択してその病棟に入れるかは、一応看護師さんと相談して決めているのが実情である。私どもも在宅医療については、
千代田区から要請されているが、すでに開業の先生方がいらっしゃるので、病院がそのまま入っていくのはどうなのかなということがあり、
後方支援をしようということになった。在宅の先生方に何かあったらいつでも引き受けるということを言っている。
急性期対応、サブアキュートなどなので、一般の内科医の先生に診てもらう。本当に地域に入って、
病院が在宅とかも含めた地域包括ケア病棟をするのには、やっぱりそういう総合診療医のような先生が必要ではないかと思う。
〇相澤
個人情報をどう扱うかについてだが、病院であろうとどこであろうと同じだと思う。ただ、
その情報をチームできちんと共有できるかどうかが一番重要で、1人で抱え込まないことだと思う。
○座長
私が余計なことを言ってはいけないが、仲井先生は地域包括ケア病棟協会の会長なので、
地域包括ケア病棟に必要な医師ということをおっしゃるのだろうが、あちこちのシンポジウムでそういうことを聞く。
例えばリハビリテーション病棟に必要な医師像であるとか、在宅医療を進める医師像とか、チーム医療を進める医師像とか。
結局、そんなものはないと私は思っていて、生き残る医師だけが生き残る。先ほどのような、疲れた内科医だけがやっているというのは誤解で、
あんまり疲れた内科医だと地域包括ケア病棟では働けない。高齢で地域包括ケア病棟をやっている先生は、感じとしては少ないと思う。
けっこう若くてチームリーダーになれるような人たちがやっているような気がするが、
私の個人的意見では地域包括ケア病棟に特に必要な医師像なんていうのは、そんなこと言われるのはとてもかわいそうだと思う。
医師も医師なりに苦労していろんなことを考えている方がいるので、医師をひとくくりにしてどんな医師像がいいかとか、
そんな失礼なことを私は思っていない、ただ駄目なやつは生き残れないというだけである。これははっきりしている。
そういう医師は生き残っちゃいけないのだと思う。
職業人として、プロフェッショナルとして生き残れないようなシステムにしなければいけない、武田さんにも頑張ってもらわなければいけないと思う。
武田さん、地域包括ケア病棟は開始してすでに2年を経ている。今後、制度はどうなっていくのだろうか?
〇武田
どうなるのかと、どうしていくのかということは表裏一体であるし、どうしていくのかというのは、どうしていくべきかということと表裏一体なので、
こういうところで議論が沸騰すればするほど、いい制度ができると思う。これまで、いろいろお話があったが、それは、
地域包括ケア病棟というものについてなかなかイメージが湧きにくいということとイコールではないかと思う。
今日のお話を聞いて大変勉強になった。ケア病棟はいろんなタイプがあって、いろんな扱い方をされている。これはこれですごくいいことだと思う。
機能分化、機能連携ということを厚生労働省はずっと言ってきた。言い始めたのは介護保険がスタートした平成13年。その後、
私は医療担当のセクションに行き、そこで日本の急性期医療をどうしていくのかという議論が足りないと思った。
なので、急性期医療の充実をやらなければいけないし、急性期医療の充実というのは機能分化、機能連携、特に機能分化をすることによって、
選択と集中で機能を高めていくというところが大事だと思っている。それ以外にも一体改革まで十何年、機能分化、機能連携、
それによる急性期医療の充実をやってきたが、やはり医療というのはそれだけでは足りない。
今、地域包括ケア病棟に求められているのは、多機能ということではないかと思う。一つの機能というのは高度急性期、
急性期のポストアキュートだが、その一つのキーコンセプトとしては多機能ということだし、
もう一つのキーコンセプトとしては在宅ということを意識しながらということなので、
いかにも病院医療的なところと在宅医療の中間的なトランジショナルなところの機能、役割を担う。
そのためにはどういう医師が必要で、どういう機能が必要で、どういうスタッフが必要なのか。先ほどの個人情報の話もそうだが、
患者さんの悩みとか虐待とか、いろんな話が在宅にはある。病院は一切そこには関わらずにきたから、知らずに済んできた。
ところがトランジショナルなことを考えると、そういう情報に触れざるを得なくなるが、何も病院の先生が全部それを知っている必要はなくて、
在宅を頑張っているようなチームを病院の中に作って、専門家を置いて、その人に任せて、
医療側はそれを大きな目で見守るという懐の深さが必要になってくる。
そのような、病院医療と在宅医療の中間的なところ。言うのは簡単だが、そういうのが大事になってくると思う。
どういう医師を養成しなければいけないかということに関しては、比較的、楽観的である。基本的にお医者さんには賢い人が多いので、
