地域包括ケア病棟協会 第1回研究大会開催のご報告

 

    演題発表質疑応答

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    〇石川座長
      では、会場から何かご質問があればお願いしたい。

    〇会場
      広島県内の病院でソーシャルワーカーをしている。私どもの地域包括ケア病棟でも、システム作りはしていないがレスパイト入院を受け入れている状況がある。当院では、急性期病棟から地域包括ケア病棟に転換したもので、レスパイト入院を受けるというところで、なかなか病棟のスタッフがモチベーションをどのようにもっていけばいいかわからないという状況があるが、各先生方それぞれレスパイト入院を受け入れている発表があったが、病棟のスタッフのモチベーションで、ご意見があれば伺いたい。

    〇宮田
      レスパイト入院を受け入れるにあたり、職員というよりは医局に行って説明をしたときが一番アウェーを感じた。ドクターから、「レスパイトって何だ?」という質問が来て、ドクターが一番戸惑ったようであったが、私自身も初めは戸惑い、「何だ?」という感じであった。退院期間、退院先、在宅を支えるため、介護の休日というキーワードを理事長が掲げたことによって、向くべきところを一つの目的に絞った。有期限の中でやらなくてはならないこと、退院先は自宅だということをアピールしたことによりモチベーションが高まったと考える。

    〇会場
      レスパイト入院というと、言葉の使い勝手がいいが、誰のためのレスパイトなのかをしっかりしておかないと、在宅のチームが疲弊してしまったり、本来は地域で支えられる力があるにもかかわらず、利用しやすいからといってレスパイトという言葉を使ってしまう危険性もあると思っているので、気をつけて私どもの病院でも運用していきたいと思う。

    〇若林
      竹谷さんの発表で、この方はCOPDで入院する前は普通に食べていて、入院後に嚥下障害があってきた方だと思うが、こういった方はサルコペニアの嚥下障害の典型例である。この方の体重や栄養状態はどうだったか。

    〇竹谷
      体重は40キロ前半であった。やせていて、低栄養も見られていたので、栄養士の方も、食事の状態などを見に来て、もし低栄養状態であったら、補助食品を追加でという形をとった。こちらのほうにも情報提供をしてもらっている。

     この方は、もともと経鼻経管栄養でお食事をされていて、最終的には在宅に帰られ、口から食べられるようになったが、口から食べることで食べたいという意欲も出てくる。リハビリも、はじめはオムツをしていたりで低下気味であったが、食事を食べて体力もついて、ADLも上がり、最終的には歩行器から独歩で帰られた。

     先生がおっしゃるサルコペニア、栄養状態も改善しないと筋力も上がらないということでいい事例だったと思う。今日はすごく勉強になったので、生かしていきたいと思う。

    〇若林
      合歓垣さんにPOCのことでお伺いしたい。ADLに不自由がある方が在宅復帰にあたって大事なADLは食事と排泄と移動の三つだと思っている。この三つが自立していればなんとかなるのではないかと思い、POCもそこに入っているのかなと思ったら、かなり整容に入っているとのことだった。

     写真を見ると、立って整容をしている写真があるが、これは座ればそんなに心配のない方もあえて立ってもらい、自宅での生活に備えてという意味で整容を多くしているのか。何かほかに特別の意図があって、整容が多いのか、そのあたりを教えていただきたい。

    〇合歓垣
      当院のPOCリハの対象者として、整形疾患の方が多いというところで、圧迫骨折と大腿骨頸部骨折の方がほとんどを占めている。整容動作などで、食事場面で直接嚥下障害が前面に出てくるような患者はあまりおらず、最大能力で整容を行い口腔ケアをしていくところに重点を置いてやっている。

    〇若林
      口腔のケアという意味での整容という形でかなり入っていると。

    〇合歓垣
      そのとおり。

    〇若林
      では、整容で入るということは、嚥下障害のある方が主な対象になるのか? 嚥下障害のある方の口腔衛生の部分で入っているという形であるか?

