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【パネルディスカッション】
【パネルディスカッション】
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「地域包括ケア病棟入院料1の現状と課題」
【座長】
井川誠一郎(平成医療福祉グループ診療本部長)
【パネリスト】
大谷まり(島の病院おおたに院長)
黒澤一也(くろさわ病院理事長・院長)
野瀬範久(野瀬病院病院長)
増永高晴(国家公務員共済組合連合会北陸病院院長)
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【講演 1 】
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地域に寄り添う医療を求めて
~当院の地域包括ケア病棟の在り方~
大谷まり(島の病院おおたに院長)
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〇大谷まり氏(島の病院おおたに院長)
広島の江田島からやってまいりました。本日は、島を代表してお話をさせていただこうと思っております。よろしくお願いいたします。
当院は瀬戸内海に浮かんでおります。広島から一番近い島で、広島の県の湾の中では一番大きい島と言われています。江田島という場所です。
人口は2万3500人。高齢化率は、ほぼ45%。44.7%という状態です。江田島で有名なのはカキで、最近、カキの生産は日本一になりました。旧海軍兵学校がある島ということで、江田島はちょっと知られてる方もいらっしゃるかもしれません。
当院は呉二次医療圏に属していますが、医療圏としては呉二次医療圏のほかに広島二次医療圏である県立広島病院や広島赤十字病院とも深い連携を有しています。
当院の病棟編成は、地域包括ケア病棟40床、医療療養型病棟30床、回復期リハビリ病棟26床の一般病棟をもたない慢性期病院です。
また、在宅療養支援病院として24時間365日の訪問診療を行っており、同法人内に訪問看護も訪問リハビリも備えております。ただし、介護分野については持っておりません。
地域包括ケア病棟においては平成26年(2014年)に20床から立ち上げ、平成29年(2017年)3月に新規移転に伴い40床に増床。2018年、ようやく安定的に軌道に乗った状態です。外来部門においては、島内で、輪番制の救急当番もになっており、また様々な科に対応できるよう、様々な科の非常勤医を確保し定期外来を行っています。また、いろいろなことに対応するため、90%を個室化しております。
外来部門では「プチ総合病院化計画」と称しまして、できる限り島で医療を受けれるような体制を取ろうということで、各種いろいろな科の非常勤の先生に定期的に来ていただいて、このような、さまざまな科の診療を定期的に行っております。
在宅療養支援病院としてもやっておりますので、訪問診療、訪問看護、訪問リハをやっております。訪問診療においては今200件を超える数の患者さんを持っております。
当院の地域包括ケア病棟の機能について、①一次救急や高齢者救急の受け入れ、②在宅支援、③急性期からの受け入れ、④リハビリ、⑤看取り──の5つを考えております。
当院は今2018年の入院総数が600例ありましたうち、地域包括ケア病棟の入院総数は334例。全体の55.6%を占めております。一時救急や高齢者の救急の受け入れですが、ここに示しますように地域包括ケア病棟の場合、居宅や介護系も含みますが、在宅、自宅から59.3%。緊急入院も36.9と多かったです。
在宅支援についてですが、われわれは2つの支援が存在すると思います。一つ目は在宅療養を支える支援。これは先に述べた救急対応や訪問診療数などからその役割は十分になっているものと思えます。二つ目は急性期から転院されてその後、退院支援により在宅や施設への生活期に移行させる在宅支援があると思います。
急性期からの受け入れについてですが、急性期からの受け入れは先ほど示しましたように、呉の病院、呉の二次医療圏からと広島の医療圏から受け入れています。
また、できるだけ簡便に、より早く転院できるようにするため、現在は平均7日以内の紹介から受け入れまでに日にちを短くするように努力をしております。
急性期の受け入れは、43.9%。各病棟の入院元の割合ですが、地域包括ケアのほうは急性期38.2%と非常に多い状態になっております。急性期からの受け入れで回復期や療養も多いのですが、急性期受け入れは地域包括も38.2%と高い数値を示しているかと思います。
リハビリについてです。地域包括ケア病棟を持つことにより、回復期リハビリケアと合わせて二つの受け入れ皿を持つようになりました。また、当院は先月より回復期リハビリ1を算定しておりますので、重症度割合やリハビリの実績指数などを必須要件とし、これを考慮し入院検討を行う必要性が出てきました。
よって特に疾患名や病態で回復期リハビリ病棟対象でも、地域包括ケア病棟での受け入れが可能な場合、有利な場合が出てきました。そこで当院は各種多職種で検討会を開催しております。このような独自のフォーマットを持ち、救急病院に先にファックスしていただき、入院検討会に役立てています。
各種疾患については地域連携室の室長と、地域連携室担当医師とのスクリーニングを行い、回復期対象か、それ以外、地域対象かに分けていきます。
回復期リハビリ対象疾患で被る場合は週2回、回復期リハビリ病棟と地域包括ケア病棟の医師、病棟看護師、MSW、リハビリ担当が一同に会して検討会を行います。
疾患&病態・重症度・FIM・日常生活動作・改善の期待の有無(アウトカム)・改善にかかる予想される日数などをチェックし、回復期リハビリ病棟の実情も考慮し、回復期リハビリ病棟への入院適応かどうかを判定。回復期リハビリ対象外であれば、地域包括ケア病棟へ入院というふうになっております。
特に当院が、また変わったところが、看取りです。島である以上、いろいろなことをやっていかなければなりません。実際のところ、現在、「島で粘る」を合言葉に、病院の看取りが年間100例、在宅の看取りは年間10例となっています。これは島の中では非常に多い数字となっております。
また、これは当院の独自の緩和ケアと一般的な緩和ケアの違いを書いております。通常、緩和ケア病棟とされるところでは末期がんや、このような病名を診ることが多いのですが、当院は、がん、非がん、全ての末期の状態、命の終末期に関わる方をこれで診ていなかればなりません。
ほとんどの患者さんは、医療療養型で対応することが多いのですが、いろいろなことを加味し、2カ月が想定される場合は、地域包括ケアで受けることも多いのが事実です。また在宅療養支援病院として、自院で継続して、看取りまでいけるというのは非常に強みかなと思っております。
当院は、このような部屋を配置し、比較的、個室で最後の療養をしていただけるように環境整備をしております。また、数年前に建て替え、トイレに関しましては非常にこだわっておりまして、移動式、水洗式ポータブルトイレというのを配置し、においのない非常に過ごしやすい環境設定をさせていただいております。また部屋を広めに取ることで、ご家族がいつでも寄り添える環境となっております。
当院の看取りの形は通常の看取りとは違うかもしれません。江田島というのは、このような形で実は非常に大きく、全周周ると107キロほどあります。この中で端から端まで行くのには1時間半以上かかりますので、非常に在宅も難しい状態にあります。
また医師も当院に実際に島に実際に住んでいる医師が非常に少ないため、日ごろは江田島にいる。しかし夜は広島市内に住んでる方も多いので、医師も多いので、在宅は非常に厳しい状態です。また高齢化率は45%に近い状態。家では老老世帯、独居世帯も非常に多いが実です。
当院が提唱するハイブリッド型の看取りです。年間看取りは病院で100例、在宅がだいたい10例なんですが、パターンをこのように設けておりまして、最後まで入院継続でみる場合もあります。
ただ、外出や外泊を希望される場合、入院中でも2回は訪問看護利用ができますので、在宅から外泊をしていただいて、数日、家族と過ごし、そしてまた外来に、病棟に戻る。また二つ目は、ぎりぎりまで病院。そして最期は在宅にという形をもっていく場合。そしてパターン3の場合は、療養は在宅で、最期は病院で看取ろう。このような形で家族、本人の希望を聞き、このような在宅の方向で、看取っております。
