地域包括ケア病棟協会

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シンポジウム

 

    座長:小山秀夫 (兵庫県立大学大学院教授)

    小山秀夫(座長):4名の先生方のプレゼンテーションをお聞きしましたが、仲井先生も池端先生もたぶん、皆様から恨まれない。両方ともほとんど儲かっていない。真面目にやり過ぎているというか。

     完全に綱渡りで踏ん張る病院は、地域包括ケア病棟か在宅復帰機能強化型の療養病床か、在宅復帰型の老健をリストアップしている。これらをとらなければ患者は来ない。ぼんやりとしているわけにはいかない。

     宇都宮課長が老健課長をされていた時に、老健施設の在宅復帰率を30%から50%にあげたが、在宅復帰型の老健には12%しかならなかった。今回は慌てて、3 割ぐらいがとるのではないか。普通の老健施設へ紹介しても在宅復帰率75%が取れないわけだから、在宅復帰型にならないと誰も紹介してくれなくなる。これはすごい大変なことになるはずだから、そこをよく考えてもらわなければならない。

     取るか取らないかを点数を見て考えるなどと言うのは、紹介されなくなるという恐怖感がないのだろうか。今回の地域包括ケア病棟はとてもよい仕組みだが、よほど真面目にマネジメントしないと転んで怪我をすることになる。

    ですから、院長直属の運営部署を作り、毎月会議を行い、有能な病棟ナースと、在宅のナースと、命がけで働くMSWが必要。MSWで優秀なのがいない、訪問看護をやらせたら命がけでやるみたいなナースがいないというところは難しい。

    7:1 のところが地域包括ケア病棟の取得を考える場合、今、運営している7:1 の状況によって違ってくる。7:1 で入院単価が5 万5 千円、病床利用率が85%、在院日数が10 日間ぐらいなら7:1のままでよい。しかし、今の条件より低いところは考えた方がよい。7:1 を取っていても、4 万2 千円の入院単価では療養病床と同じ。7:1 の入院基本料は1591 点だから、入院して寝ているだけでも2 万円以上になる。つまり4 万円台というのは、あまり大したことをやっていない。

     スーパー7:1 の例をあげれば、平均在院日数10日間で、入院単価7 万円以上で、病床利用率94%という病院もある。仲井先生のお話はよいのだが、仲井先生の病院は病床利用率80%をなんとかしなければならない。診療報酬は、病床稼働率が9 割を超えないと収益がでない仕組みになっている。

     そうであるのに日本中の一般病床の平均稼働率は約80%、しかも毎年下がっている。公立病院の7:1を取っている中で、稼働率が一番低い病床は62.3%。年間に9 億の赤字を出しても平気でいることに驚いてしまう。

    武久:宇都宮課長に、他の3人が発表したことに対するご意見を伺ってほしい。

    小山:3人の発表はあまりにもかわいそう過ぎましたね。宇都宮課長、いかがですか。

    宇都宮:実際、今回の改定では、いろいろな所で変更、見直しをした。急性期、慢性期、いろいろあると思うが、それぞれの地域でそれぞれの先生方が今後に向けていろいろ考えておられるという、それは非常に心強く感じた。

     多分、我々が考えている以上に地域の中での役割の違いだとか、どういうことを目指すとか、ぜひ各地域での成功事例などをご報告いただければありがたい。

    小山:仲井先生、宇都宮課長に聞いておきたいことはありますか。

    仲井:7:1からデチューンした場合には、いろんな所に人員を回さなければならなくなるが、自院とか系列で回すのはもちろんだが、可能であれば地域内で要望があったときに人を出せるようになればよいと思う。そうするとお互いwin-win になるかなと思うが、地域医療ビジョンの中で考えることは可能だろうか。

    宇都宮:地域に出すという意味はどういうことか。

    仲井:例えば地域の中の他の病院に出すということ。

    宇都宮:それは当然あると思う。ただ私は、地域医療ビジョンの担当ではないので、「地域医療ビジョンの中で」と言われると困るが。

    これからのあり方として一体改革の中でも、病院完結型から地域完結型へというお話もあるので、それぞれの地域で医療機関の役割分担を自分たちで考えていきながら、その中で職員をどうするかということも、十分有り得ると思う。