見ればわかるのである。見なければわからない。それならば行けばいいのである。
だいたい他の病院に医師は出向かない。学会には行くけど、他の病院には行かない。ところがこういう病院があるんだ、
在宅ってこういう現場なんだということを知ってもらわねばならない。在宅の先生と一緒に回るというのは、やっぱり抵抗感があると思うが、
一緒に回ればいいのである。1回か2回行けば、必ずわかる。
これからの日本を考えていく時に、医療のかなりの部分はそうした対応が必要な患者さんばかりになってくる。外来の専門家で、糖尿病の専門医で、
整形の専門医で、と言うが、だいたい85歳以上になると通院できなくなる。そうすると医師が患者のところに出て行かざるを得ない。
在宅に3人も4人もお医者さんが来たら迷惑なので、それはトータルで見ていただく医療が必要になってくる。そしてそういう対応を考えない病院、
ドクターというのは、非常になかなか存続が難しくなると思う。制度的にどうするかは別の問題として、みんなで考えていかなければいけない。
○座長
では仲井会長、最後にどうぞ。
〇仲井:
お話が多かったドクターの問題を言いたい。今回、医師・歯科医師の理想像をまとめてみたが大変だった。
最初に文章を書いたが、あの文章を書かないと文言だけ並べても何のことやらさっぱりわからないと思う。一番大事だと思ったのは、
そういうマインドを持つこと。武田さんが言われたが、在宅への意識を持つのは非常に大事だと思う。医者がそういう方向に目を向けられるかどうか、
そして、患者さんに対するいろんな多職種、メディカルスタッフの提案をちゃんと受け入れる、聞く耳を持っているかどうかである。
そういう文化を病院全体で作り上げたほうがいいと思う。
医者1人をたきつければいいのではなく、病院全体で患者さんのことを、在宅復帰できるように考えよう、
在宅生活できるように考えようという文化を作らなきゃいけない。
それともう一つ、ドクター個人でいうと、やりたい医療をしっかりやってもらって、
だけどやるべき地域のニーズであるサブアキュートやポストアキュートも診てくださいというところではないかと思う。
やりたい医療というのは自分の得意なところだと思う。糖尿病が得意なら糖尿病をいっぱい診ていただければいいし、
手術が得意なら手術をいっぱいすればいいし、内視鏡が得意ならそればかりすればいいが、
それ以外にも地域のニーズに合わせたことを少しはやってくださいと、私は会長として言っているというよりは、
自分の病院ではそうしているということで申し上げている。そうしたムードを作っていきながら、
病院全体で文化を作っていくことが大事ではないかと思う。
あとは地域の方々とも一緒に文化を作っていくことが大事で、その中でもやっぱり地域の中に自治体とか社会福祉協議会とかいろいろあると思うが、
そういうところと連携していくことも大事である。歯科医と一緒になってやっていくと、やりやすいことも多いと思う。
やりたい医療とやるべき医療、医療だけじゃなくて介護なども全部含まれる。そのベストミックスを医者個人で考えること、
病院単体で考えること、地域全体で考えることがとても大事だと思った。
あと、個人情報の問題に関してはいろいろあって、例えば石川県ではIDリンクというので32の救急病院が全部つながっている。
その中でそのIDリンクをどこの階層の職員まで見せるかということがあって、
特に在宅で使う時は医師と看護師しか見られないようにするなど階層等いろいろ抑えてあり、
やはりすべての職種にすべてのものを見せていいのかというのは、非常に問題になっている。
だが、まだそういう話は出始めたばかりという状況であり、それ以上についてはまだ知識がない。
○座長
一言だけ言うと、医師とスタッフとの関係で、圧倒的に話し合いが足りないと思っている。
ただ、今日はとても勉強になった。今回のテーマは「試される地域の力、病院の力」だが、
次の研究大会のテーマは「試されるチームの力、医師の力」というものになるかなと思う。医師に象徴されているように、
やはり地域包括ケアは非常に幅が広いので、カンファレンスとか話し合いをしなければいけない。
在宅医療をやっている人って、なんでも在宅でなければ駄目だという。反対に、病院原理主義者もいる。いや、在宅は無理だ、という。
その人たちの話は何の意味もない。仲井先生もおっしゃっていた通り、地域包括ケア病棟協会のホームページを見てほしい。
毎回、リニューアルされて新しいものが出ている。
ご質問していただいた方、研究大会にご参加いただいた方、シンポジストの方、みなさんありがとうございました。
(了)
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