また、このたびの改定にもありますが、独自のアドバンス・ケア・プランニングをつくり、実際にこれを入院患者さまたちに説明し話し、そして記入していただくような形を最近は取るようになっております。
ほとんどの看取りを考える疾患は、医療療養型に入院することが多いんですが、さまざまな指標を駆使し、予後予測を行い、明らかに余命2カ月ないと考えた患者さんは地域包括ケアで入院し、看取ることもあります。
先ほど話しましたが、病棟の看取りと在宅看取りの実績です。だいたい平均すると、こんな形です。
そのほか、地域包括病床40床を上手に利用していくため、ボツリヌス療法のための短期入院、または島内では当院しかできないPEG造設やPICC造設、CVポート造設、腎瘻造設、膀胱瘻造設なども当院ではやっており、それを短期入院として取り入れております。
訪問リハビリもかなりの数、出動しておりますので、状態強化のため、いったんADL強化のためにリハビリ入院、また神経難病の方の家族のレスパイト入院なども行っております。
2018年の病棟運営の実績ですが、地域包括ケアにおきましては利用率は93.1%と高い率を保っているんじゃないでしょうか。
そのほか当院が地域包括病棟に対して工夫を行っている点を幾つか述べたいと思います。当院では医師を1人、総合医として配置しており、入院患者さんの全体を管理したり、補足部分のことをしたり、処置や病棟運営、家族へのICなどを行っております。整形の医師や非常勤の医師が主治医になることもあり、それらのサポートもしてもらっています。
ほかの常勤医師も交替で地域包括ケア病棟の回診を行い、診療の補足を行うような複数医師でのサポート体制を整えております。全ての医師がサポートをして地域包括ケア病棟を運営しているような状態です。
ここに示しますように入院料1を取っている中で、われわれが一番ちょっと今後厳しいのではないかと思ってるのが、在宅復帰率7割以上です。今のところ、これはクリアしているのですが、ひと月で見ると非常にこれが厳しいこともあります。実際、島は独居、帰るところがない。また、当院は介護施設を持ちませんので、どうやって2カ月で帰すかというのが非常に問題になっております。
ですので、在宅復帰率の要件に関わる見直しのイメージとして、このように77.7と1度低い数値を示したこともありまして、これを今後どうしていくかというのが私たちの課題になっております。
地域包括病棟の在宅復帰率の要件が7割以上。そうするためには入院当初より退院支援を行わなければいけません。当院でも今、入院と同時に退院支援を行っておりますが、非常に厳しい状態にあります。そして高齢独居や老老介護、住宅環境の整備、諸問題があり、支援困難が非常に、支援が困難な患者さんもたくさんいらっしゃいます。
そこで現在は地域のケアマネ、民生委員、多職種でカンファをし、これ、今後、在宅に帰ったあとのケアをしっかりしていくということで、多くの多職種でカンファをし、最終的に地域でみんなで見ていこうということになっております。今後、地域でみんなで退院支援を行っていく方向に頑張っていきたいと思っております。ご清聴ありがとうございました。
【講演 2 】
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当院における地域包括ケア病棟入院料1の現状と課題
黒澤一也(くろさわ病院理事長・院長)
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〇黒澤一也氏(くろさわ病院理事長・院長)
皆さん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました。長野の佐久というところから来ました黒澤です。よろしくお願いいたします。では、早速、うちの法人の紹介をしたいと思います。うちは長野県の東の端で、本当に東京も今、新幹線で1時間半ぐらいで私も、きょう仕事してから来たような状況なんですけども。
佐久市と、あと上田の真田町というところで診療所を一緒にやってます。かなり介護施設とかも、いろいろやってるんですけども、最近は、まあ、いろいろな意味で今後の人口減少社会に合わせてですね、事業所を少し減らしているような状況です。佐久といえばですね、佐久病院さんが非常に有名でですね。われわれは、そのお膝元で、細々と病院をやっているような状況です。
われわれは2017年に病院をちょっと新築移転しましたけども、ちょっと話を聞くと、さっきのシンポジウムでお話がちょっと出たようですけども、あのうち、市の公民館を併設しておりまして、市に貸し出している。もちろん、われわれ民間ですけども、民間が貸し出している。ちょっと変わったことをやっております。まあ、そういう建物です。
病院は83床で、内科、整形外科、形成外科がメインで、私、整形外科なんですけど、手術をまあまあやっておりまして、だいたい年間で今480、ことしはもしかしたら500ぐらい、いくんじゃないかというぐらい、形成の手術も一部入ってますけども、そのぐらい手術をやって。ただ、患者の割合は、だいたい内科と整形、1対1ぐらいな感じでやっております。
病床機能ですけども、実は移転前は一般、それから地ケア病床。それから医療療養病床、介護療養病床をそれぞれ持ってたんですけども、まあ介護療養床がなくなるということで、移転のときに40床に、医療を40床に全部しましたけども。当時からですね、区分が低い、医療依存度が低い人ばっかりになってですね。
かといって、うちに帰そうと思えば帰せるはずなのに、あんまり帰す努力をしなかったのか。まあ、そういう人が、すごくたまっててですね。移転した新しい病院になって、療養床にしたんですけども何かうまくいかないなと。
そうこうして、やっぱり新しい病院になったらですね、救急と手術患者が増えて、医療依存度が高くなって、それで、まあ、ちょっと帰せない人も少し帰してみようということで、いろいろ努力をした結果、退院患者が増加して、本当に病院から帰れない人というのは、ほとんどいなくなったと。
さらに看護師さんが増えたということで、これは、じゃあ、この療養床を地域包括ケア病棟にしてみたらどうだということで、いろいろ検討した結果、まあ何とかできるんじゃないかということで、2017年に10月です。だから移転して半年でですね、病棟を地域包括ケア病棟に変えました。今はちょっと病床、こことちょっと違うんですが、今は37一般と46地域包括ケア病棟ということで、やってます。
地域包括ケア病棟の在宅復帰率は決して高くはないんですけども、70%は超えてるということで、こんな感じでやってますし、重症度、医療・看護必要度も10%は超えているということで。さらにリハビリの実施単位も、ちょっとぎりぎりのこともあるんですど、だいたい2単位以上はやってるということで、地域包括ケア病棟を運営できてるという状況だったんですけども。
昨年の4月の診療報酬改定で、ここの入院料1というのができまして。たぶん入院料1を取りにいこうと思った先生、多いんじゃないかと思うんですが、うちも、もちろんそうだったんですけども。こんな表、先ほども出てましたけども、この中で、この在宅医療等の提供と、看取りに関する指針に関しては、この下の枠の中で1番の在宅、うち在宅療養支援病院ですので訪問診療してますので。
それと、たまたまですね、うちは移転する前は訪看とか通所リハとか、みんな病院の外にあったんですね。それを、全部一緒くたに、これを見越してと言われると、ちょっとあれなんですけど、たまたまですね、病院の中に入れたということが功を奏してですね、この要件は大丈夫だろうと。
あとは、やっぱりここですね。自宅等からの入棟と自宅等からの緊急入院、緊急患者の受け入れというところが、ちょっと問題だったんです。
というのは、あとでも話出てくるんですけど、一般床と地域包括ケア病棟で、地域包括ケア病棟は、ほとんどポストアキュートだった。ですので、例えば、この平成30年の2月なんていうのは、地域包括ケア病棟に直接入院した患者ってゼロなんですよね。この実績があったおかげで、ちょっとすぐに入院料1が取れなかったんです。緊急入院もそうです。ちょっとはいたんですけども、ほとんど、この前は直接入院がなかったような状況だったんですね。そこが問題で、実際には、まあ4月ではなく5月からということで、入院料の1を算定し始めました。