     関連するのかどうかわからないが、私が知っているある地域の病院2つが、川を挟んで同じような役割を担っていたというか競争していた。このままでは共倒れになりそうだということで両者の病院が話し合って、片方の病院が自院の透析機能を全部、川の反対側の病院に渡した。透析の収入が年間何千万、それを全部向こうに渡し、減った分は急性期を受け持つことによって賄うと。役割分担をして両者、共存共栄みたいになっているケースも聞いている。そういうことが今後はあちらこちらで出てくる可能性があるのではないか。

    小山:池端先生からのご質問はありますか。

    池端:マニアックな話ですが、在宅復帰に関しては、私自身が療養病床を持ちながら在宅をずっと行ってきた。10 年前は何をやっているんだって非常に門外漢の感じだったのが、そういうことが今生きてきたなと思う。

    ただ、医療療養の在宅復帰機能強化型は、1 カ月以上入院していないと算定対象にならないため、現場の状況とずれがある。そのあたりを今後見直してもらえないかと感じている。

     療養病床でも、大半は1 カ月以内に帰している、がんばっているところが多い。肺炎でも、2 週間の入院で帰している事が多い。

    武久:医療療養の在宅復帰型を1ヶ月以内も認めると、地域包括ケア病棟から在宅強化型の療養に移し、2 日か3日の入院で在宅復帰をさせるというところがでてくるかもしれない。だから1 カ月以上にしているのだと思う。地域包括ケア病棟が自分のところの在宅復帰型の医療療養にちょっと入院させて、そこから在宅に帰せばクリアできるというのでは本来の目的と異なってくる。そういう意味もあって1ヶ月以上ということになったのではないか。

    池端:もう一点は地域包括ケア病棟を病棟全体で取ろうと思うとどうしてもひっかかる点が、60 日以上の入院になると区分1、ADL1の算定となってしまいペナルティ的な点数設定になってしまうことである。同じ患者が医療療養に入院すれば、医療区分2、3 がクリアできる。そこがなかなか厳しい。小病院ながら、どうしても地域包括ケア病床と療養病床の両方を持たなくてはいけなくなるかなというところを今後どう考えていくのか悩んでいる。

    武久:質問ではないが、主治医機能の評価ということで、地域包括診療料ができた。これは主治医機能というのは9 時5 時の主治医じゃないよと。要するに主治医というからには24 時間365 日患者が調子悪くなったら診るというマインドが底辺にあるのだろうと思う。地域包括ケア病棟もそういう意味では、救急を診るということを医療側の責務として打ち出されたと思い、うちの病院は療養病床で、こてこての慢性期病院なのだが、救急指定を取った。徳島県で申請したら、普通は指定まで3 カ月か4 カ月かかるのを2 週間で認可してくれた。県の担当者が、救急の7割を占めている慢性期の高齢者の軽度・中度の人を診てくれれば大変助かると言ってくれた。

     もう1ヶ所、兵庫県の淡路島の病院の救急申請を出したら、兵庫県では当初、「入り口が2 カ所ないし、一般病床もないような病院が救急病院になれるわけがない」とか言われた。そこで、当院が対象とするのは高齢者の軽度・中度の人を専門に診るような救急であって、救急というのは、二つの種類があるだろうと紙に書いて出したら、即座にOKになった。

     定光先生が仰ったように、これから軽度・中度の救急の人がどんどん増え、これらの患者が定光先生のところのようなER に行ってしまうと、ER の機能が低下する。そこを地域包括ケア病棟でなんとか受けるように、というメッセージが今改定に込められていると思う。

    宇都宮課長はそのへんのマインドはどんなふうにお考えだろうか。

    宇都宮:しかし医療の考え方として、もともと治療があり、それに対して人口構造の変化などを考えると、キュアからケアへ変わってきている。支える医療として、医療機関の中で治療する部分にプラスして、そういう機能を持って支えることができる部分もあるのではないかと思う。

