平成27年第1回記者会見

 


    地域包括ケア病棟協会会長、芳珠記念病院理事長 仲井培雄

    当協会は2月12日、平成27年第1回記者会見を開催致しました。仲井培雄会長は会見の冒頭、現在の会員数が現在273施設であることを伝え、報道などを通じたご協力とご理解に謝意を示しました。会見では、地域包括ケア病棟に求められる役割や機能について、これまでの活動成果を踏まえながら説明。今後に向け仲井会長は、「地域包括ケアシステムの構築に資するような様々な提言を行いたい」と抱負を述べました。

     当協会の役員には、日本慢性期医療協会、全日本病院協会、全国自治体病院協議会などから幅広く参加しています。会見で仲井会長は、「当協会の役員13人中、公的医療機関から5人、民間医療機関から8人が参加しており、かつ高度急性期から慢性期まで幅広くバランスのとれた布陣」と評価。「今後、アンケート調査やヒアリングなどを積極的に実施し、その結果をもとに地域包括ケア病棟の質向上と、地域医療の質向上に努めたい」と述べました。

    以下、仲井会長の会見要旨をお伝えいたします。会見資料は(こちら)をご覧ください。

    ■ 2月12日現在の会員数は273施設

    ○仲井会長
     本日はお集まりいただき、ありがとうございます。まず、皆様に感謝を申し上げたい。当協会は昨年5月15日に発足した。その後、多くの取材があり、様々なメディアで報道していただいた。協会の知名度が高まり、いろいろな場で講演させていただいた。ありがとうございました。おかげさまで、今年2月12日現在の会員数は273施設となった。

 地域包括ケア病棟を届け出た病院数は、1月届出の確認分で約1,090病院。病床数は推定で3万床ぐらいある。一般病床からの移行のほうが多く、療養病床からの移行は5%程度ではないか。そうしたなか、当協会では今後、様々な活動に取り組んでいきたいと思っている。

会見資料をご覧いただきたい。地域包括ケア病棟協会のこれまでの活動をまとめた。昨年5月以降、アンケート調査や各種セミナー、研修会などを実施した。高度急性期から慢性期までの病院関係者や有識者らとの座談会も開催し、その模様は日経CNBCで放映された。

■ 懐の深い地域包括ケア病棟

 これまでの活動を通じて、地域包括ケア病棟の機能をまとめた。私は「懐の深い地域包括ケア病棟」と考えている。少子化超高齢社会で医療の内容が変化しており、これからは「癒すこと」「支えること」「看取ること」などを中心に医療の内容を考えていかざるを得ない。すなわち、治すことや救うことを重視する「従来型医療」から、「生活支援型医療」へと変化していく。その中心になるのが地域包括ケア病棟である。

 私はかつて外科医だったので、急性虫垂炎を例に挙げる。20歳の男性と85歳の要介護度5の女性がいるとして、この2人の患者さんへの対応は同じではない。20歳の男性は数日で回復するが、85歳の女性は全身麻酔がかけられるかどうか分からない。たとえ全身麻酔をして手術ができても、術前よりも衰える。術後の合併症もある。そこで、治療と生活支援を同時に行うような医療がこれから求められる。今後は、「従来型医療」が減少し、「生活支援型医療」が増える。

 国際生活機能分類(ICF)を用いて説明すると、生活機能低下と障害の原因は、老年症候群や外傷、先天的要因など様々ある。治療を行うプロセスにおいて必要となる生活支援が、その方針決定も含めて少ない医療を「従来型医療」、多い医療を「生活支援型医療」と考えている。後者は年齢を問わないが75歳以上の高齢者に多い。

 そのような考え方で地域包括ケア病棟の機能を考えると、「3つの受け入れ機能」と「2段階の在宅・生活復帰支援」があると思っている。



 しばしば地域包括ケア病棟の機能として挙げられるのは、「急性期からの受け入れ(ポストアキュート)」、「緊急時の受け入れ(サブアキュート)」──の2つだが、私たちは「その他の受け入れ」を提唱している。すなわち、急性期からの受け入れと緊急時の受け入れ以外の「新たな受け入れ」が発生していると考えている。