実際ですね、患者の流れを見てみるとですね、だいたい本当に模式的でですね、外来、一般病棟、それから地域包括ケア病棟があります。ここの実績は、ここに書いてあるように直近の5月のデータなんですけど、だいたい、一般が88.5、地ケアが93なので、だいたい皆さんと同じぐらいかなと思ってるんですけども。
一般病棟が今、入院料4を取ってます。重症度、医療・看護必要度が27%を超えているということで、入院料4を取ってて、そこの重症度を維持しつつ退院もさせつつ、地ケアに回すということで、うちの、だいたい手術患者、救急、リハビリで、軽症、重症、中等度と分けてみると、ほとんどの患者さんが一般床に入院して、そこから帰る、退院する。もしくは地ケアに行く。
直接入院する患者は救急の一部、それからリハビリの一部、軽症患者の一部ということで、あまり太い矢印にはなってないですね。そこから直接帰るということで、在宅復帰は保てている。
先ほどのお話のように、うちの周りには大きい病院さんが特にありますけども、結構、ほかの病院からの転院って、そんなにないんですね。ですので、転院で本当にリハビリが目的とかってことであれば、やはり地ケアに入院することが多いんですけども、基本的には、やっぱり少ないということです。
今回、この発表をする機会をいただいたことで、ちょっと各職種に地ケアをやっていく上で何か問題はないかということで、ちょっと聞いてみるとですね。みんな考えていることは一緒ですね。やっぱり入院期間、要は60日という縛りがあります。それを非常に気にしている。それから先ほどお話しした自宅等からの入棟とか緊急患者の受け入れが少ないというか、ちょっと波があるということが問題。
あと各職種によって大変だと思っているところが違うわけです。入院期間に関しては、やはり入院して、超早期、もう入院した日に退院の話をしています。それも多職種で。
われわれドクターが入院の話をしますけど、そのときは、だいたい入院の期間をお話ししますけど。さらにケアワーカー、それから看護師、リハビリスタッフが、その日のうちに入院して病棟上がると、もうそこで面談をして、この病気とか、このけがだったら、このぐらいで帰れますので、退院先はおうちでいいですかとか、元の施設に戻りますかとか、そういう確認をしてですね。
ちょっと、うちから来たけども、うちに帰せそうにないとか、もう、うちには帰せないというようなニュアンスのことを言う家族がいるので、そこら辺はちょっと要チェックしながらですね、できるだけ早めに退院先を調整していくようなことをやっているので。在宅復帰率は、ぎりぎりでも期間的には何とか60日以内で帰っている症例が多いかなと思います。
それから、直接入棟のことです。ここに書いてあるルールの設定ということで、あとでお話ししますが、やっぱり意識して、われわれドクターもそうですし、いろんな職種で意識していかないといけないかなと思っています。
そのルールづくりというか、ルールと言うと、ちょっと大げさなんですけども、例えば、うちは入院の患者は先ほどお話ししたように内科と整形がメインですので、それぞれ、こんなような疾患のときは、地ケアに入院させようということで、だいたい決めてます。
内科の患者さん、僕はちょっとお任せしてますけども、整形もちょっと微妙な感じですね。ちょっと60日で帰れるかなというのとか、ちょっと、また精密検査が必要だったりとか、そういった場合に、ちょっと、どっちに入院させていいか分からない場合は、最終的には私の判断で、どっちに入院するか決めてます。
もちろん、その入院させるにあたっては、そういう、ちょっと先月から少し直接入院の患者さん少ないですみたいな情報交換とかは、一つは月1回の病院運営会議というところで地ケアの情報、もちろん一般床もそうですけど、情報を共有して、そういうふうな運営をするということと。あと細かい患者さん1人1人のことに関しては、リハビリカンファを週に1回、多職種でやることでポストアキュートだったりとか、直接入院とか、そういったところ、退院調査も含めて、そういった情報交換をしております。
やっぱり、いま言ったように連携していくことで、こういうのがうまく回るのではないかということをあらためて今回の発表で、いろいろな職種に話聞いてみると、やっぱり、そういう連携が大事だなということを思いました。
うちの場合ですと、やはりポストアキュートがまだ多いので、今後は自宅からの入院患者を増やしていくことを少し意識していったほうがいいと感じております。
ということで、まとめですが、いま話した内容、ここに書いてある通りなんですけども、一番最後に書いてありますけども、やっぱり入院料1、今回は入院料1についてということなので、入院料1をやっぱり算定し続けるためには、やっぱり各職種が各要件を理解して問題点を理解して、課題を明確にして、それを意識して多職種で連携することが大事ではないかなと思いました。
入院料1をしっかり取っていくためには、やはり経営。最後に一つ、経営的には非常によくなりました。ということで、これを維持するためには各職種が意識して多職種で連携するということが必要なのではないかと思いました。以上です。ご清聴ありがとうございました。
【講演 3 】
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”地域密着型”包括ケア病棟を目指す当院の現状と課題
野瀬 範久(野瀬病院病院長)
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〇野瀬範久氏(野瀬病院病院長)
皆さん、こんにちは。神戸市の長田区から来ました野瀬です。
当院のある長田区は特殊な地域で、150万人都市“神戸”の中では高齢化率が進んでいます。
当院は昭和6年開業で、病床数は90床です。現在は一般30床と地域包括ケア病棟60床。入院料6を今5に上げようとしています。昨年12月までは一般30床、医療療養30床、地域包括ケア30床でした。
僕は整形外科で、弟の副院長が循環器内科、いとこが泌尿器科、あとは80歳を超える僕の父と叔父の5人で、何とかやっています。
医療部門は野瀬病院と付属のまごころ診療所。介護部門は細々とですが、全くの新参者でデイサービス、デイケア、訪問看護と、訪問介護も運営をしております。まごころ診療所では腎臓内科の医師を迎え、1F外来透析センターをメインに2Fデイケア3~5Fにサ高住を併設しています。
その長田区の高齢化率ですが、33%を超えて神戸市の中でもトップになっています。将来推計人口は見ての通り人口減少の一途です。赤が高齢者人口で、青が生産年齢人口。若い年齢はどんどん減り、高齢者は変わりません。
右側が、医療と介護の需要予測指数ですが、青が医療で赤が介護です、全国平均は薄い色で表しています。医療は、2020年、来年ぐらいから、どんどん減っていく。介護は2025年までは、ある程度は増えて、そのあとは落ちていく。とにかく大都市の人口減少がすごく喫緊の問題となっています。
そういった中で、当法人が何をやっていくべきかということで、ご当地システム、要するに地域包括ケアシステムを構築していくのが大事だと考えて、とにかく高齢者が安心して地域で住めて、なおかつ新しい若い人たちが入ってこれるために、法人内をちょっと整備して、何とか地域のためにやっていこうと動き出しました。
病院内では、地域包括ケア病棟の舵を切ることとしました。その中で取り組むべきところで、去年の10月から入院料の1を取得すること。もう一つは、30床の一般病棟に対して、療養病棟の30床を地域包括ケア病棟に変更して、地域包括ケア病棟を60床に増床するというミッションを出しました。
当院は、先ほどの黒澤先生と同じで、救急や整形外科的な手術件数の実績部分はクリアできており、施設基準や看護配置基準などもクリアできています。
今後取り組むべきものとしては、訪問診療とACPを踏まえた看取りの策定。あとは訪問看護ステーションの併設です。当初は隣接した施設に訪問看護ステーションを起ち上げましたが、それを何とか病院中に入れるために、リハビリの事務室だった場所に訪看ステーションを入れました。
部屋をなくした事はリハビリテーション科にはちょっと申し訳なかったですね。