    〇合歓垣
      嚥下障害がない方も、どうしても病棟で行うと、臥位でガーグルベースでうがいをしておしまいということがある。リハビリが介入して、実際に立位でおうちで行うような整容動作を繰り返し行うことをしている。

    〇若林
      口腔機能口腔環境を改善すると栄養状態も上がってくるから、非常にいい取り組みだと思った。

     池村先生、非常にすばらしい取り組みをしていて、ぜひ論文にしてほしいという感じであったが、それとは別にお聞きしたい。アウトカムの出し方が、比較群の設定が必ずしも適切ではなかったり、年齢、性別、疾患などを考慮した解析がされないまま全部有効としたりしているので、これだとRIDLの成果ではないと言われるかもしれないが、どのようにお考えか。

    〇池村
      もちろん、かなりバイアスが入っている部分もあると思うので、いまそこを一つずつ細分化して、ポイントを押さえ、しっかりとしたアウトカムを出せるように、いまそれぞれのチームでプロトコール作成から対象者選定というところでさせてもらっている。

     これまで病人数もたくさん抱えているので、それぞれの病院で行っている取り組みが必ずしも一本化されたものかというと、やはり療法士の裁量であったりというところもあるので、そこは今後の課題というところも大きいが、そこをしっかりベースを作ったうえで、再検討、再取り組みを進めている。

    〇若林
      取り組みもすごいし、データもすごいので、あとはこれをもう少し疫学や統計の知識を使い、より上手に料理していただくと、よりすごいものになると思う。日本や地球を変えると思う。

    〇石川座長
      本日ご発表いただいた方は、グループ内で後方支援先をお持ちの施設が多かったのかなという印象を持った。やはり、地域包括ケア病棟は、地域に必要な病棟ということで、地域との連携なくしてはこの病棟を運用するということができず、地域との連携が私たちに求められていることかと思うが、具体的に各病院でその地域との関わり合いであったり、退院されたあとにリハビリの継続性であったり、実際にどのような在宅でのサービス等されているのか。患者情報共有というところも先ほど出たが、簡単にお話をいただければと思う。

    〇竹谷
      退院後の様子をどのような方法で知るかというところは、私たちの法人は通常のデイサービスとか、リハビリとか、訪問診療・訪問看護などで情報を得ているところはあり、退院後の様子をうかがうことでは電話による聞き取り調査だったり、担当のケアマネを通しての自宅訪問などを行い情報収集を行っている。今後も、多職種による退院後の事例の振り返りを通してのカンファレンスなどを実際にしていかなければいけないという話し合いをしている段階である。

    〇合歓垣
      当院の場合、グループの中に介護老人保健施設、通所リハや小規模多機能型居宅介護等があるが、訪問看護ステーションからの訪問リハも行っており、そちらにリハスタッフが出向している形をとっているので、連携して、利用につながった場合は、そのスタッフから直接フィードバックを動画でもらったりしている。リハ職同士ではあるが、フィードバックを受けて、こういう支援をしたらよかったのではないかという話をしたり、行っている。

     現在の取り組みとして、グループ内だけであるが、R4システムという全老健のシステムを利用し、同じアセスメントツールで評価できないかという取り組みを行っている。地域内としては、これもリハ職だけであるが、能美市内でリハ連絡会というものを立ち上げ、顔の見える連携ができるよう月一回集まって、リハビリテーションの連携についての勉強会を行って、顔見知りの関係を作れるようにという取り組みをしている。

    〇池村
      当院においては、併設に老健、特養、ケアハウスなどいろいろあるが、カルテ上でのやりとりがどこでも共有できるというのが一つ。

     あと、療法士がすべての部署に配置されているので、そこを通じて紙媒体で情報共有のやりとりをするなど、院内併設施設ではある。近隣の他院や施設、在宅に関する部分でのつながりとなると、いま活動参加に焦点をあてた介入が重要になってきているので、地域ケア会議であったり、それとは別に、ケアマネ、療法士、地域の患者の主治を務めるかかりつけ医が、これに関しては半年に一回程度であるが、当院に近隣の医者を呼び、そこにコメディカルの部署に来ていただき、実際にその場で、全然違う職種と違う病院でグループを作り、グループ討議をしたりという期間を作ったりもしている。

     そういったところが主であるが、情報共有に関しては、療法士もしっかりそこに入っていけるように、各PT・OT・STの中の推進リーダーを取得して、そこで活躍する場を作り、それ関わっていく取り組みも、療法士レベルでも行っている。