     しかし患者さんは常に安定しているとは限らない。あるレベルで急変したときに、それじゃあうちは診られませんということではないと思う。特に病院の場合は。

     そういう中で、医療機関としてのあり方という話と、もう一つご指摘があったように、救急患者が皆、大病院に行ってしまうとどうなるか。大病院の救急でなくても受け止められるところは受け止めていただくようにお願いしたい。そういうことによって大病院の救急の負担軽減にもなり、ムダが省かれる面も出てくる。普段は支える医療をするが、いざという時には皆がある程度の救急も診られる体制にする。特に先ほど申し上げたように、地域包括ケア病棟には多機能の役割を担ってもらいたい。

    定光:今、主治医機能というのを救急領域で担うのは不可能。実際、救命センターとか高度急性期の医師が、傷病者、患者と1:1 の主治医機能はできない。いつでも呼ばれて24 時間365 日、医師は働かなくてはいけない。それでは厳しいから、チームを組むということになる。

     しかし、救急を担う地域包括ケア病棟が同じことをできるのかというと、そうではなく、救急患者をそれぞれがどう診ていくか。地域の中で役割分担をしてお互いに連携をしていくしかない。救命センターにはいろんな専門医もいる。人の交流も含めて連携を取らないと一医療機関で救急を受けようというのは難しい。そのエリアの中心に地域包括ケアがあり人も交流するという形をとるのがよいのではないか。

    小山:救急の話もそうだが、申請書に書く実績等については、書類を全部整えて、ともかく申請してみること。

     リハの実績については2 単位以上と書かれたら、仲井先生が言っているように、4 単位ぐらいまでやること。2 単位しかやらないというような、さもしい根性は捨てること。リハの査定の状況は都道府県によっても違うようだが、日本慢性期医療協会で都道府県支部ができつつあるようなので、各支部と都道府県で調整していくこともこれから必要になってくるだろう。

    仲井:宇都宮課長にお聞きしたい。具体的に在宅から受ける急変の患者さんの率は何%ぐらいを想定しているのか。

     つまり、病棟の中にサブアキュートとポストアキュートと在宅復帰支援をする方が入るとしたら、その人たちの割合はどのくらいか。仮に、サブアキュートが非常に多くなれば大変だと思う。その割合は大体どのくらいを考えておられるのか教えてほしい。

    宇都宮:サブアキュートが多いと大変というのは場合によりけりだと思うが、それぞれの地域の状況や医療機関の状況によっても違うと思う。

    小山:回復期リハビリテーションの1 は、患者の紹介があるわけだから、回復期リハビリ1と7:1 を持っているところの地域包括ケア病棟については、考えた方がいい。点数的には回復期リハの1を持っている方が、地域包括ケア病棟をとるよりはちゃんと帰せれば得になる。

     地域包括ケア病棟のリハは、必要なだけリハを行うように、と基準に書いてほしかった。2 単位以上と書くと2 単位しか提供しない病院がある。経済的には4単位行っても問題ないのだからきちんとリハをしてほしい。地域包括ケア病棟は、金勘定しか頭にないような病院にはしてほしくない。「ガンガンいくんだ」みたいな人たちに取り組んでほしい。ビクビクすることはない

    から。1ヶ月以上が算定基準だから、30 日前で自宅に帰ったのはどうするのかとか、そんな話ばかりされても何も進まない。

    宇都宮:地域包括ケア病棟とは関係ないが、「患者の自己負担は、入院した方が安くて在宅に帰した方が高い。その問題はどうするのか」というご質問をいただいている。

    これは医療だけではなく介護でもそういう問題がある。難しいのは入院や入所の時に、病気の治療の分と、生活に係る分のお金をどう分けていくのか。慢性期で長期的に入院している人には、生活費的なものの負担を増やすのがよいという議論も行われている。

     しかし、それは診療報酬に関する中医協の審議というよりは、社会保障審議会の医療保険部会の話になるので、現段階で「国がどういう方向に行くか」はお答えできる状況にはない。そういうご意見があり、議論の可能性があるということだけは言える。

    小山:社会保障審議会の医療部会のホームページを見ると、そこに医療保険の方向性が書かれていて、その中に、医療保険の入院の食事代を全額患者負担にするという検討が載っている。介護保険ではとっくに全額自己負担になっているが、診療報酬では、食事が保険で給付されているわけだから、そのへんの話も今後の課題となるだろう。

     本日はこれで終わりにしたい。皆様ありがとうございました。

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