地域包括ケア病棟を60床に増床した勝算というか、何がポイントとなったかと言うと、当院の半径5キロ圏内には神戸市内の急性期の基幹病院が多数あります。そういった基幹病院から入院患者さんをスピーディーに、選ばずにフレキシブルに受け入れることで、『地域や関連施設にとって、都合のいい病院になれる』そういった役割を果たせるのではないかと考えました。
それによってこれまで以上に地域(在宅)への橋渡しを担う必要性が高まりました。縦長の地形である長田区の中で当院は下の方に位置し、近隣には多くの診療所があります。黄色で示したところが往診をされている診療所です。
先ほど述べた住民の高齢化と併せて、診療所の医師も60歳以上が60%を占めるという、医師の高齢化が現状にあります。そういった高齢な先生たちが抱えている患者さんが、困ったときにすぐに入院を提供できる。すなわち、かゆいところに手が届き、使い勝手のよい病院として利用していただくことが大事だと思います。
もう一つは在宅等の予定入院です。整形外科をやっている関係上、比較的予定手術や、抜釘、あるいは内科での胃瘻造設、短期滞在手術など、入院をコントロールしやすい。それもまた出来高算定を活用できるということで、入院基本料に上乗せができることによって、地域だけじゃなくて、その病院にとっても使い勝手のいい病棟となると思います。
そして、そういった入り口の部分をしっかりと回すこと、回すために重要なことは入退院支援です。出口のほうを、POCリハビリを取り入れたり、徹底的な家屋調査に何度も行ったり。院内、地域内の多職種協働で、入院から在宅までを切れ目なくサポートすることで、在宅生活復帰支援が可能となると考えております。
以上、当院が取り組んできた事と取り組むにあたってのポイントでした。
ここからは実績です。去年12月から、地域包括ケア病棟を30床から60床に増床し、そこから約7カ月が経過しました。その前の7カ月と比較すると、入院患者数は、月に約75人から85人。1ヶ月平均で+10.3人。
退院も同様に74人から80人台。多い月は入退院ともに90人から100人を超えました。病棟変更、増床をしたことにより、入院と退院がかなりスピーディーに回るようになったということが、これで分かります。在宅復帰率は一般病棟、地域包括ケア病棟とも、特に大きな変化はありませんでした。
病院運営において重要な数値である稼働率は、病棟の変更により一般病棟で+3.3%(88.3%→91.6%)、地ケア病棟では+3.4%(92.6%→96.0%)、全病棟としても+1.7%(92.8%→94.5%)と稼働率がよくなりました。
それに伴う入院料の実績ですが、変更前は月平均5500万円ぐらいでしたが、変更後は6900万円ほどと、月当たり約1500万円の増収となりました。一般病床の売り上げは、ほぼ変わりありませんが、単純に療養型を地ケアに上げたことによって1床当たり約16万円の増収となりました。
そこで課題は、実際にどれだけスムーズなベッド調整が出来るかです。
稼働率が低かった今年の4月と高い稼働率の3月を比較すると、各日の入院と退院の患者数にばらつきが多く、入退院数に凹凸が顕著な4月は稼働率が低くなり、逆に入退院患者数がおしなべて凹凸が少なく、かつスムーズなベッド調整が出来た3月は高い稼働率をキープし、入院料での比較では月当たり約800万円もの差が生じた。
そういった凸凹が出来るだけ少なくなるように、スムーズなベッドコントロールを行うために、とにかく入院経路の確立が一番の鍵と言えます。整形外科を主としている当院は外来患者数が比較的多く、病棟変更前は外来や救急からの入院が約半数を占めておりましたが、病棟変更後は、ポストアキュート、サブアキュート、その他の受け入れを凸凹なく、状況に応じて3つの受け入れ機能をコントロールすることで稼働率が安定したと解析できました。
これは先ほどの、その他の手術のところに、整形特有の期間が定まっているような入院を入れ調整をすることで、多少コントロールできたと思います。
最後に、こういう多様な受け入れ機能や病棟機能を持つ地ケア病棟は地域の特性や高齢化率、病院の特色によって、さまざまな活用方法がある。これは皆さんがおっしゃる様に、とにかく地域にとって都合のよい病棟だけでなく、その病院の運営面においても都合のよい病棟であると思われます。その地域への橋渡し役となるためには、医療、介護、地域行政、多職種が協働することで、その地域ならではの地域密着型の包括システムが構築され、時々入院、ほぼ在宅が実現可能な地域社会をつくることができると考えております。ありがとうございます。
【講演 4 】
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地域包括ケア病棟入院料1の現状
および効率的運営のための取り組み
増永 高晴 (国家公務員共済組合連合会北陸病院院長)
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〇増永高晴氏(国家公務員共済組合連合会北陸病院院長)
金沢からまいりました増永と申します。よろしくお願いいたします。はじめに、2018年4月の診療報酬改定により、地域包括ケア病棟、入院料1・3が新設され、在宅患者の受け入れを促進する目的で200床未満の患者に限り、自宅からの入棟や自宅からの緊急患者受け入れの実績に対して180点の加算で評価する体系となりました。
当院は2018年6月より地域包括ケア病棟入院料1を算定しております。当院における現状と効率的運営のための取り組みと課題について報告いたします。
発表内容の目次です。まず当院の紹介です。当院は石川県の金沢市のほぼ中心に位置します。金沢市の医療事情です。金沢市は人口46.5万人。人口10万人当たりの医師数は全国平均の1.47倍。病院、病床数は全国平均の1.7倍と医療密度が高いです。
当院における近隣病院との位置関係です。1.5キロ圏内に当院より規模の大きい地域包括ケア病棟を有する公的病院が2病棟。当院とほぼ同規模の民間病院が1病院あります。また、3キロ圏内には公的な大規模病院が2病院存在します。
当院の概要です。当院は124床、3病棟です。10対1、入院基本料5の一般急性期病棟が2病棟、入院料1の地域包括ケア病棟が1病棟です。診療科は内科、外科、整形外科、泌尿科、放射線科、麻酔科。常勤医師は16人です。訪問看護ステーションを同一敷地内に有します。
当院の実績です。2018年度の実績です。病床利用率は病院全体で92.6%。急性期病棟は93.6%。地域包括ケア病棟は90.9%。平均在院日数は病院全体で16.2日。急性期病棟は13.8日。地域包括病棟は26.3日です。
当院の病棟再編の推移を示します。2011年5月に全病棟を急性期7対1としました。2016年1月には1病棟を地域包括ケア病棟としております。2016年10月には急性期病棟2病棟のうち1つを10対1としております。2018年6月に地域包括ケア病棟入院料1とし、2018年10月から1病棟が地域包括ケア病棟入院料1、2病棟が急性期病棟10対1、入院基本料5と再編しました。。
地域包括ケア病棟の現状。入院料1算定に関するご紹介いたします。看護職員の配置に関しましては当院の現状として看護師配置加算と看護補助者配置加算を算定し、地域包括ケア病棟が満床時において看護師は10対1の人員を配置しております。
重症患者割合につきましては、医療・看護必要度1に関しては、2018年7月から12月の期間において毎月20%以上を維持しております。
在宅復帰に関わる職員とリハビリ職員の配置に関しましては、在宅復帰に関わる職員としての常勤のソーシャルワーカー1名を配置し、リハビリ専門職として常勤の理学療法士1名を地域包括ケア病棟に専従として配置しております。在宅復帰率に関してましては、2018年7月から12月の期間、毎月8割以上を維持しております。
自宅等からの入棟した患者の割合に関しましては、2018年7月から12月の期間において、毎月3割以上をキープしております。自宅等からの緊急入棟患者の割合に関しましては、2018年7月から12月において、毎月10人以上を維持しております。
在宅医療等の提供におきましては、当院は下記の2項目を届けております。同一施設内に訪問看護、訪問リハビリテーションを有すること。開放型病院共同指導料回数が3カ月で18回以上を維持しております。看取りに対する指針は作成いたしました。