 また、「在宅復帰支援」にも2段階ある。院内での多職種協働と、地域内の多職種協働──の2段階がある。



■ 要としての地域包括ケア病棟

 都道府県が策定する地域医療構想において、自院の機能をどのように位置づけるかを考える時期に来ている。そうした中で、地域包括ケア病棟の役割は何かを考えた。

 病床機能報告制度の分類に従うと、高度急性期・急性期機能は「従来型医療」であり、回復期・慢性期機能は「生活支援型医療」に該当する。しかし、これだけでは「ときどき入院・ほぼ在宅」を実現することは難しい。資料に示した赤い部分の領域がなければ、スムーズな連携が進まない。



 こうした領域で、急性期・回復期機能を持つ地域包括ケア病棟が非常に重要になると考えている。地域包括ケアシステムの要は地域包括ケア病棟ということになる。

■ 地域包括ケア病棟を取得した病院のタイプ

 当協会がこれまで活動してきた中で、多くの先生方から様々なご意見を頂いた。アンケート調査も実施した。それらを通じて、私たちなりの仮説を立ててみた。病院には3つぐらいの型があるのではないか。①ケアミックス型、②ポストアキュート連携型、③地域密着型──である。

 1つめは、急性期などの「従来型医療」をしっかりやっていながら地域包括ケア病棟を持つような「ケアミックス型」の病院。その中には、高度急性期・急性期と地域包括ケア病棟だけのケースや、回復期・慢性期機能も持つケースもある。

 2つめは、急性期機能はあまり持たないが、回復期・慢性期機能をしっかり持ち、ポストアキュートの連携を徹底している病院。3つめは、病床数が多くない、病室単位で地域包括ケア病棟を取っている病院(地域密着型)である。

■ これからの活動について

 今後、地域包括ケア病棟は「最大で最強の病棟」になると考えている。地域包括ケア病棟入院料・管理料の1と2を届け出ている病院は今年1月時点で1,089病院ある(大村市民病院 福田行弘氏 調査)。現在、昨年9月末に様々な経過措置が終わったために少し足踏みしているが、これからも増えて回復期機能を持つ病床として最大規模の病棟になると予想される。

 地域包括ケア病棟の機能を見ても、先述したように地域包括ケアシステムの要であり、非常に懐の深い最強の病棟だと思っている。資料には「公民急慢地」と書いた。公的医療機関、民間医療機関、急性期病院、慢性期病院が地域包括ケア病棟協会を活用し、連携する。当協会が「公民急慢」の活動を支えたいとの思いがある。

 日本慢性期医療協会や日本長期急性期病床(LTAC)研究会に加え、全日本病院協会、全国自治体病院協議会のご理解とご賛同を頂き、今後、協調して取り組んでいく。当協会の役員13人中、公的医療機関から5人、民間医療機関から8人が参加しており、かつ高度急性期から慢性期まで幅広くバランスのとれた布陣となっている。

 今後は、アンケート調査やヒアリングなどを積極的に実施し、その結果をもとに地域包括ケア病棟の質向上と、地域の質向上に努めたい。各地域の実情を踏まえた、いわば「ご当地・地域包括ケアシステム」の構築に資するような様々な提言を行いたいと思っている。

 地域包括ケア病棟に従事する職員のレベルアップに向けて、教育や研修を充実させ、医療者や有識者らの情報交換の場をつくり、特に病院版の「総合診療医」の在り方と育成を研究していきたい。

 最後に、地域包括ケアシステムで大切なことを挙げたい。公立みつぎ病院名誉院長の山口昇先生のご講演から引用させていただく。大切なことは、■連携、在宅、地域、■まちづくり、■QOLとQOD、■市町村と都道府県の役割、■人をみる医療・介護、■総合診療専門医──である。これは、地域包括ケア病棟においても大事になると思っている。

(了)

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