    〇宮田
      グループ内の共有については、担当職員賀集まるベッドコントロール会議も、パソコン画面上で空床を共有できるシステムもあるので、  グループ内はできている状況である。グループ内だけで連携をとっていても、地域包括ケア病棟がうまく稼働するとは思っていないので、もっと地域の方と連携するための取り組みとしては、七尾市から恵寿総合病院が委託を受け、七尾市の在宅介護支援センターの相談窓口も宮田がしている。

     そうすることによって、地域の方との会議の場がひと月に一回あるし、地域の中の担当者会議をイニシアチブを取っているのは社協になるので、その方に呼ばれて出ていくという面もある。

     あと、お一人の患者の情報を一番在宅で持っているのがケアマネージャーと考えているので、居宅の介護支援専門員とのパイプづくりを強化することにより、情報が一手に収集できるというメリットがある。今まで総合病院が敷居が高くてなかなか電話もしにくい、情報も聞きにくかったというところであるが、この取り組みをしてからは、「自分の担当がいま外来受診をするが、内容はどうだったか」という電話もいただけるようになり、パイプ作りができたかなと思う。

     退院後の確認については、看護師から電話で定期的に「状態はどうですか」という取り組みも後方支援として行っているのが現状である。

    〇石川座長
      地域包括ケア病棟自体がポストアキュート、サブアキュート、レスパイト等というところの、非常に懐が深い病棟にあるということは、本日ご参加の皆さま方にもご理解いただけたと思う。

     これから、地域の中でどのように病棟を活用していくかということが、今後本当に必要な、質の部分がだいぶ上がってきている現状はあるが、やはり地域差もあるし、その部分をどうやって、私どもと協力しながら地域の方々と本当にこれを進めていくかが大きな課題であるが、今後も地域包括ケア病棟が「ときどき入院、ほぼ在宅」を実践できるように今後も努めていきたい。本日は、どうもありがとうございました。

    〇総合司会:安藤高朗(永生病院理事長)
      以上をもって、演題発表を終了したいと思う。リハから、多職種協働、退院支援など、さまざまな仕組みが勉強できたと思う。

     閉会式の前に、来年の第2回の地域包括ケア病棟研究大会の大会長が先ほどの役員会で石川賀代先生に決定した。石川先生、来年の大会に向けた抱負などをお話しいただければ幸いである。

    〇石川
      先ほど、突然、第2回の地域包括ケア病棟研究大会をお願いしたいと、会長、理事の皆さま方にご推薦をいただいたので、本当に重責を果たすことができるか不安であるが、私は愛媛県の病院で働いており、おそらく四国で開催させていただくことになると思う。

     次回は四国で開催ということであれば、瀬戸内海の魚も食べられるし、道後温泉もいろいろイベントがあると思われるので、是非参加していただき、この大会を盛り上げていただければと思う。来年、皆さま方にお会いできるのを楽しみにしているので、よろしくお願いする。

    〇安藤
      では、閉会の言葉を第1回地域包括ケア病棟研究大会の大会長の加藤章信先生。

    〇加藤章信大会長(盛岡市立病院病院長)
      閉会にあたり、ひと言ご挨拶を申し上げる。本日は3連休の最終日という条件の中、非常にたくさんの皆さま方にご出席いただいた。朝から夕方まで長時間にわたり多くの先生に残っていただき、参加いただきましたことに御礼申し上げたいと思う。

     また、本日のシンポジウム、特別講演、ランチョンセミナー、一般講演、それぞれのセクションでご発表をいただいた先生方、司会をいただいた先生方には、会の運営に多大なるご支援をいただき、これについても深謝したいと思う。

     本日のこの研究大会では、地域包括ケア病棟に関する多くの知見が示されたと思うし、今後この地域包括ケア病棟をさらに発展させるためにはどのようなことをしていかなくてはならないかといったことについてもお示しいただいたと思う。本日この会にご出席いただいた皆さま方がこの会の内容を聞き、お役に立ち、結果として、全国的に地域包括ケア病棟の数がさらに増えたり、あるいは、すでに取り入れている施設での内容のさらなる発展、充実につながれば大変うれしく思う。

     最後に、いまご挨拶があったが、次年度の研究大会の大会長をなさる石川先生にエールを送りつつ、閉会のご挨拶とさせていただく。本日は長時間にわたり、大変お疲れさまでした。

    〇安藤
      以上で第1回の大会を閉会したい。ぜひ皆様、攻めの地域包括ケア病棟を作っていただければと思う。本日は誠にありがとうございました。

    (了)


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