次に入院料1以外に関する地域包括ケア病棟の現状について、ご紹介いたします。地域包括ケア病棟の在院日数は2018年度は平均26.3日でありました。退院経路別在院日数に関しましては、自宅への退院が15から20日間と短期傾向であり、転院や施設への退院は30から40日と長期傾向にありました。
地域包括ケア病棟への入棟経路に関しましては、院内急性期病棟からの転棟が53.7%。自宅からの直接入棟が40.9%であり、ポストアキュートとしての入棟が57%。サブアキュートとしての入棟が43%であり、サブアキュートとしての入棟がポストアキュートの入棟と、ほぼ拮抗している状態であります。
地域包括ケア病棟への直接入院の主要病名は、肺炎32%、気管支炎8%、末梢性めまい8%、うっ血性心不全7%、急性胃腸炎6%と、直接入棟は軽傷急性期疾患が多くサブアキュートとしての役割を担っております。
緊急、予定外入院から見た地域包括ケア病棟の位置づけを見てみます。2018年4月から2018年12月の9か月間における入院患者1868名の分析です。入院総数1868名に対して、予定入院が929。緊急入院が939件と、ほぼ同数であります。
ここで緊急入院939件のうち、地域包括ケア病棟への入院数は348件と、緊急入院の37%を占めております。また緊急入院939件のうち、救急搬送は161件であります。この救急搬送161件のうち、地域包括ケア病棟へ入院された件数は63件と、救急搬送の39%であります。
全病棟が3病棟であることを考慮すると、緊急入院に対して、地域包括ケア病棟が通常の急性期病棟を同様の働きをしていることが分かりました。また当院の医師は地域包括ケア病棟と急性期病棟においては、ほぼ同様の医療行為を行っており、病棟による差はありません。
地域包括ケア病棟の効率的運営のための取り組みです。まずベッドコントロールの工夫。直接入棟が推奨される対象疾患名を診療単価の低い疾患を、あらかじめリスト化しておき、対象疾患を優先的に入棟させる。また急性期病棟から転棟する場合は、DPC入院病名ごとに転棟推奨となる日時を電カル上に表示し転棟時の参考としてもらう。
原則として入棟後60日以内に退院してもらう。看護部では毎日定時にベッドコントロールためのミーティングを行うなどの調整を行っております。
地域包括ケア病棟における主な業務改善の内容です。7対1急性期病棟から13対1の地域包括ケア病棟や10対1急性期病棟となり、病棟配置看護師数は逓減しました。この場合、ケアの担い手のポイントとなるのは、看護補助者の活用です。当院では看護師の休日勤務体制の見直しを行い、看護補助者による休日.夜間勤務を開始し、看護補助者の保清業務介助などの業務拡大を行いました。また、特浴業務効率化も実施しました。
地域包括ケア病棟における業務改善の2番目として、入退院支援部門のセンター化です。これは従来、別々に存在していた地域医療連携室、医療福祉相談室、入退院支援室を「患者支援センター」に統一しました。
センターの構成メンバーは医師、看護師、ソーシャルワーカー、理学療法士、作業療法士、事務員で構成され、センター長、医師を中心に3室の情報共有が促進され、綿密な連携が取れるようになりました。
また入院相談において困難事例においてはマンパワーが増えたこともあり、事前の相談元への事前調査も比較的容易に行けるようになりました。
「くらし向上外来・入院」を新設しました。これは地域包括ケア病棟への地域からの入院を促進するという目的です。パンフレットをつくり、地域の医療施設やケアマネジャー、地域包括ケアセンターなどにパンフレットを配布しております。
同時に患者支援センターのスタッフが直接出向いて、暮らし向上外来、当院の地域包括ケア病棟の説明を周辺医療機関に行っております。
このスライドは対象疾患をより分かりやすく示したものです。ケース1では、おじいちゃんの物忘れが進んで不安である。ケース2では、おばあちゃんの飲み込みの力がよくない。ケース3では最近動くのが億劫になってきた。、ケース4では、寝たきりのおばあちゃんのお世話ができなくて疲れた。など、これらのケースにおいて地域包括ケア病棟を利用していただければありがたいという形で地域の先生方に説明をして回っております。
このスライドでは、「くらし向上外来・入院」の特徴をパンフレットで表しております。①24時間、医師と看護師がいる環境なので医療面での心配はなく安心して過ごせる。②入院期間は数日から最長60日まで。③リハビリテーションを提供します。④入院中に、画像検査や嚥下機能検査等を受けることも可能です。⑤事前にかかりつけ医の情報、診療情報提供書も必要になります。などの内容であります。
これは「くらし向上外来・入院」の流れを示したパンフレットです。地域包括ケア病棟の1日の患者さんの流れをこういった形で分かりやすく表示しております。これは患者さんの活動内容なんですけど、朝ご飯を食べて午前中に集団サロンであるとか、「ころばん体操」などを行って、昼を食べて午後はレクリエーションをして夕食を食べるといった、こういった流れのパンフレットをつくっております。
入院中の在宅訪問の強化。これは退院時において在宅復帰がかなり困難であるというような症例において、患者支援センターのスタッフや入院中の病棟スタッフなどが患者のお宅を訪問して受け入れ体制を整えるようにしております。
それに加えてケアマネージャーやソーシャルワーカー、PT・OT、必要においては福祉用具貸与業者などの方も自宅訪問してもらい、在宅への受け入れを推進するようにしております。
院内サロンの開始。リハビリサロン、ころばん体操、レクリクレーション。これは地域包括ケア病棟で行っている集団活動であります。当院では4つの集団活動をやっておりまして、PT・OTが行うリハビリサロン、看護師がビデオを用いてやる「ころばん体操」、看護師が行うレクリエーション、地域包括ケア病棟だけではなく一般病棟、外来の患者さんも加えた「こころまちサロン」、こういった活動を地域包括ケア病棟で行っております。
これは、ころばん体操の効果を表したものであります。身体機能としての握力、脚力、10メートル歩行、ADLを示すFIMは、有意差は認めませんでしたが、全体的に改善傾向を認めております。また転倒・転棟しないで活動する自信の指標であるMIFSに関しては有意な改善を認めております。
また、レクリエーションの効果として、意思疎通、食事、リハビリ、活動性が改善してきております。
今後の課題です。看護補助者の獲得に難航しております。業務内容を区分して補助者A、補助者Bと分けて募集したり、業務内容や夜勤による給与面での優遇措置を講じても応募が少ないのが現状であります。特に夜勤可能な看護補助者の獲得には難渋しております。
まとめのスライドです。①地域包括ケア病棟開設当初から、院内ポストアキュートのみに頼らず、自宅からの直接入棟を促進する取り組みをしてきました。このため現時点では比較的余裕を持って入院料1の算定が可能となってきています。②地域包括ケア病棟と10対1の急性期病棟では看護師数は大差なく、軽症急性期疾患の緊急入院に際しては、地域包括ケア病棟は急性期病棟と同様の診療を行っております。③地域包括ケア病棟入院中の院内サロンによる集団活動は医療の質と患者満足度の向上に役立っております。④入院中の多職種による在宅訪問は病院生活からの在宅移行を円滑にする上で有用でありました。⑤看護師の低減に伴う看護補助者の増員、活用は重要ですが、獲得には難渋しております。
以上です。ご清聴ありがとうございました。
【討論 】
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地域包括ケア病棟入院料1の現状と課題
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〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
それでは、ディスカッションを始めたいと思います。皆さまのご協力もありまして30分ほど、十分なお時間を確保することができました。
もしフロアのほうで、こういうことを聞いてみたいというご質問等がございましたら、マイクの前に出ていただければと思います。どなたか、ご質問はございませんか?
冒頭のごあいさつで申し上げましたように、今回は非常にいろんな地域からお越しいただきました。それぞれの地域で、いろんなパターンがあり、どういうところに力を入れるべきかを4名のパネリストの方にご紹介いただきました。もしかすると皆さま方の地域で、「うちの地域はここに近いな」という感じで、お聞きになられたのではないでしょうか。
そこで、まずパネリストの先生方同士、お互いに「先生のところでは、これ、どないしてる?」という疑問などがございましたら、ぜひご発言いただければと思います。いかがでしょうか。では黒澤先生、どうぞ。
〇黒澤一也氏(くろさわ病院理事長・院長)
ポストアキュートについて、当院は圧倒的に多いような気がするのですど、先生方の病院ではいかがでしょう。さっき、いろいろ入院、予定入院の話もされていたと思うんですけど、そこら辺の取り組みとか。
予定入院、サブアキュート、あとレスパイトですね。レスパイトはほとんどないので、そこら辺の取り組みは、どうのようにされてるのか、ちょっと教えていただければ。
〇大谷まり氏(島の病院おおたに院長)
当院は40床ある中で、地域包括病床を回さなきゃいけないということで、いま始めたのが、ボツリヌス療法。定期的にマニュアルをつくりまして、入っていただくことと、注射をして、その中でリハビリをしていくというのを、いったん、月に数名入れさせてもらってます。
ちょっと予定入院の形で今うまいこと、いってるのかなと。徐々に市民講座なども開始しまして、非常に数もちょっとずつ増えている現状です。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
野瀬先生のところは?
〇野瀬範久氏(野瀬病院病院長)
スライドでもお示ししましたように、整形外科はやはり、手術での骨接合術や、あるいは、靱帯再建などをしたときに、インプラントが体の中に残りますので、それを抜く抜釘という手術がありますので。
幸いにして、当院は神戸大学のサテライト病院ですので、そういった患者さんが、季節性をもって、夏休みは例えば学生の抜釘入院が多いとか、あるいは逆に救急が多い冬は少し控えてもらうという。
非常勤で来てくれている大学病院の整形の先生と、いろいろ相談しながら、「ちょっと先生、今、ベッド空いてるんやけど埋めてくれない」ということを言うと、そこに入れてくれるというのが、少し自己都合ではあるんですけど、大学とのウィン・ウィンの関係を、そうすることで大学の手術室も空いて、高度な医療が提供できるということで、と勝手に思っています。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
増永先生のところはどうですか?
〇増永高晴氏(国家公務員共済組合連合会北陸病院院長)
地域の方々がレスパイト入院についてご存じない方が多いことより、レスパイト入院に関して、地域診療所の先生方やケアマネの方や、地域包括ケアセンターの方に当院のスタッフが直接出向いて説明をすることが、かなり有効であったと感じています。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
先生のところでは、「くらし向上外来・入院」ということで、パンフレットを配っておられる。これは、予定入院を増やすための方策ではあるんでしょうか。
〇増永高晴氏(国家公務員共済組合連合会北陸病院院長)
当初は院内からのポストアキュートが大部分であったんですけども、やはり院外からの自宅からのサブアキュートを増やさないといけないということもありまして、地域包括ケア病棟への直接入院を増やすための窓口として、「くらし向上外来・入院」を新設しました。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
ほかの先生方は例えば、今、増永先生のところでおっしゃったように在宅といいますか。周囲の開業医の先生、診療所、そういうところからの受け入れを積極的に、どういうふうにされておられますか?
〇大谷まり氏(島の病院おおたに院長)
当院では、島内の医師会の先生方に毎週月曜日、ベッドの空き状況をファックスで送らせていただきまして、それで、もう空きが少ないときには直接お電話をいただくというような形にしております。週の初めに空きの状況を皆さんに知っていただいてご利用していただくという形です。
また、施設等については、ケアマネ等にもファックスさせていただいて、空きの状況をお知らせしている状況です。
〇黒澤一也氏(くろさわ病院理事長・院長)
うちは特別にそこまで定期的にはやっていません。佐久病院さんがありますので、どうしてもそっちに紹介する先生方も多い。うちは小回りが利く病院として診療所の先生方に使っていただけるようにしています。
例えば、本当に困ったときに受け入れできるような形で信頼を得ている診療所さんとは非常にやりとりをして、その患者さんたちが地ケア病棟に入ることが多いと思います。
ほかの診療所さんも全く何もしてないわけではないです。ただ、営業をするにしても、その濃度が違う。やっぱりたくさん送っていただける診療所にはたくさん営業に行きますし、そうでないところは、それなりにというような感じでやっております。
〇野瀬範久氏(野瀬病院病院長)
当院も地域の開業医の先生方とはすごく良好な関係が取れていると思いますが、営業という意味では、「骨粗鬆症リエゾンサービス」という取り組みを外来でやっております。
骨密度を測定する器械がない診療所や内科の先生と連携をとり外来の医師の配置基準の問題も含めて、循環型の、要するに検査は半年に一度、野瀬病院で行い定期的な受診や処方は連携先で行ないます。
当院診療日には骨粗鬆症に関する検査の説明や、週に一度の骨コツ教室、栄養指導など多職種介入で月平均約80人の患者の連携をしています。「骨粗鬆症リエゾンサービスをやっています」と年間に50~60の開業医の先生のところにあいさつ回りを行くときに、レスパイト入院などがあったら受けますと声掛けをして営業活動もしています。
この活動の効果もあり、開業医の先生からは困ったときの受け皿として連絡をいただきます「とにかく断るな」ということでやっています。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
増永先生は先ほど言われた通りですね。ほかに、お互いの間で何か疑問、質問というのはございませんか? とっかかりとして。ありますか。どうぞ。
〇野瀬範久氏(野瀬病院病院長)
大谷先生のところ、90%が個室で慢性期の患者さん診られている。例えば、補完代替リハというんですかね、そういうPOCリハみたいなことをするときに個室だと、かえって介入しにくいタイミングなど、ないですか?
〇大谷まり氏(島の病院おおたに院長)
当院は外来の一番下のフロアに広いリハビリの施設がありまして。それとは別に各科の病棟に、それぞれリハの部屋と、広い廊下とともに比較的広い場所を各階に設置しておりまして、どこでもリハができる状態にさせてもらっています。
〇野瀬範久氏(野瀬病院病院長)
例えば、そういう生活動作でのリハビリをするにあたって、いちいち部屋に入っていかないと、そのタイミングが見えにくいとか、困ったこととかございませんか?
〇大谷まり氏(島の病院おおたに院長)
そうですね。集団でやるときは各階の食堂や広場がありますので、部屋から出られる患者さんはみんな出てきてもらったりしています。ただ、個室にどうしても行かなきゃいけないときも多いですね。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
ほかは、ございませんか?
それでは、私のほうからご質問したいと思います。例えば、大谷先生のところでは、「在宅復帰率がちょっと気になる」というお話をいただきました。また、自宅からの入院を増やすために、いろいろ努力されておられたりしていらっしゃる。
今、入院料1を取られておりますが、そこから落とさないために、一番心がけているポイントなどがございましたら、教えていただきたいと思います。
〇大谷まり氏(島の病院おおたに院長)
在宅復帰率が課題であることは、先生方もおっしゃっておられました。入院した、もうその日のうちに退院の話をということですが、うちも最近はそのようにしています。
ご家族に、いろいろ説明をさせていただいて、こういうふうにしていこうという方針を早急にする。介護保険はもちろん、入院時点で地域のケアマネさんや民生委員の方にもご協力をいただいて、独居でも老老介護でも、とにかく帰れる体制づくりを地域とともにつくっていくという形で、今そちらのほうにも力を入れています。
〇黒澤一也氏(くろさわ病院理事長・院長)
うちも在宅復帰率は、そんなに高いわけじゃないので、やっぱり常に「超早期の退院支援」というか介入をしつつ、やっぱり入院期間も気になるので、そこのところはやりつつですね。
最近、本当に直接入棟が少なかったので、その辺りは意識しなきゃいけないと感じています。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
具体的には先生、どういうふうなことを考えておられますか?
〇黒澤一也氏(くろさわ病院理事長・院長)
入棟に関しては、やっぱり患者さんが入院する時に、さっきリストがありましたけれども、「こういう疾患だったら地ケア」というのをみんなで共有する。医師だけじゃなくて外来の看護師も病棟の看護師とかケアワーカーもみんなそうですが、「この疾患だったら地ケアでいいかな」っていうのをみんなで共有しておくということかなと思います。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
野瀬先生は?
〇野瀬範久氏(野瀬病院病院長)
当院は、稼働率の凸凹をなくすことも課題です。無理して早く帰してしまったときに、ぼこっと空いてしまう。地域連携室がちょっと手綱を緩めるんですけど、それを緩めたのを忘れてしまっているという。やっぱり、制度の問題だと思うんですけどね。いつの間にか、「ああ、もう60日近くになってるぞ」というのがあったりとかして。そこを何かうまいこと紙ベースで見るんじゃなくて、何かデータ化して誰もが気付けるようなシステムができたらいいなと思います。やっぱり、ちょっと人の問題があるのかなということで、ちょっと、その辺の凸凹をなくすのに困っています。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
先生のところは、電子カルテではない?
〇野瀬範久氏(野瀬病院病院長)
電子カルテです。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
入院日が。
〇野瀬範久氏(野瀬病院病院長)
入院日の動向はもちろん、それは見れるのですが、例えばバックグラウンドとか、全て分かるような。ホワイトボード・カンファレンスみたいに全員が見て、今どういうことで何が待っているというような、具体的な患者のバックグラウンドが分かるようなシステムがあったらいいですね。
地域連携室が持っている情報と病棟が持っている情報、リハビリが持っている情報などがうまくリンクしていない。何か手綱を緩めてしまったときに、いつの間にか忘れているというか、入院期間が延びてしまっていることがあります。そこをもう少し精度を上げないといけないなと思っています。
〇増永高晴氏(国家公務員共済組合連合会北陸病院院長)
当院は比較的、取れてはいます。ただ、当院の周辺1.6キロのところに市立病院や赤十字病院など、うちより規模の大きな310床、260床の病院があります。
これら病院は今までは救急医療や急性期医療を重点的に行っていたのですが、最近はいずれの病院も地域包括ケア病棟を新設して、当院と同じような取り組みを行いはじめています。そうすると、マンパワーも体力も当院より勝る大きな病院に当院がたちうちできなるのでないかという不安感があります。
対策として、地域包括ケア病棟の質を高めると同時に当院独自の他の病院に負けないものをつくっていくことが重要と考えてます。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
増永先生のところは最後に出された、看護補助者の獲得という点で言いますと、もともと7対1から始まったというところからの非常に悩みなんだろうと思います。残りの療養病床から移った側は、そういう点では、わりと、まずまず、もともとおられたということですかね。先生のところだけですもんね。ほかにございますか。野瀬先生、どうぞ。
〇野瀬範久氏(野瀬病院病院長)
処遇改善加算が施行されてから、やっぱり、どうしても施設系や介護系に行ってしまう方が多い。長年勤めているのに急に、こぞって辞めてしまう。本当に確保に困っています。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
加算分をこちらで持ち出しにしないといけないという問題がありますよね。
〇会場
すいません。今、増永先生がおっしゃったようにですね、300床台とか400床台の公立病院にしても公的病院にしても、要はベッドの。まあ午前中、仲井会長が地ケア病棟の利用の理由をおっしゃっていました。患者さんの病態に応じた治療にいい、経営的にもいいということで。われわれ公立や公的も地ケア病棟を置こうという動きがやっぱりあるんですよね。
増永先生から、財力などもあって、ちょっと圧迫されるというお話をされたんですけど。やっぱり、われわれ、その地域、地域によって医療の提供体制も全く違いますし、複雑で簡単には言えないんですけども、よく国の検討会なんかではね、公が地ケア病棟を持つのは民の圧迫だと。先生は公ですけどね。
おそらく300床台とか400床台の公立、公的病院がベッドが空いてきたから地ケア病棟にしようかとか、それからポストアキュートの患者さんを治療するのに非常に便利だというふうに、これから持つ可能性、さらに進むと思うんですよね。
そういったことに対して先生方、今、現場でこれだけ活躍されていらっしゃるんですけど、やっぱりそれは民の圧迫だというふうにお考えですかね? それをちょっとお聞きしたいなと思った。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
いかがですか? パネリストの先生方、いかがですか? どうぞ。正直に言っていただければと思います。
〇大谷まり氏(島の病院おおたに院長)
そうですね。私はありがたいことに、江田島市というところでは、公的な病院がありませんので、本当に民の病院ばかりで、本当に市立病院がないところですので、そこまではないですが、ただ、そうですね。できれば。はい。どうなんでしょう?
うちは今のままやってますので、あれなんですが。とりあえず、うちのほうは、まあ頑張って手上げをして、もう思い切り背伸びをして頑張って、勝ち取った病棟みたいなところがあるので、そのままやっていきたいと思って、できればこのままの形であるとありがたいなと思っております。
〇黒澤一也氏(くろさわ病院理事長・院長)
正直に言いますと、たぶん私は圧迫だと思うんですが。一つは、地域医療構想の中で、ベッドを人口減少社会に合わせて減らしていくという中では、ただ空いてるからとか、都合のいいように使うためにだったら、それはやめてもらって、周りに回すか在宅に帰すかってことだと思います。
ただ、われわれ民間も「圧迫だ、圧迫だ」と言って公的な病院さんのせいにするのも、ちょっと間違っている。われわれ、だから、たぶんここにいる民の先生たちは独自にやっぱり努力して、場合によっては、そういう公とかの病院とも連携しながらやっていくべきではないかなというふうに思います。
〇野瀬範久氏(野瀬病院病院長)
そうですね。僕もそう思います。ただ、民でいいのは、例えば退院されたあとの訪問診療や訪問看護、訪問リハを、やっぱり、隙間なく埋めてあげることができるので、そういう意味では患者さんに選んでもらってもいいんじゃないかな。
公的病院が訪問看護、訪問リハビリまではできないと思うので、そこは、差別化することで、その地域地域によって訪看の充足度が違ったりすると思うんですけど。
僕は、「うちに来たらこういうメリットがありますよ」ということで患者さんが選択してもらえたらいいのかなと思います。あるいは、地域連携室同士のコミュニケーションができていたら、そこまで圧迫じゃないのかなとは僕の地域では思います。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
増永先生はいかがでしょうか。
〇増永高晴氏(国家公務員共済組合連合会北陸病院院長)
うちの病院は公的病院です。地域医療構想では、まず公立公的病院のほうから病院を再編統合しなさいということになっています。この場合、当院のようにすぐ近隣に250から300床規模の公立病院が2か所ある状況下で、125床クラスの当院のような小規模公的病院は、どう生き残ればいいんだろうというのが、非常に不安に思っています。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
たぶん本音のところなんでしょうね。仲井先生、どうぞ。
〇仲井培雄会長(芳珠記念病院理事長)
協会長の仲井です。ちょっと幾つかあるんですけど、今の話ですけど、地域によって、やっぱり全然違う。小熊先生の地域は、もう砂川市立しかないぐらいの所で、そこに全部入っているので、それはもう、どうしようもないですよね。そこがやるしかない。
それから、先ほどのシンポジウムで講演された中島先生のところは備北の地域医療連携推進法人。これは民も公も全部入っていますから、そういう考え方もありますよね。公とか民とかという対立軸だけじゃなくて協調軸も、もちろん一つ頭に入れていただけるといいかなと思います。
それから、ちょっと、これはまた話は別ですが、皆さん、入院料1を取られるときに、どの要件で取ったかをちょっと教えてほしいんです。特に、地域包括ケアの実績要件ですね。1番の訪問診療、2番の訪問看護、3番の開放型病床、4番の訪問介護ですね。それぞれ全部クリアされているのか。
じゃあまず1番クリアされている方。はい。ありがとうございます。2番。訪問看護の医療はないってことですね。それから3番の開放型。4番の訪問介護のサービスは……。
ということは、やっぱり1と4ですね。当協会の調査データもそうです。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
増永先生のところは共同指導料ですよね。確か。開放型の共同指導料。3カ月10回以上ってやつ。
〇仲井培雄会長(芳珠記念病院理事長)
増永先生のところは、開放型で取られてるんですか? で、訪問診療はあんまり行かれていない。ということは、先生のところは3番と4番で取られているということですね。相当、それはあまりないパターンです。分かりました。
それと、もう一つ。レスパイトをされているところは、ありますか? あ、3人。今、レスパイトがちょっと若干問題になっています。言葉の問題でもあるんですけど、一応、地域包括ケア病棟は、われわれ最初から医療必要度の高い方のレスパイト入院と言ってたんですけども、どうも、そのレスパイト入院というのは結局その患者さんのためじゃなくて家族のためということがメインで。そして、その介護施設のレスパイトとどう違うんだというところが今ちょっと言われるような感じが何となく気配はしています。
なので、あんまりレスパイトという言葉を使うのはどうかと思いまして、今ちょっと仮称で「メンテナンスケア入院」というふうに言ってるんですけど。まあ言葉の問題だけじゃなくて気持ちの問題です。どの人を助けるか。患者を助けるんです。回リハでは、よくメンテナンス・リハ入院というのがありますよね。それと同じく地域包括ケア病棟のメンテナンスケア入院はどうかというようなところですが、皆さん、いかがですか? そういうことでも、やっていけますか?
〇黒澤一也氏(くろさわ病院理事長・院長)
うちはレスパイトはほとんどないです。やっぱり、いま言ったようにレスパイトというと、どうしても、うち老健も持ってるので、老健のほうで受けるというイメージがある。
ただ、病院で受けるとしたら、やっぱりドクターが、まあ老健もいますけど、やっぱり医療依存度高い人のとか、あと、リハビリも今は老健でもできますから、やっぱり、ちょっと、そこの違いを明確にしたほうがいいのかなというふうには思います。
〇仲井培雄会長(芳珠記念病院理事長)
はい。ありがとうございます。ということで、3人の、ほかの先生方も今後ちょっとレスパイトというところは、ちょっと気を付けていただければと思います。はい。以上でございます。ありがとうございました。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
先生、地ケアですのでね、リハビリを足したら、ちゃんとやっぱりメンテナンスもやるのと違いますか。そういうふうなレスパイトであったとしても、そのままおってもらうわけじゃなくて、当然その中にリハビリテーションが入ってきたら、ADLが少しでも上がれば問題ないですよね。
〇会場
すいません。先ほどの公民のお話で、ちょっとよろしいですか。うちの病院の隣には200床、240床の中規模病院、県立病院があって。そのさらに上には日赤の700床がある。同じように県立病院240床のところは地域包括ケア病棟を開きました。うちとほとんど同タイミングです。
午前中の田中滋先生がおっしゃっていた言葉が印象的です。結局、顧客は誰だというところで、選ぶのは誰だ。それは公的だろうが自治体病院だろうが、私立であろうがですね、結局、選ばれる病院になったら、それで終わりだろうというところが僕はあると思うんです。
僕の実感としてはですね、まあ地域医療構想で、もちろん、その地域にとって必要な、この病院はこういう機能、この病院はこういう機能というのは、だいたい話し合うことができるんだと思うんですけど、それってまず、やってること前提に話し合いになるので、先にやって見せちゃったほうが話が早くなると思うんです。
結局、県立病院は地域包括ケア病棟を開けましたけど、まだ小児救急と24時間外科内科の救急を市内で完結という住民のニーズは高いです。だから、それを果たさなきゃいけないし、結局、果たさなきゃいけないので患者が集まるから、結局、地域包括ケア病棟を開いても急性期と全く一緒の機能になってしまってるんですね。
なので、そこは、やっぱり、その、ちっちゃい病院であればあるほど、その地域のニーズを敏感に感じて、何が一番、この住民が今タイムリーに求めてるのかというのが、動きやすいと思うんです。逆に。訪問診療もしやすいと思うし。大きな病院はどうしても訪問診療出たがる先生いないですから。
なのでぜひ、総合診療医をですね、獲得するのとですね。もう一つは学生を連れて各戸訪問をしてですね、「あなた幸せですか」訪問ですね。(会場、笑い)
「あなた今、何足りてないですか?」という訪問をぜひですね、院長が先にやり始めるとですね、スタッフたちもそれが大事だっていって、やり始めると大きな力になるんじゃないかなと。今この病院は何をしなきゃいけないかというのが一番分かりやすいんじゃないかなというのを思いました。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
ありがとうございました。時間のほうもだいぶ迫ってまいりました。なかなか参考になるパネルディスカッションになりましたでしょうか。
最後に、それでは、4名の先生方にフロアーからございますでしょうか。はい、どうぞ。
〇会場
大谷先生にお尋ねしたいのですが、急性期病棟はないんですね?
〇大谷まり氏(島の病院おおたに院長)
うちは回復期と療養と地域包括ケア病棟です。
〇会場
そうしますと、ポストアキュートとサブアキュート。重症度、医療・看護必要度の確保はどうなのかなと思いまして。
〇大谷まり氏(島の病院おおたに院長)
それは、そうですね。大変だったんですけど、今かなり急性期のほうに早期に患者さんを受けることで、それは上がってきてます。確保できております。はい。
〇会場
ありがとうございました。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
ほか、ございませんですか? それでは先生方、最終、最後の質問です。この入院料1を取られて何がよかったですか? それを一言ずつ、お話しいただければと思います。
〇大谷まり氏(島の病院おおたに院長)
正直に、おそらく皆さん、どの先生も思われてると思うんですが、うちも3年前に病院を新築移転いたしまして、非常に経営に対して一番よかったと正直な意見とさせていただきます。
なので地域包括ケア病棟は非常にフレキシビリティが高く、本当にそこそこの土地や、そこに合った医療ができると思ってますし、先ほど先生がおっしゃったように、自分のところでしっかりと自信を持った医療をしていれば選んでいただける病院になりたいと、今まさに思っておりますので。そういった意味では非常に幅広い病棟として今後も活躍していけるのかなと。はい。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
ありがとうございます。では黒澤先生、お願いいたします。
〇黒澤一也氏(くろさわ病院理事長・院長)
うちの田舎は寒い所なので、なかなか病院に入ると帰れないというか、帰りたくない人が多かったんですけども。こういう地域包括ケア病棟って、だいたい帰るというのが前提ですので、そういった意味では在宅復帰というか、病院から退院する患者さん、ご家族、もちろん職員もそうですけど、そういう意識ができたというのが一番大きかったと思います。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
ありがとうございます。野瀬先生はいかがでしょうか。
〇野瀬範久氏(野瀬病院病院長)
はい、やはり職員の士気が上がったというんですかね。一般30床に対して地ケアを60床を持つというのは、かなり大変だぞというのは、最初から分かってたので、職員の士気が上がったいうのが一番かなと思います。経営に対しては、すごくプラスになって、うちの病院にとっては、いろんな意味で本当に都合のいい病棟だなと思います。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
増永先生、お願いいたします。
〇増永高晴氏(国家公務員共済組合連合会北陸病院院長)
私の病院もやはり経営的に非常にプラスになったというのが一番よかったと思います。実は7対1から10対1にした減収分が、入院料1を取ることによって、ある程度、補填されたというところはあります。あとは先ほどおっしゃっていただいたように、本当に自分たちのやってきたことを信じて、ほかにできないような地域包括ケア病棟を、つくっていけるように頑張っていきたいと思います。
〇座長:井川誠一郎氏(平成医療福祉グループ診療本部長)
はい。ありがとうございました。
それでは皆さま、どうぞ、このパネリストの皆さんに大きな拍手をいただきまして、このパネルディスカッションを締めたいと思います。どうもありがとうございました。
(了)
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